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第385回:USB給電で出張に便利な小型無線LANアクセスポイント
ロジテック「LAN-W150N/AP」


 ロジテックの「LAN-W150/AP」は、USB給電で動作する小型の無線LANアクセスポイントだ。出張時の宿泊先などであると便利な同製品の使い心地をチェックしてみた。

あると便利な有線の共有環境

 WiMAXや3G系のモバイルブロードバンドサービスの普及により、外出や出張時のインターネット接続にも、さほど困らなくなってきた。WiMAXや3Gの通信モジュールがPCに内蔵されているケースも珍しくなりつつあるほか、バッテリー内蔵のモバイルルーターなどを利用してゲーム機や携帯情報機器などを外出先で利用することも手軽になった。

 しかし、地域によっては特定のサービスがまだ開始されていなかったり、高いビルやホテルなどのように、建物の構造によっては出張先で電波をつかめないということも少なくない。ホテルの部屋でいざメールをチェックしようとPCを起動したものの、圏外だったなどいう経験をした人も少なくないだろう。


ロジテックの小型無線LANアクセスポイント「LAN-W150/AP」。手のひらサイズで、USB給電が可能なため持ち運びに便利

 そんなときに便利なのが、今回紹介するロジテックの「LAN-W150N/AP」のような小型の無線LANアクセスポイントだ。ホテルなどでは、インターネット接続に有線LAN環境が提供されている場合があるが、無線LANアクセスポイントがあれば、この環境を無線LANから利用することができる。

 ケーブルが届かないベッドなどからPCを利用するのにも便利な上、ゲーム機や携帯電話など複数台の機器をまとめてインターネットに接続したいときなどにも重宝する。また、モバイルブロードバンドが使える環境であっても、料金プランなどの関係で、できるだけ料金のかからない接続環境を使いたいという人にも便利だろう。

USB給電対応で手軽かつ身軽に

 それでは早速実機を見ていこう。ロジテックの「LAN-W150N/AP」は、規格としてはIEEE 802.11b/gに準拠した無線LANアクセスポイントだ(2.4GHz帯のみ対応)。標準価格は3990円となっている。

 とは言っても型番からわかるとおり、通信速度は最大150Mbps(理論値)となっている。低価格製品によく見られるIEEE 802.11nの技術を利用したもので、通信の効率化とデュアルチャネル(40MHz幅)によって通信速度を向上させている。


IEEE 802.11b/g準拠だが、デュアルチャネル対応で最大150Mbpsでの通信が可能

 ただし、標準設定では150Mbpsでは接続できない。というのも出荷時設定ではチャネル幅が20MHzに設定されているためだ。2.4GHz帯を利用するため、混雑した環境での利用を考慮して20MHzに設定されていると思われるが、そのままでは150Mbpsではリンクしないので設定を変更しておくと良いだろう。

 また、無線LANルーターでもなく、機能的には純粋なアクセスポイントとなる。本体にWAN/LANという2つの有線LANポート(10BASE-T/100BASE-TX)が用意されているため、一見すると無線LANルーターのように見えるが、接続に迷わないように便宜上、名前が分けられているだけとなる。ポートとして機能的な違いはないうえ、設定でルーティング機能が無効になっているというわけではなく、ルーティング機能は搭載されていない。もちろん、外出先の有線LAN環境に本製品をつないで利用するぶんには、ルーターとして使う必要は必ずしもないので、こちらも実用上の問題はないだろう。


無線LANの基本設定画面。標準では「チャンネル幅」が「20MHz」になっているため、150Mbpsで通信したいときは40MHzに変更する必要がある 有線LANの設定画面。ルーティング機能を搭載しないアクセスポイントとなるため、IPアドレス以外の設定項目はない

 本体サイズは94×70×20.8mm(幅×奥行×高)で、重量も70gと、有線LAN対応の携帯型モデルとしてはなかなか小さい。LANポートを2つ搭載しているため、この部分でサイズが大きくなってはいる。しかし、他の部分はサイズを小さくするために基板に合わせていろいろな部分が削り込まれており、全体的に非常にスリムで持ち運びに便利なサイズになっている。


本体側面 本体背面。LANポートやWPSボタンなどを備える

 同ジャンルの製品は他社からも発売されており、単純なサイズ比較では劣る部分もあるのだが、ポイントとなるのはなんと言っても電源だろう。一般的な持ち運び用の小型ルーターが電源にACアダプターを利用しているのに対して、本製品はUSB給電での動作が可能となっている。

 このため、PCで利用する場合などは、PCのUSBポートに本製品を接続することで動作させることが可能だ。ACアダプターというのは、小型のものであっても、持ち運ぶとなると意外にかさばるので、それが汎用的なminiUSBケーブル1本で済むというのは大きなメリットと言えるだろう。


