第189回:HDコンテンツの視聴環境を構築
デルの24インチワイドTFT液晶モニター「2405FPW HAS」



 個人的に利用しているPC用の液晶モニターを買い換えた。デルがオンラインで販売している24インチワイドTFT液晶モニター「2405FPW HAS」だ。実売8万円前後の低価格ながら、WUXGA(1,920×1,200)表示に対応し、さらにコンポーネント入力などのさまざまな入力に対応している。その使用感をレポートしよう。





HDコンテンツに備えて

デルの液晶モニター「2405FPW」

 今回、個人的に液晶モニターを買い換えたのには、いくつかの理由がある。これまで利用していた18.1インチの液晶モニターの電源がときどき入らないという不具合が発生し始めたこと、デルの液晶モニターの価格が以前に比べて安くなっていたこと、そして何より、これから増えてくるであろうHDコンテンツの表示環境を整えておきたかったことだ。

 HDコンテンツは現状のところ実験段階で、普及にはもう少し時間がかかりそうであるが、フレッツ・スクウェアでWMV HD(6Mbpsクラス)の映像が提供されていたり、インテルのViiv向けコンテンツ「zzz.tv」でお笑いの映像がHD品質で提供されているなど、徐々に登場し始めてきている。また、STBを利用した映像配信サービスを提供しているオンデマンドTVでも今年の6月からHDコンテンツ(H.264)の配信を予定しており、今後、注目されてくることは間違いない。

 もちろん、通常の4:3の液晶モニターでも、これらのコンテンツを再生することが可能だが、16:9のHDコンテンツを再生すると、どうしても上下に帯が表示されてしまう。HDコンテンツが普及してきたときのことを考えると、やはり16:9の表示が可能な液晶モニターが必要になってくるだろう。





デルの液晶モニター購入の決め手とは

 HDコンテンツの表示が目的であれば、PC入力機能を備えた液晶テレビや20インチワイド液晶など、2405FPW以外にももちろん選択肢はあるが、今回、購入の決め手となったのは以下の理由からだ。

  • WUXGA表示が可能
    1,920×1,200表示可能でいわゆるフルHDの表示が可能
  • 高解像度に耐えうる画面サイズ
    PCでの利用時に文字が小さすぎて見にくくならない適度なサイズ

  • 豊富な外部入力に対応
    DVI-I×1、D-SUB×1に加え、コンポジット、S端子、コンポーネント入力に対応

  • 消費税、送料を含めて84,375円(3月17日現在)と低価格
 特に解像度と画面サイズにはこだわった。筆者の場合、ホームページの情報やPDF文書を参照しながらテキストエディタで文章を書くといった使い方がメインだが、解像度が高いと画面を一度に表示できるものの、文字が小さくなって見にくくなってしまうという面もある。

 これを避けるためには物理的な画面サイズを大きくするほかないが、PC入力に対応した32インチクラスの液晶テレビの多くは、サイズ自体は大きいものの解像度は1,366×768と低い場合が多い。高解像度と大きな画面サイズという両方の要求を満たす製品が少ないのが現状だ。


デルの24インチワイドTFT液晶モニター「2045FPW HAS」。WUXGA表示に対応しながら8万円前後という低価格が魅力

 豊富な外部入力への対応もポイントの1つだ。筆者のデスクには、PCのほかに、PSX、DVDレコーダ、Xbox 360、4th MEDIAチューナーなど、さまざまな映像機器が存在する。これまで、これらの機器はPCに装着したテレビキャプチャカードの入力端子を利用して表示していたが、2405FPWなら液晶モニター本体に入力できる。コンポーネント入力、もしくはD-SUBを利用してXbox 360をようやく16:9のHD環境で使えるようになるのも大きな魅力だ。


DVI-I×1、D-SUB×1に加え、コンポジット、S端子、コンポーネント入力に対応。USBポート×4、さらにCFやSD、メモリースティックに対応したメモリカードリーダーも本体左側面に搭載されている




