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プログラミング必修化だけじゃない! 教育現場はITをどう使いこなしているのか?
2017年7月14日 06:00
ITと教育のかかわりを考える上で、今まさに旬の話題が「プログラミング教育の必修化」。2020年度から小学校において導入される見込みで、肝心のカリキュラムを作成する教師たちはもちろん、周辺ビジネスを展開する企業もまた、具体案の確立に向けて知恵を絞っている最中だ。
しかしプログラミング必修化を待つまでもなく、教育現場全体のIT化は急速に進んでいる。タブレットを活用した授業はもちろん、オンラインでの教材共有や宿題提出、そして教師側のテスト作成を効率化するツールなどが登場してきている。果たしてどんな実態なのか、各社のサービスを通じて探っていこう。
まさに王道?! オンライン学習教材
教育現場へのIT導入と聞いて、真っ先に頭に思い浮かぶのが「教材の電子化」だろう。事実、講義動画の映像配信はかなり広がってきていて、動画と連動したミニテストなどの機能もあって当たり前の存在になりつつある。
さて、これらオンライン提供される電子教材は、生徒個人で契約するタイプ、あるいは教育機関が契約して生徒に提供するタイプの2つに大別できる(両方の契約タイプを用意しているところも少なくない)。代表的なところを見ていこう。
個人向け
スタディサプリ
https://studysapuri.jp/
リクルートグループが手がける、動画ベースの学習支援サービス。キャッチコピーはズバリ「神授業、1万本。」。個人契約が可能で、小学生/中学生/高校・大学受験生向けの授業動画5教科18科目分が月額980円の定額で見放題となる。
eboard
https://www.eboard.jp/
NPO法人「eboard」が寄付などを募るかたちで開発・提供している学習コンテンツ。主に中学生向けに数学・理科・社会・英語の学習動画を公開しており、一般家庭や個人で利用する分には完全無料で視聴できる。習得度を確認するための問題もセットになっており、ユーザー登録すれば記録を残せる。
毎小ニュース&漢字ドリル
https://www.est.co.jp/edu/Maisho
毎日小学生新聞の記事が読めるiPadアプリ。また、実際の記事を題材とした漢字ドリル機能を備えている。「最新の時事記事を読みながら、手書き入力で漢字を学ぼう」という立て付けだ。購読料金は1カ月900円から。
NHK for School
http://www.nhk.or.jp/school/
NHKの教育関連番組のウェブサイト。Eテレで実際に放送されている番組が数多くアーカイブされており、ユーザー登録不要で自由に無料視聴できるのが魅力だ。また、授業でこれらの動画を活用することを想定。教師向けの実践ガイドも公開している。
Scratch
https://scratch.mit.edu/
米マサチューセッツ工科大学内の研究所「MITメディアラボ」が開発を進めているプログラミング言語。画面上の「ブロック」をパズルのようにつなぎ合わせることで、コンピューターに命令を実行させられる。PCのブラウザー上でも動作するので、とにかく気軽に試せる。8~16歳のプログラミング教育に最適という。
教育機関向け
ポケタッチ
http://www.pokemon.co.jp/poketouch/
人気キャラクター「ポケモン」が全編に登場する、IT機器の操作学習用アプリ。Windows/Android/iOSに対応しており、文字入力やマウス操作、情報法モラルなどを楽しみながら学べる。個人向け販売は行われておらず、主に学校単位での導入が前提。
ラインズeライブラリアドバンス
http://www.education.jp/education01/education01_1.html
小・中学生向けの学習支援サービス。テレビやプロジェクターで表示するための教材、個人学習用のドリル、成績管理機能、さらには保護者向けの同報メールまで、さまざまな面での学習効率化をサポートする。ほとんどの機能をPC/スマホ/タブレットの各ブラウザーから利用できる。
セルフスタディ
http://self-study.net/
「生徒の自立学習」を目標に開発された教材。出題範囲は中学1~3年の英語・数学、小学算数。生徒にはまず学力診断テストを受けてもらい、その結果をもとに具体的な学習計画が生成される。学習用のプリントもその計画に合わせて、実際にプリンターから出力される。
学研教育アイ・シー・ティー
http://gakken-ict.co.jp/business/
子ども向け学習教材で知られる学研のグループ会社。いわゆるデジタル学習教材として、教科別学習用の「ニューコース学習システム」、百科事典・図鑑などから構成される「ニューワイド教材ライブラリ」をラインアップしている。ウェブ版サービスはWindows/Android/iOSの各端末から利用可能。
レアジョブ英会話 教育機関向けサービス
https://www.rarejob.com/school/
https://www.rarejob.com/promotion/rarejob_for_student/
オンライン型の英会話学習サービスを展開する「レアジョブ」。個人向け学習コースをを提供する一方で、教育機関単位での包括契約プランも導入している。講師は英語に堪能なフィリピン人。レッスンはSkypeでマンツーマンにて行う。
