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USB給電で動作する無線LANコンバーター バッファロー「WLI-UTX-AG300」


 有線LANのみに対応した家電製品などを手軽にワイヤレス化できる無線LANコンバーター。そんな無線LANコンバーターの中でも、小型なうえ、USB給電が可能なことで注目されているのがバッファローの「WLI-UTX-AG300」だ。実際の使い勝手を検証してみた。

1対多か1対1か

 テレビやレコーダー、ゲーム機など、以前に比べて格段に増えたリビングのネットワーク家電をどのようにインターネットに接続するか?

 DLNAを利用した家庭内の映像配信機能を搭載したレコーダーやインターネット上の映像配信サービスに対応したテレビ、オンラインでゲームをダウンロード購入できるゲーム機が一般化しつつあるが、その接続に頭を悩ませている人も少なくないことだろう。

 最近になって、ようやく無線LANを内蔵したテレビやレコーダーも増えてきたものの、まだ有線LANのみにしか対応しないテレビやレコーダー、ゲーム機も少なくない。そこで活用したいのが、有線LAN対応の機器を手軽にワイヤレス化できる無線LANコンバーター(イーサネットコンバーター)だ。

 製品自体は、以前から存在していたうえ、最近では無線LANアクセスポイントとセットになった製品も増えてきたが、そんな中でも、最近、特に注目を集めている製品がある。バッファローの「WLI-UTX-AG300」だ。

バッファローのUSB給電対応無線LANコンバーター「WLI-UTX-AG300」

 コンパクトなサイズとUSB給電という、今までになかった特長を持った製品で、テレビの背面などに接続することで、手軽、かつ場所を取らずに有線LAN対応機器をワイヤレス化することができる。

 リビングのネットワーク機器が増えてきたことを考えると、無線LANコンバーターの進化の方向性は、1台でなるべく多くの機器を接続できるようにする多ポート化(1対多)が妥当ではないかと個人的には考えていたのだが、本製品は、これとはまったく逆の発想、つまり家電とコンバーターを1対1で組み合わせるという新しい提案の製品となっている。

 前述したように、今後、テレビやレコーダーなどの製品は、無線LAN内蔵が一般化する可能性が高い。そう考えると、取り残された有線LAN機器など、必要な機器のみを単独でワイヤレス化できればいいという発想のWLI-UTX-AG300は、今だけでなく将来的な市場の動向も見据えた良い方向性の進化と言えそうだ。


実用性にこだわった完成度の高いデザイン

 それでは、実機を見ていこう。製品としては、2.4GHzと5GHzの両対応となるIEEE802.11n/a/b/gに準拠した無線LANコンバーターで、無線LANの最大転送速度は300Mbps、有線LANは100BASE-TX/10BASE-T対応の最大100Mbpsとなる。

 有線LANがギガではなく、100Mbpsであることを嘆く人もいるかもしれないが、ネットワーク対応のテレビやレコーダーなどでは、100Mbpsにしか対応していない製品が多い。仮にDLNAでBSデジタルの録画番組を配信した場合でも、実効で30〜40Mbpsもあれば十分なことを考えると、有線LANのスペック的には十分と言えるだろう。

 サイズは、幅136×高さ36×奥行き26mmと、USB接続の無線LAN子機と比べると、一回り大きくなるが、据え置き型の無線LANコンバーターと比べると、遙かに小さく、場所を取らない設計になっている。

WLI-UTX-AG300 WLI-UTX-AG300の取り付けイメージ

 特筆すべきは、実用性を考慮した作り込みの良さだ。まず、LAN端子だが、可動式USBコネクタのすぐ上、本体の下側に端子が設けられている。差し込むスペースを確保するために、四角く出っ張ってしまっているのは致し方ないところだが、同社によると、万が一、固いイーサネットケーブルが使われた場合でも、本体がケーブルに引っ張られ、思った方向に位置を固定できなくなることがないように、USBのヒンジ側の動きにくい位置に端子を設けたとのことだ。

 また、このUSBコネクタのヒンジだが、かなり可動範囲が広い。90度に折るようにしてL字型にすることができるだけでなく、そのまま270度回転させることができるため、USBポートの位置や方向、周囲の障害物などの状況に合わせて、自由に設置位置を決めることができる。

 USB端子もスリムで、ある程度の長さが確保されているため、奥まった場所にUSBポートがあっても多のコネクタやケーブルと干渉することなく差し込むことができる。

 テレビの場合、背面のUSBポートはUSBハードディスク用の場合が多いため、USBメモリなどを装着するための側面のポートに接続することになると思われるが、若干、はみ出すものの、邪魔にならない感じで、うまく接続することができる。

 もちろん、利用する機器によっては、どうしてもうまく収めることができない可能性もあるが、そのような場合も付属のUSB延長ケーブルを使うことで邪魔にならない場所に設置可能だ。

USB端子の可動範囲が広い Braviaの側面にあるUSBポートに接続したところ。邪魔にならずにうまく接続可能 同梱のUSB延長ケーブルを使って別の場所に設置することもできる