給電はUSBでOK。もちろん、USB用出力に対応したACアダプターなどを別途用意すれば、コンセントからの給電もできる 付属のポーチを使って、本体とケーブルをコンパクトに収納。持ち運びも簡単

暗号化は必ず設定しておこう

 使い方としては、非常に簡単だ。前述したようにルーター機能は搭載していないため、基本的にLANケーブルをLAN/WANいずれかのポートに接続し、USB経由で給電すればすぐに動作させることができる。

 ただし、1点だけ注意が必要なのは無線LANの暗号化設定だ。付属のセットアップガイドにもセキュリティ上の注意が記載されているが、本製品は出荷時状態では無線LANの暗号化が設定されていない。

 このため、いったん動作を開始すれば、電波の届く範囲に存在するあらゆる機器から、SSIDを検索して接続を実行することで即座に接続することが可能だ。

 確かに、この方法であれば設定に迷うことがないし、ゲーム機のWEP制限のような面倒なことも一切考慮しなくて済む。しかしながら、外出先での一時的な利用とは言え、接続も通信内容も完全にオープンな無線LANを利用するのは、さすがに問題があるだろう。特に、それが仕事での出張ともなればなおさらだ。

 というわけで購入後、まず最初にすべきなのは無線LANの暗号化設定となる。本製品のIPアドレスは「192.168.2.200」に設定されているので、PCのIPアドレスを同じサブネットに手動で設定後、設定画面を開いて、暗号化を設定しておこう。

 暗号化を設定した場合でも、無線LAN設定システム「WPS」をサポートしているのでボタン設定でPCや機器などを手軽に接続できるので、実用上はさほど困ることはないはずだ。


標準では無線LANの暗号化がなしに設定されている。実利用前には必ず暗号化の設定をしておこう WPSによるボタン設定をサポート。PCや対応機器であれば、WPA2などで暗号化を設定しても、ボタンを押すだけで手軽に接続できる

 なお、通常は「WPA2-Mixed」で設定しておくことを推奨したいが、WEPしかサポートしないゲーム機などを接続する場合はWEPで設定せざるを得ない。

 WEPに関しては脆弱性が指摘されているので、特に仕事で利用する場合は、設定を避けるべきだが、どうしてもWEPの機器を接続しなければならないというのであれば、WEPにしておくしかないだろう。それでも暗号化なしと比べれば、はるかに安全だ。

 できれば、SSIDを2つ設定し、それぞれの通信を遮断できるようにしたいところだが、このあたりは、WPA専用で使うか、リスクを承知でWEPまたは暗号化なしで使うか、用途によって割り切るしかないだろう。

パフォーマンスも実用上の問題はなし

 最後にパフォーマンスについて触れておこう。以下は、回線にNTT東日本の下り最大200Mbps、上り最大100Mbpsの「フレッツ 光ネクスト」、PCにLenovo「ThinkPad x100e(内蔵Realtek RTK-RTL8191SE使用)」を利用し、インターネット上の速度測定サイトで速度を計測したときの画面だ。


「Radish Network Speed Testing」を利用した計測結果。上下でかなり差があるが、実用上問題のないレベルの速度を実現可能

 上りと下りの速度がかなり異なるが、下りで20Mbps前後の速度が出ていれば一般的な利用には差し支えないだろう。上りの速度を確保できるので、ホテルの部屋で作成した文書などを添付ファイルとしてメールを送るといった実務上よくあるシーンでも重宝しそうだ。

 なお、このような上下の差は、クライアント側にUSB接続型の無線LANアダプター(プラネックス「GW-USmicorN」など)を利用した場合でも、同様の傾向があることを確認しているので、おそらくは「LAN-W150N/AP」側のアンテナなどの特性の影響だろう。


PCだけでなく、無線LAN搭載の携帯電話でも利用可能。高速なアクセスとパケット代の節約にも一役買う

 以上、ロジテックの「LAN-W150N/AP」を実際に試してみたが、標準で暗号化設定がされていない点を利用者がじゅうぶんに理解していれば、製品としては悪くない印象だ。家庭内のアクセスポイントとして利用するには非力だが、なんと言ってもUSB給電による手軽さや持ち運びの便利さは他社製品にはない大きなアドバンテージと言える。

 最近では、携帯電話にも無線LAN機能が搭載されるようになり、高速な閲覧や動画配信サービスなど無線LAN接続ならではのメリットがあるうえ、パケット通信料も節約することができる。「LAN-W150N/AP」はPCでの利用が多いことと思われるが、場合によっては携帯電話で接続するためだけに持ち運んでも便利かもしれない。

 モバイルというとWiMAXや3Gばかりが注目されがちだが、宿泊先のホテルなどのように外で使える有線LAN環境の有効利用にも目を向けてみると面白そうだ。


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2010/3/30 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 7」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