StudyLinkZ(スタディリンクス)
https://zlt.co.jp/service/studylinkz
Z会グループ運営。「オールインワンの学習支援サービス」を標榜しており、教材コンテンツそのものの提供に加え、教師向けの支援ツールを多数用意している。テストの作成・配信のための「Test Editor Plus」もその1つ。ほかにも成績管理機能、校務支援機能などがある。
やるKey
http://www.yarukey.jp/
凸版印刷が販売するデジタル教材システム。教師は簡単な操作で生徒に対してドリルを配信することができ、採点は自動。また、誤答などをもとに別のドリルが自動配信されるため、理解度に応じた学習が行える。
学びのポケット
http://www.ntt.com/business/services/cloud/education/edu-cloud.html
NTTコミュニケーションズが2017年4月1日に提供を開始した「教育クラウドプラットフォーム」。校内SNS、自作教材の共有機能などを無料とすることで、導入しやすくした(本格利用にあたってのコンテンツ費は別途必要)。学習コンテンツについても一部無料で提供する。
GLECTY(グレクティ)
http://glect.co.jp/product/
「デジタルとアナログの融合」を謳う、クラウド型教育総合プラットフォーム。実際にプリントアウトできる学習課題、生徒の理解度に応じた課題レコメンデーション機能を合わせ持つ点が特徴という。収録コンテンツは小学校・中学校向け。
マピオン・アクティブラーニングマップ
http://blog.mapion.co.jp/release/2016/10/161012_30577.html
その名の通り、アクティブラーニング向けの地図サービス。例えば社会科・生活科で学んだ内容を地図上に貼り込んだりできる。まずはiOS向けアプリとして提供し、その後対応端末を拡大させる計画。
教育現場でもオフィス統合ソフトやクラウドが活躍中
昭和生まれの世代からすると「小学校・中学校の授業は鉛筆とノートさえあれば十分」と考えがち。ただ、一般オフィスでこれだけPCやタブレットが普及し、SNSで連絡しあうスタイルが普及している以上、教師も生徒もこれらツールを使いたくなるのが当然だ。大手IT企業の中には、教育機関向けにサービスを無償化している例もある。
G Suite for Education
https://edu.google.com/intl/ja/products/productivity-tools/
Googleが提供中のオフィス統合製品群。以前は「Google Apps」の名称で知られていたが、2016年9月に「G Suite」へと変更された。教育機関向けバージョンは「G Suite for Education」で、メールやオンラインストレージ、サイト作成機能などがすべて無料。利用申し込みは学校単位で行う。
Office 365 Education
https://www.microsoft.com/ja-jp/education/o365/default.aspx
https://products.office.com/ja-jp/student/office-in-education
マイクロソフトでも「Office 365」の教育機関向けバージョンは無料。学生・教職員のどちらもウェブ版Officeによる各種文書作成、メール、クラウドストレージ「OneDrive」1TB分がコスト負担なく使える。利用にはやはり学校単位での申し込みが必須。
Dropbox Education
https://www.dropbox.com/ja/education
ファイル共有ソフトとしておなじみのDropbox。海外を中心に、教育機関での利用も進んでいるという。「Dropbox Education」は教育機関・学校のニーズに合わせた設計がなされており、法人版の「Dropbox Business」とはまた異なる。利用は原則として有償。
ednity
https://www.ednity.com/
学校ないしクラス単位での利用を前提としたSNS。ファイルやURLの共有機能はもちろん、日常的な連絡に使うことも想定されている。また、アカウント種別が先生・生徒・保護者の3種類に分かれていて、これに基づいた機能制限などが設定できる。
ByTalk for School
http://www.bai.co.jp/product/3010/school/bytalk-school.html
学校、クラス、班などの単位でクローズドなコミュニケーションを行うためのSNS。チャット機能も充実している。ログ管理機能を備えているため、操作内容を後から確認することが可能。
Talknote 活用事例
https://talknote.com/case/index.php?num=051
「Talknote」は企業向けのSNS構築ツール。社長・マネージャー・現場といったそれぞれ立場の異なる関係者が円滑にコミュニケーションする目的で使われる。一方で、教育機関において教職員と生徒のやりとりでも使えるという。その一例として、聖徳学園中学・高等学校における導入事例が掲載されている。全文の閲覧には個人情報登録が必要。
Skype in the Classroom
https://education.microsoft.com/skype-in-the-classroom/overview
