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総務省、増加する特殊詐欺被害の防止に向けて、通信関係の事業者4団体に全14項目の要請

利用者に向けた対策推進、本人確認の徹底、非常識な多回線契約への対処など

 総務省は7月29日、電気通信事業者に対して特殊詐欺等の被害防止に向けた対策の一層の強化について、事業団体を通じて文書による要請を実施したとして、文書を発表した。

 SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺を含む特殊詐欺の被害額が増加する中、昨年以降、国では複数の大きな取り組みを行っている。2025年4月には政府の犯罪対策閣僚会議にて、特殊詐欺対策、ID・パスワードの窃取・不正使用対策、治安基盤の強化を中心とした「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」が決定。2026年5月には、特殊詐欺をはじめとする携帯通信サービスの不正利用の多様化・巧妙化に対応するため「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の一部を改正する法律」(以降「改正法」)が成立した。

 また、2026年7月28日には、特殊詐欺等への対策を緊急に実施するため「詐欺及びストーカー被害拡大防止のための緊急対策」が決定しており、今回の要請は、これを受けたものとなる。

 要請先は一般社団法人電気通信事業者協会、一般社団法人テレコムサービス協会、一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会、一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟で、固定回線・携帯電話回線の通信事業者、サービス事業者、通信機器メーカーなどが加入する団体となっている。

 要請内容は全14項目で、通信サービスの不適正利用対策のための項目が8点、改正法関連が6点。

 通信サービスの不適正利用対策の項目は、以下のとおり。主に、携帯電話・固定電話それぞれの利用者に向けた対策の導入、不要なサービスの休止、携帯電話のなりすまし防止施策の強化を、それぞれ求めるものとなっている。

  1. 詐欺対策アプリ(警察庁が「警察庁推奨アプリ」と認定したものなど)の、利用者への導入促進
  2. 携帯電話の利用者に対する、AIなどを活用した詐欺対策サービスの社会実装の加速
  3. 携帯電話サービスにおけるなりすまし防止のため、「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」の履行。特に、契約時のICチップ読み取りの義務化、追加回線契約時のパスキー利用原則化の厳格化、契約管理画面におけるパスキー利用など厳格な認証の検討
  4. 同じくなりすまし防止のため、業界横断のルールなどの検討
  5. 総務省が実施する周知活動についての、携帯電話サービスの利用者らに対するアピール強化
  6. 固定電話の詐欺対策として、不必要な回線の休止、必要のない国際電話の利用休止などの強化
  7. 固定電話の利用者に対する、AIなどを活用した詐欺対策サービスの周知・推進の強化
  8. その他の対策の実施。2025年4月の「固定・携帯電話、SMS 及びメールを悪用した特殊詐欺等に対する対応について」および2025年9月の「フィッシングメール対策の強化に関する要請」への対応

 改正法関連の項目は、以下のとおり。今回の改正法は、携帯端末の不正利用が多様化・巧妙化していることを受けて事業者に対策を取ることを定めたもので、本人確認の徹底や常識的でない多回線契約への対処、販売店や関連事業者を含めた実施の徹底などを求めている。

  1. 改正法施行後の新規の携帯データ通信契約について、本人確認等を確実に実施するため準備を進める
  2. 上記に加え、改正前の契約について本人確認等が未実施のものを、一定期間内に完了させられるよう準備を進める
  3. 特定人物により多回線契約された携帯回線が詐欺に使われることを防止するため、個人により通常想定されない数の契約については実態を把握し、不正利用防止のため自主的な措置を講じられるよう検討する
  4. 通信事業者および媒介事業者(販売店など)における、不正利用防止のための研修や監査を実効性を持って実施する
  5. 上記4項目の実施について、自社および媒介事業者の取り組みを確実に監督する。同様のことを、自社のサービスを利用する事業者やレンタル事業者などにも周知する
  6. 一層の対策推進ができるように、団体会員社向けの改正法の説明会や意見交換会を設けるなどして、理解の徹底を図ること