イベントレポート
CEATEC JAPAN 2017
アナログ式計器を強引なまでにIoT化するシステム、生コン撹拌機の見える化も~IPAの支援プロジェクト
2017年10月5日 15:56
「CEATEC JAPAN 2017」の独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のブースでは、同機構の実施する「先進的IoTプロジェクト支援事業」に採択した企業の製品・サービスを紹介している。同プロジェクトでは、成長性や実現可能性のあるIoTプロジェクトを打ち出した企業を対象に、資金支援およびメンター支援を行っている。これにより、新たなIoTビジネスモデルの創出やIoTプラットフォーマーの発掘・育成を図る狙いがある。
アナログ式計器に磁気センサーを後付けし、データを取得・送信
株式会社木幡計器製作所では、既設のアナログ式計器に磁気センサーと無線通信ユニットを取り付けることで、稼働状況を監視できるシステムを展示。針の動きをセンサーで計測したあと、無線通信ユニットでクラウドサーバーにデータを送信し、監視システム「iBRESS」で閲覧できる。点検作業において人手や手間を省くことができ、デジタル式計器を使った遠隔監視よりも導入コストを抑えられるのが特徴だ。
計測精度は目視と同程度。取り付ける計器に合わせてセンサーもカスタマイズする。導入事例としては、製鉄所のガス移送ラインや病院の医療ガス設備に実験的に使われているそうだ。
生コンの品質をリアルタイムで計測、”職人の技”をデジタル化
GNN Machinery Japan株式会社(GNNMJ)では、生コンの品質をリアルタイムで計測し、GPSで車両位置を把握できる「スマートアジテーターシステム」を紹介している。カナダのIBB Rheology社製センサーをドラム内に搭載し、計測したデータ(温度・スランプ値・積載量・粘性・降伏値など)をクラウドへ送信。各拠点から集約したデータを分析し、リアルタイムレポートや警告などを車載の専用端末に送信できる。これにより、製造工場での的確な製造・配送管理、ドライバーや施工者との情報共有を実現できるとしている。
生コンは工場出荷後も化学変化が進むため、製造開始から工事現場に下ろすまで90分間以内(JIS規格)に届けるルールがある。輸送中の生コンの品質を適切に管理することが求められるが、これまでは職人の経験と勘に頼る部分が大きかったため、それらの知識を持つ人材が不足した際の対処が困難だったという。また、ランダムサンプリングによる生コンの試験も行われていたが、審査基準も人によって異なり、また生コンすべての品質を保証できるものではなかったそうだ。
伊藤商店、炭平コーポレーション、東伸コーポレーション、長岡生コンクリート、依田儀一商店の会員企業5社で構成されるGNNMJでは、IBB Rheology社と共同で製品開発を行うほか、スマートアジテーターシステムを日本で普及させる活動を本格化させるとしている。