接続も簡単で11a ONLYスイッチも搭載

 使い方も簡単だ。基本的にテレビやレコーダー向けとして販売されるため、ユーティリティなどは付属しておらず、本体のみで設定が完結するように設計されている。

 といっても、設定らしい設定は不要で、USBとLANケーブルを接続後、本体上部のAOSSボタンを長押しすることで、AOSSやWPSでアクセスポイントに接続するだけとなる。試しに、同社製のWZR-HP-AG300H、NECアクセステクニカのAtermWR9500Nに接続してみたが、ボタン設定のみで簡単に接続することができた。

AOSSボタンを使って、AOSSやWPS対応アクセスポイントに簡単に接続可能 上部のLEDは設定時や起動時のみ点灯。普段は消灯したままとなる

 なお、本体上部には、電源と設定の状態を示すLEDが2つ存在するが、これらは設定や起動時のみ点灯するしくみとなっており、設定が完了すると即座に消灯する。最初はLEDがすぐに消灯してしまうので接続に失敗したかと思ってしまったが、これは無駄にLEDを光らせないようにするための工夫だ。

 テレビのように人の視線が集中する場所に無駄にLEDが点滅していると、非常に気になる。若干、部屋を暗くして、映像配信サービスの映画などを楽しもうとした場合などは、なおさらだ。こういった配慮をしているあたりは、さすがと言えよう。

 また、側面に「11a ONLY」と書かれたスイッチがある点にも注目だ。家電向けの無線LANコンバーターは、干渉を避けるために5GHz帯のIEEE802.11n/aで利用することが推奨されているが、本製品には、この5GHzを強制的に利用するためのスイッチが搭載されている。

 他社製の無線LANコンバーターでも、ディップスイッチが搭載されているので、珍しい機能ではないが、5GHz帯を使うということを、利用者によりわかりやすくした点は評価したいところだ。

11a ONLYスイッチによって5GHz帯のみで接続することが可能

 このほか感心したのは、起動のスピーディさだ。USB給電となるため、接続先のテレビなどの機器の電源がオフになれば、自動的にWLI-UTX-AG300の電源もオフになり、余計な電力を消費しないが、再びテレビの電源をオンにすれば、すぐに起動し、アクセスポイントに接続される。

 PCのUSBポートで計測してみたところ、PCのスリープ解除から、WLI-UTX-AG300が起動し、アクセスポイントに接続されるまでの時間は、約15秒だった。これくらいの時間だと、PCではスリープ解除後に画面ロックを解除する時間で十分に確保できるうえ、テレビの場合も起動からネットサービスへの切り替えなどの時間で十分にまかなえる。このため、無線LANがつながるまでしばらく待たされることはほとんどなく、待たされたとしても、ほんの数秒で済む。

 こういった辺りの細かな工夫は、普段から無線LANコンバーターを使い込んでいないと、なかなかできない発想だ。どうすれば便利なのかが、考え抜かれた製品と言って良いだろう。


PCでの利用も可能

 もちろん、PCでの利用も可能となっており、デスクトップPCを無線LAN化することなどもできる。

 前述したように、製品には設定ユーティリティなどは同梱されていないが、同社のWebサイトからLAN接続子機用のユーティリティをダウンロードすることで、LAN経由で本体のIPアドレス変更や接続設定をしたり、ブラウザから設定画面にアクセスすることもできる。

 設定と言っても、基本的には無線LAN子機なので、ほとんど項目はないのだが、たとえばAOSSやWPSに対応していないアクセスポイントに対して、設定画面からSSIDを検索して手動で接続するといった設定ができる。

ユーティリティをダウンロードすることでPCからの設定も可能 IPアドレスがわかればブラウザからも設定画面にアクセス可能

 パフォーマンスについては、利用するアクセスポイント側の性能にも左右されるが、おおむね良好な結果だ。LAN側100Mbpsというボトルネックがあるため、100Mbpsオーバーは実現できないが、実用的なパフォーマンスを計測できている。ただ、あくまで筆者宅での結果でしかないが、同社製の5GHz対応機との組み合わせでは長距離での結果がいまひとつふるわかなかったので、個人的には他社製の最新5GHz対応機との組み合わせを推奨したいところだ(特に地デジなどの広帯域を使う映像を別の部屋で見たいという場合)。

 このほか、標準では無効に設定されているが、マルチクライアントと呼ばれるモードも搭載されており、LANポートにハブを接続することで、複数台のクライアントからの接続に対応させることもできる(DLNAやWake On LANなどの一部プロトコルが使えなくなる)。

 オプションでコンセント直結のUSB電源アダプタも販売されているので、場合によっては複数台PCの接続に利用することもできる。

 以上、バッファローから登場した無線LANコンバーター「WLI-UTX-AG300」を実際に利用してみたが、単に小型で、USB給電できるだけでなく、実用性を考慮した非常に完成度の高い製品だ。手軽に家電製品を接続できるので、ネットワーク対応テレビやレコーダーなどの接続に活用するといいだろう。




関連情報

2012/4/3 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 7」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