いまさら聞けない!? ちかごろ話題のサービス・アプリをさくっと解説

ノートに手書きするような使用感が得られる「Microsoft OneNote」

サービス名Microsoft OneNote
リリース日2003年
運営会社名マイクロソフト
料金基本的には無料。有料パッケージにも含まれる
URLhttps://www.onenote.com/
登録Microsoftアカウントが必要
Microsoft OneNote

すべて無料で使えるデジタルノート

 OneNoteは、WordやExcelなどと並んで、Microsoft Officeパッケージに含まれる製品の1つです。単体でも入手可能で、Windows(デスクトップアプリ、スタート画面から起動するアプリの2種)、OS X、Android、iOS、Windows Phone(プリインストール)向けのアプリがそれぞれ用意されています。また、ブラウザーからもオンライン版「OneNote Online」が利用できます。利用するにはMicrosoftアカウントが必要となります。

 OneNoteは「デジタルノートアプリケーション」と呼ばれています。OneNoteにメモや下調べした資料を保存しておき、OneNoteのメモを見ながらWord、Excel、PowerPointで資料を仕上げるとイメージすれば、そのポジションが分かりやすいでしょう。アイデアのメモ、議事録、資料のストック、ToDoリストや買い物リスト、気になるウェブページのスクラップ、ブレーンストーミング、レシピ集、日記、旅行記録など、ルーズリーフのノートに書けそうなことはなんでもできます。しかもデジタルなので、紙にできないこと、たとえば動画やリンクの添付、共有も可能です。

 保存できるものに特に制限はなく、テキスト、図、写真、手書き文字、音声、動画、ウェブリンク、ウェブページ、Office文書の添付、PDFファイルの挿入など、なんでもOK。書式設定やマーカー機能も充実しており、OCR機能も備えています。

 2003年にリリースされ、Officeのパッケージ内や単体パッケージとして有料販売されていましたが、2014年3月にすべてのプラットフォーム向けに無料版が公開されました。有料版とされるものは、現在、Office 365 solo、Office Home and Business 2016や、Office Home & Student 2016 for Macなどのパッケージに含まれる製品となります。WordやExcelはいらないけれど、OneNoteだけは使ってみたいという方は、期限にかかわらず、さまざまなプラットフォームで無料版を利用できるわけです。有料パッケージに含まれるものもおまけというわけではなく、有償版のみで利用できる機能も用意されています。

Windows版Office 365 soloによる最新のOneNote(有料版)
Windows版の無料アプリ。有料版とはややUIが異なる

好きな場所に書いて、ルーズリーフのように管理

 紙のノートに書き込むように、好きな場所をクリックして書き始められるのもOneNoteの大きな特徴です。書き込んだメモや挿入した図形などは、あとからドラッグ&ドロップで好きなに場所に移動できるので、要素の関係性を整理するのにピッタリです。

写真もテキストも手書きも添付ファイルも、好きなところに配置できる

 メモや資料の管理イメージは、ルーズリーフに似ています。画面は、ページ(紙1枚)、セクション(仕切り1つ分)、ノートブック(ファイル全体)の3つに分かれており、非常にカラフルです。アプリを起動して新規ページを作成してもいいですが、Windows版なら、「Win+N」でクイックノート(ミニノート)を起動し、忘れないうちに素早くメモを保存することもできるほか、メールでの保存にも対応しています。

 保存は自動的に行われるので、保存忘れに泣くこともありません。保存先には同じくMicrosoftのクラウドストレージサービスである「OneDrive」が使われます。このため、保存した情報は、スマートフォンやタブレットからでも簡単にアクセスできるわけです。有料版にはエクスポート機能もあり、ページ、セクション、ノートブック単位でOneNote形式のほか、PDF、XPS、単一ファイルウェブページで保存できます。

Windows版アプリで作成したページにiPhoneのOneNoteからページにアクセスした例

OneNoteとEvernote、どちらを使う?

 メモや資料の保存というと、比較されやすいのがEvernoteでしょう。どちらもメモや情報を素早く保存するツールですが、それぞれに特色があります。

 Evernoteは、例えるならなんでも気軽に放り込める箱。タグや検索機能が充実しているため、未分類でどれだけ放り込んでも探し出すことができますし、俯瞰しやすくなっています。ノートは画像やOffice文書も添付できますし、書式も細かく設定できますが、凝ったレイアウトには対応しておらず、テキストエディターに書いていくイメージです。ただし、歴史があるだけに、サードパーティ製のアプリも豊富。OCR機能も強力なため、カタログやチラシも含め、とにかくなんでもデジタル化して保存しておきたいときにピッタリです。アプリも高機能で、インプットツールとしては、デスクトップと同等もしくはそれ以上の機能を備えています。

 OneNoteは、クイックノートのような一時的なストックも可能ですが、バインダーのように整理することが前提といってもいいでしょう。フォルダとファイルの関係にも似ています。ページの好きなところに書き込んでは動かせ、パソコンやタブレットで手書きもしやすいという特徴があるため、とりあえず書き込んでから視覚的に練っていくという作業に適していそうです。罫線付きのページを表示できるなど、よりノートらしい見栄えで作業することができますし、テンプレートをダウンロードして使えるので、凝った資料を作成しやすいというメリットもあります。

ビジネス用のテンプレートも用意されています

 Windows環境との親和性が高いところも魅力。手書きも充実しているため、タッチスクリーン端末やタブレットなら、快適に利用できそうです。ただし、スマートフォン用のアプリはまだ機能が限られており、デスクトップほどのことはできません。

 それぞれにメリットがあるので、どちらを使うかというよりも、カタログ、チラシ、資料はスキャンしてEvernoteへ、視覚化したいアイデアやメモはOneNoteといった使い方もできそうです。

iPhone用の入力メニュー
iPhone用の入力画面。書式は豊富ですが、好きな場所から入力することはできないようです
Android用OneNoteの入力画面。手書きができ、入力位置も自由などiOS用よりも機能的なようです

すずまり

プログラマからISPの営業企画、ウェブデザイナーを経て、現在はIT系から家電関連まで、 全身を駆使してレポートする雑食性のフリーライターに。主な著書に「Facebook仕事便利帳」「iPhone 4 仕事便利帳」(ソフトバンククリエイティブ)など。 睡眠改善インストラクター、睡眠環境診断士(初級)。