イベントレポート

Interop Tokyo 2016

BLEビーコンがいろいろ、メガネ型・ダイヤル型からお守り型まで

「ロケーションビジネスジャパン」パビリオン

 幕張メッセで6月8日から10日まで、「Interop Tokyo 2016」の併催イベントとして「ロケーションビジネスジャパン(LBJ)2016」が開催されている。位置情報ビジネスをテーマとしており、位置情報活用に関する最新動向が分かる基調講演やセミナーなどが行われる。なお、昨年まではセミナールームで実施されていた空間情報の最新事例を紹介するセッションが、今年は展示会場内のオープンステージで開催されている。Interopの特別企画として開催されている「IoT World」と共用のステージとなっており、9日・10日にはLBJのセッションも多数開催される予定だ。

 本記事では、LBJの展示会での見どころを紹介するほか、IoT Worldの中でも位置情報関連のサービス紹介がいくつか見られたので、その中から注目のサービスを紹介する。

オープンステージ

日立ソリューションズ、空間情報ソリューション「GeoMation」提供開始

 株式会社日立ソリューションズが、6月3日に提供を開始した新たな空間情報ソリューション「GeoMation」を紹介している。これまで日立グループが提供していたさまざまな空間情報・位置情報関連のソリューションを統一ブランドで提供するもので、第1弾として、ビッグデータ対応を強化してAPIを拡充した「GeoMation 地理情報システム」最新版と、「顧客・会員管理サービス/エリアマーケティング」などを提供開始している。ブースではこれらのソリューションに加えて、屋内測位システム「IMES」を使ったソリューションなども紹介している。

空間情報ソリューション「GeoMation」を紹介

iOS用のGISエンジン「Com's Mapper for iOS」

 株式会社コムエッジ(Comedge)は、今春リリースしたiOS用のGISエンジン「Com's Mapper for iOS」のデモを行っている。同エンジンはComedgeが2015年にリリースしたAndroid版「Com's Mapper for Android」のiOS版となる。iPadやiPhoneで動作する地図アプリを構築するためのエンジンで、建物設備管理や店舗開発支援、観光マップ作成、イベント会場案内などさまざまな用途に利用できる。ベクトル形式とラスター形式の両方を扱うことが可能で、背景図表示・主題図表示、地図拡大・縮小、スクロール、地図の移動・回転、レイヤー表示切り替え、図形検索、ジェスチャー制御などの機能を提供する。

GISエンジン「Com’s Mapper for iOS」を紹介

産総研による視覚障害者移動支援システム「バーチャルマッピングパーティ」

 国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)は、視覚障害者の移動を支援するためのシステムとして、360度カメラで撮影した全方位映像と環境音を組み合わせた「バーチャルマッピングパーティ」を紹介。これは、「マッピングパーティ」という地図作りのイベントを、現地に行かなくても遠隔地から行えるシステムだ。あらかじめ記録しておいた現地の映像や音を見ながら、施設情報(POI)や安全な歩行の手助けになる情報(POR)を部屋にいながらマッピングできる。

 2016年3月18日・19日に日本科学未来館において、このシステムを使ったワークショップも開催された。このほか、視覚障害者がトレーナーと一緒に街歩きのトレーニングを行うための訓練システムなど、以前からの取り組みも紹介している。

バーチャルマッピングパーティを紹介

準天頂衛星の高精度測位に対応した新型の小型アンテナ

 アイサンテクノロジー株式会社と小峰無線電機株式会社が連携して開発した、準天頂衛星対応の高感度アンテナが展示されていた。これは、準天頂衛星のL1/L5信号に対応したアンテナで、スマートフォンおよびクラウドサービスを組み合わせることにより、森林地域でも高精度なGNSS測量を行える。既存のL1/L5信号を同時受信できるアンテナよりも大幅な小型化を実現しており、樹木などの遮蔽を受けることが少ないL5信号のメリットを生かして、山間部での準天頂衛星利用拡大が期待できる。

準天頂衛星のL1/L5信号に対応したアンテナ

サイトセンシング、車両用PDRセンサーを開発中

 ネームタグなどに使える薄型のPDR(自律航法センサー)を提供するサイトセンシング株式会社は、従来のPDRセンサーに加えて、工場や倉庫においてフォークリフトなどの車両でも使えるPDRセンサーおよび屋内測位ソリューションを開発中。ブースではこのソリューションのデモ動画などを紹介している。

ネームタグ型PDRセンサー

メガネ型やダイヤル型など、ユニークなBLEビーコン

 BLEビーコンを提供する株式会社ブレイブリッジ(Braveridge)が、さまざまなデザインのビーコンを展示している。オーソドックスなタグ型のビーコンをはじめ、メガネ型や、車載用のダイヤル型デザイン、キーホルダー型、クリップ型、リング型などさまざまなデザインのビーコンが並べられている。この中には、落とし物追跡サービスを運営するMAMORIO株式会社(後述)に提供している小型タグも見られた。

さまざまなBLEビーコン

紛失したものをユーザー同士の連携で追跡できる「MAMORIO」

 「MAMORIO」は、小型のタグ型BLEビーコンを身の回りのものに付けて、スマートフォンとペアリングすることによって、手元から離れたときにスマートフォンに通知を送って紛失した場所を地図で確認できるサービス。IoT Worldのブースで展示している。ユーザー同士で協力して落とし物を探せる「クラウドトラッキング機能」も搭載しており、同機能をオンにすることで、ほかのユーザーが紛失したMAMORIOとすれ違ったときにその場所を知らせる。ブースでは、既存のビーコンに加えて、お守り型やシール型など新たなデザインのビーコンを展示している。

MAMORIOのお守り型ビーコン

高精度な屋内測位が可能な位置情報行動解析システム「GeoSTRATOS」

 株式会社インフォキューブLAFLAが提供している行動解析ソリューション「GeoSTRATOS」のデモ画面を、IoT Worldのブースで展示している。ぷらっとホーム株式会社のIoTゲートウェイ「OpenBlocks」を利用して、スマートフォンを持った人の位置を取得して行動解析を行える。BLEを利用した屋内測位が可能で、誤差1m以内という精度の高さを実現している。

「GeoSTRATOS」のデモ画面