イベントレポート
G空間EXPO2014
お台場で「G空間」堪能、1人乗りロボット「ROPITS」やウェアラブル機器が集結中
(2014/11/14 13:49)
地図や位置情報、衛星測位システムなど、地理空間情報(G空間情報)をテーマとしたイベント「G空間EXPO2014」が東京・お台場の日本科学未来館で開催されている。会期は11月15日までで、開場時間は10時~17時。入場無料(常設展の閲覧には入場料が必要)。
同イベントは、地理空間情報の普及促進および関連産業の発展を目的とした産・学・官によるイベント。4回目となる今年は、GISや測量、地図などに加えて、ウェアラブル機器や自動走行車、屋内測位、ビッグデータ、QZSS(準天頂衛星システム)など、近年話題となっている最新技術や関連機器・サービスが勢ぞろいする。
中でも注目されるのは、日立製作所が開発した搭乗型移動支援ロボット「ROPITS(ロピッツ)」のデモンストレーションだ。このロボットは茨城県つくば市で走行実証を進めているもので、一般の人を対象とした試乗体験は今回が初めて。
ROPITSは携帯情報端末で指定した位置へ自律走行ができる「任意地点自律送迎機能」を備えた1人乗りの移動支援ロボットだ。レーザー距離センサーとステレオカメラが搭載されており、歩行者や障害物に遭遇してもスムーズに回避することが可能で、凸凹のある歩道でも車輪の高さを自動調整してロボット本体の姿勢を水平に保つことができる。
つくば市の実証実験では、国土地理院の電子地図やRTK-GPSから歩道の標高情報を取得した上で、ROPITS搭載のRTK-GPS受信機で得た緯度・経度・標高を融合することで3次元の環境形状地図を生成し、これをもとに自らの位置を推定して正確な自律走行を実現する。
つくば市の実証実験とは異なり、G空間EXPOではRTK-GPSではなくセンチメートル級の測位を実現するQZSSのLEX信号をもとに位置を推定している。LEX信号を活用した自律走行車に試乗できる機会は珍しく、注目の企画と言えるだろう。ROPITSの試乗体験会は、14日は午前中のみ、15日は1午前・午後とも行っている。参加にあたっては、事前に未来館の入口付近のROPITSの展示コーナーにて、整理券を入手する必要がある。
このほか会場でチェックしたいのが、日本科学未来館のシンボルである地球ディスプレイ「Geo-Cosmos」の下の広場に展示されている「ウェアラブルデバイス大集合」のコーナー。こちらでは、コンシューマー向けにすでに発売されているエプソン「MOVERIO」のほか、画像認識技術を応用し、ジェスチャーによる操作が可能なブリリアントサービスの「mirama」や、BtoB向けに販売しているウエストユニティスのAndroid端末「inforod」なども展示しており、実際に装着して試すことができる。
中でもmiramaは、ジェスチャー操作で写真を撮影し、メールで送る操作までを体験することができて面白い。また、MOVERIOについても、星空をシミュレーションできる「癒し星」や、足踏みをすると歩数に応じてパノラマ画像が切り替わる「Virtual Marathon」など、店頭では体験できないアプリを試すことができる。
また、ゼンリンのブースでは、同社がこれまでカーナビ向けに整備してきた3D地図データを3DCG用の汎用フォーマットに変換し、3D都市モデルデータとしてゲームやシミュレーションに活用する事例をブースで紹介。VRヘッドセット「Oculus Rift」で楽しめる秋葉原の街並みを背景にした3Dゲームを展示しており、実際にOculus Riftを装着してゲームに挑戦できる。このゲームは、ヘリコプターに乗って空を飛びながらキャラクターを狙い撃つという内容で、ディスプレイで見るのに比べて高い没入感を得られる。
ゼンリンブースの前にある「時空を超えた3D体験ーMR Exhibitions」というコーナーでは、キヤノンのMR(Mixed Reality)ヘッドマウントディスプレイを使ったシステム「MREAL」を体験できる。
Mixed Realityとは、現実空間にあたかもそこにあるかのように仮想の情報を重ね合わせる技術。このコーナーでは、さまざまな企業が提供した3Dの景観データを楽しめるようになっており、リーグルジャパン提供の「ウィーンペーター教会バーチャルツアー」や、パスコ提供の「モービルマッピングシステムで計測したレインボーブリッジ」など、時間帯によって体験できるコンテンツが異なる。この中にもゼンリンが提供する3D都市モデルを使った「街づくり仮想体験」というコンテンツがあり、お台場を舞台に東京タワーや都庁ビルなどを好きな場所に配置してシミュレーションできる。
このほか、さまざまな企業のブースで、提供開始して間もない製品やサービスの展示が行われている。インクリメントPは、今秋に発表した法人向け「MapFanイラストマップサービス」や観光地図ARアプリ受託開発ソリューションを紹介。また、地図API「MapFan API」のデザインのカスタマイズの例として、ドラクエを連想させる「RPG風マップ」のほか、今回初めて、現代地図を古地図のようなデザインにしてしまう「古地図風マップ」も公開している。
ゴーガのブースでは10月に発表した動態管理システム「ugomeki」などを紹介している。同システムはGoogle Mapsを利用した動態管理システムで、Android/iOSアプリや専用端末を利用してリアルタイムにスタッフの位置などを把握できる。移動履歴のグループ化やメッセージの送受信も可能で、1ユーザーから利用可能。
また、準天頂衛星システムサービス株式会社でも、9月に発表した新型のQZSS受信機「QZ1」を展示。QZ1は、従来使われていた「QZPOD」と比べてバッテリーの持続時間が長くなり、アンテナの改良によって感度も良くなっているという。
なお、QZSS関連の注目企画としては、14日の午後に「自動販売+災危通報」の連携デモ、15日には「GPS・QZSSロボットカーコンテスト2014」の「QZSSスクランブル」デモ走行が行われる。
「自動販売+災危通報」連携デモは、準天頂衛星「みちびき」からのメッセージをQZ1で受信して、自動販売機の電光掲示板にメッセージの概略を表示するほか、メッセージの受信によって自動販売機が無料で利用可能となることも実演する。
「GPS・QZSSロボットカーコンテスト2014」のデモ走行では、10月に開催した同コンテストの上位入賞者がデモ走行を行う。G空間EXPOではほかにも会期中、地理空間情報に関するアイデアや技術、製品などの展示を行う「Geoアクティビティフェスタ」をはじめ、地図・位置情報・衛星技術・測量関連のさまざまな講演やシンポジウム、ワークショップが多数開催される。