イベントレポート

CEATEC JAPAN 2014

NTTドコモ、通信速度100倍の次世代通信「5G」への取り組みを紹介

 「CEATEC JAPAN 2014」のNTTドコモのブースでは、次世代移動通信システム「5G」に関する取り組みが紹介されている。

 5Gは、サービス開始に向けて現在開発が進められている「LTE-Advanced」の、さらに次世代の通信技術。NTTドコモでは、2010年比でユーザー通信速度は100倍、全体の通信容量は1000倍を実現するシステムをターゲットとして、2020年以降の実用化を目指している。

 現時点では、5Gでどのような通信方式や周波数を利用するかについては決まっていない。そのため、NTTドコモでは現在、利用が想定される様々な周波数において、通信メーカー各社と様々な通信方式による実験を行っており、会場にもAlcatel-Lucent、富士通、NEC、Ericsson、Samsung、Nokiaといった各メーカーの装置が並べられている。

NTTドコモのブース
5Gに向けた取り組みを紹介
実験を行っている各社の通信機器が並ぶ

 NECのブースにも、5Gに向けた要素技術として「スモールセル向け超多素子アンテナ」が展示されている。数多くのアンテナをマトリクス状に配置し、それらを制御することでビーム(指向性)を形成。ユーザーのいる位置に向けて電波を飛ばす、いわゆる「ビームフォーミング」を行うことで、エリア内での周波数多重化を可能にし、全体としての通信容量を向上させる技術だ。

 5Gでは高速通信を実現するために、高周波数帯を利用することが想定されているが、一方で1つの基地局がカバーするエリアは小さくなる。こうしたスモールセルの場合、基地局同士の干渉なども問題となるが、ビームフォーミングを行うことで干渉の問題が軽減し、また、基地局から届く端末までの距離も伸びることが期待できるという。

 このほか、NECのブースでは、11月に打ち上げが予定されている小惑星探査機「はやぶさ2」や、NECの標準衛星システム「NEXTAR」の模型などが展示されている。

NECの「スモールセル向け超多素子アンテナ」
ビームフォーミングで通信容量を向上させる
「はやぶさ2」の模型
「NEXTAR」の模型

オムロンは「人と卓球のラリーを続けるロボット」、東芝は女性形「地平アイこ」

 ロボットや制御機器なども数多く展示されるのが、CEATEC JAPANの特徴だ。

 オムロンのブースでは、人間と卓球を行う「ラリー継続卓球ロボット」が多くの来場者の関心を集めている。

 人の位置計測や打球の三次元位置計測といったセンシング技術と、ロボット側の制御技術を組み合わせることでボールを打ち返すロボットだが、「人とロボットがなるべく長くラリーを続ける」ことを目標にして、人が打ち返しやすい場所にロボットが返球するという「思考型コントロール」を行っている点が特徴となっている。

 オムロンのブースではこのほか、カメラからの映像を元に二重振り子の倒立させた状態を保つ技術など、各種センサーと制御技術に関する多くの展示を行っている。

オムロンの「ラリー継続卓球ロボット」
人が打ち返しやすい場所にロボットが返球する
二重振り子を倒立状態に保つ
カメラからの映像を元に高速に制御を行う

 東芝のブースでは、人間型のコミュニケーションロボット「地平(ちひら)アイこ」が実演を行っている。

 東芝が、エーラボ、大阪大学、芝浦工業大学、湘南工科大学の協力により開発したもので、東芝が43カ所の駆動装置が滑らかに動く多関節ロボットの動作アルゴリズムを開発。芝浦工業大学と湘南工科大学のロボット駆動技術とモーションセンサーを応用した動作教示技術と、エーラボと大阪大学の人間らしい容姿・表情づくりの技術を組み合わせている。

 ロボットの開発は、「手話ができるロボットを作りたい」という社員のアイデア提案制度から生まれたものだが、現在はまだ指の動きなどに制約がありできない表現もあるため、「手話は勉強中」としている。

 東芝では、将来的には福祉やヘルスケア分野などでの活用を目指し、2015年度には受付窓口や展示会の案内用ロボットとしての実用化を目指しているという。

東芝のコミュニケーションロボット「地平アイこ」
社員のアイデア提案制度から誕生
「手話はまだ勉強中」とのこと

(三柳 英樹)