画面の輝度や文字の大きさなどに難点も

 実際に利用してみたところ、全体的な満足感は高いが、若干気になる点があった。まず、当初の目的であったHDコンテンツの表示に関しては、以下の写真のようにかなり環境が向上した。解像度(縦1,200ドット)の関係から上下に若干の帯が表示されるが、ちょうどWindows Media Playerの全画面表示コントロールのサイズとなっており、16:9の映像をほぼフル画面で表示できるようになった。19インチモニターで同じ映像を表示した場合と比べると、上下の帯がなく、映像のサイズが大きく表示されていることがよくわかる。

 D-SUB入力を利用してXbox 360も接続してみたが、ゲームの画面なども大きく、かなり迫力のあるものとなった。画質的にも色ムラをほとんど感じさせず、発色も悪くない印象だ。幸い、筆者の元に届いた製品ではドット抜けもなかった。映像やゲームといった用途に関しては、かなり満足度が高い液晶モニターと言えるだろう。


フレッツ・スクウェアで配信されているWMV HDコンテンツを再生。19インチモニターに比べると上下の帯がなく、映像自体が大きく表示されていることがわかる。

Xbox 360をD-SUBで入力(左)。16:9のHDでゲームなどを手軽に楽しめる。また、PinP機能を利用して、2画面同時表示や子画面での表示も可能

 気になったのはPCのモニターとして利用した場合で、液晶の表示が明るすぎる印象を受けた。標準の輝度とコントラストのまま利用すると、映像は確かに美しいが、PCでは明るすぎてかなり見づらい。個人的な好みもあるので一概には言えないのだが、個人的には1時間も使うと目が疲れてしまう感じがあった。

 もちろん、輝度やコントラストは調節できるが、輝度を「0」に設定し、さらにカラー設定で赤、青、緑の各色の発色を押えても筆者にはまだ明るすぎたため、部屋の照明を2灯式の蛍光灯から3灯式の蛍光灯へと換えることで、ようやく好みの表示にすることができた。この蛍光灯で部屋を明るくするという方法はかなり効果的なので、液晶ディスプレイが明るすぎると感じる場合は、一度試してみることをお勧めしたい。

 このような調整で明るさは好みの設定ができたが、もう1つの難点は文字が小さくて見づらいことだ。従来の19インチ液晶と比べて、物理的なモニターのサイズは縦方向で若干大きく、解像度も同じく縦方向でわずか176ドット大きいだけなので、文字の大きさとしては大差ないだろうと予想していたのだが、実際に表示してみるとかなり文字が小さい印象がある。特に、ブラウザでインターネット上の掲示板などを表示すると、数分もメッセージを読んでいるだけで、目の焦点が合わなくなってくる。筆者の視力があまり良くないこともあるが、24インチでWUXGAは目に優しい環境とは言えなさそうだ。


2045FPWの1,920×1,200表示(左)と19インチモニターの1,280×1,024表示(右)の比較。2045FPWの方が圧倒的に画面が広く、多くの情報を表示可能だが、1,280×1,024表示の19インチモニターと比較すると文字がかなり小さくなってしまう

 試しに解像度を1,680×1,050(WSXGA+)に落としてみたところ、この解像度だと細かな文字もかなり見やすくなった。ただし、これは液晶ディスプレイ自体の欠点だが、パネルの解像度より低い解像度で表示すると拡大されて表示されるため、文字のフォントが全体的にぼやけた印象の表示となってしまう。ブラウザやWindowsの文字サイズを大きくすることも試したが、こちらの場合は画面のデザインが崩れてしまった。

 現状は、1,920×1,200表示に戻し、画面をなるべく手前に配置することで見やすくなるように工夫しているが、24インチクラスの液晶の場合、PCでの最適な解像度は1,680×1,050と言えそうだ。





HDコンテンツの登場が待ち遠しい

 このように、デルの2045FPW HASは、細かな作業には向いていない印象があるが、映像の表示という用途に関しては非常にコストパフォーマンスの高い製品と言える。特にViivのようなマルチメディア系のPCを接続したり、Xbox 360などのゲーム機、DVDレコーダなどの映像機器を接続して利用するのに向いているだろう。

 今後、HDコンテンツが登場してくれば、このような液晶モニターの需要もさらに高くなり、価格もさらに安くなることも予想できる。そう考えると、インターネット上でのHDコンテンツの普及が待ち遠しいところだ。


関連情報

2006/3/28 11:02


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。