ビデオ通話サービスの「Skype」は、その手軽さからクラス間の遠隔交流などにも利用されているという。マイクロソフトでは国際交流などを目的とした専用コミュニティ「Skype in the classroom」も設けている。
SkyWay
https://nttcom.github.io/skyway/
ブラウザープラグイン不要でリアルタイム映像・音声チャットなどを実現する「WebRTC」に対応したフレームワーク。教育関係のサービスへSkype風のビデオ通話機能を組み込む目的などで利用される。
LiveOn
http://www.liveon.ne.jp/
http://www.liveon.ne.jp/case/business-type.html
法人向けのテレビ会議システム。社内会議などに使われるのが最も一般的だが、教育機関での採用例があり、例えば学習塾による遠隔講義、オンライン家庭教師サービスなどに用いられた実績があるという。
授業運営をITの力で効率化
近年の教育現場では、教職員の業務負荷が極めて大きくなっているとも指摘される。これを受けてか、授業の準備・実施を効率化するためのサポート製品のリリースが相次いでいる。負荷軽減は、生徒にとってもメリットが大きいはず。こういった製品の導入がどれくらいのペースで進むのか。教育のIT化を占う上で重要なポイントとなるだろう。
iTunes U
https://www.apple.com/jp/education/ipad/itunes-u/
もともとはiOS向けの学習動画・音声の再生アプリだったが、現在の「iTunes U」は総合教育プラットフォームとでも言うべき存在へと進化している。iPadで利用でき、宿題の提出、成績管理などが一元的に行える。文書作成の「iWork」、オンラインストレージ「iCloud」と連携して使うのが便利だ。
ロイロノート・スクール
https://n.loilo.tv/ja/
タブレット(Windows/Android/iOS)で動作する授業サポートツール。さまざまな要素を「カード」という単位で管理するのが特徴。例えば、板書やノートをカメラで撮影すれば、それもカードの一種。そして、作成したカードは先生に提出したり、生徒間で交換したりできる。
schoolTakt
http://schooltakt.com/
「LMS (Learning Management System、学習管理システム)」と呼ばれるジャンルの製品。生徒の学習状況をリアルタイムで管理でき、また、授業中には回答を生徒全員で共有できるなど、さまざまな機能を備える。なお、クライアント端末側にはアプリのインストール不要。端末を生徒全員で同じ機種・端末に統一する必要がない点も特徴という。
MetaMoJi ClassRoom
http://product.metamoji.com/education/classroom.html
タブレットで動作する授業支援アプリ。手書き対応が充実しており、「mazec(マゼック)」による文字入力はもちろん、高度な図形描画などが可能。また、数十人が1つのWi-Fiアクセスポイントに接続するという授業の特性をも考慮。ネットワーク負荷を抑えつつ、軽快に動作するとしている。
コラボノート for School
http://www.collabonote.com/edu/school/
協働学習の支援を目的としたサービス。開発元では「なじみ深い模造紙の活動に、コンピューターならではの機能をプラス!」とアピールしており、作成したデータは紙へ出力したり、ウェブサイトへそのまま公開したりできる。また、データの提出状況を先生が簡単にチェック可能。
ミライシード
http://www.teacher.ne.jp/miraiseed/
ベネッセ運営。タブレットを使った学習プラットフォームサービスで、「ムーブノート」「話し合いトレーニング」「ドリルパーク」の3機能から構成される。公式ウェブサイトでは導入事例を多数掲載中。
Classi
https://classi.jp/
教師向けの授業・生徒指導サポートプラットフォーム。個人面談の際に役立つ「生徒カルテ」などの機能を備える。また、生徒学習用の学習動画・問題集などもオプションとして用意されている。運営元はベネッセとソフトバンクの合弁企業。
Edmodo
https://www.edmodo.com/?language=ja
http://www.zkai.co.jp/home/edmodo/
米国発祥の教育プラットフォームサービス。SNS風のインターフェース上で、ノートの送受信や課題提出がメンバー限定で行える。なお、日本国内展開にあたってはZ会グループが開発元と業務提携を行っている。
Moodle
https://moodle.org/course/view.php?id=14
オープンソースで開発が進められている、無料の学習支援ソフト。一般的にはLinuxサーバーにインストールして動作させる。日本の大学などでも、Moodleを利用して講義概要の配布などが行われている。
STUDYNOTE
https://www.sharp-sbs.co.jp/studynote/
https://www.sharp-sbs.co.jp/studynet/
シャープビジネスソリューションでは、各種の教育関連サービスを提供中。グループウェアの学校教育版にあたる「STUDYNOTE」では、学習内容の発表や、生徒が作成したデジタルノートの共有が可能。ほかにも電子黒板と生徒用タブレット端末を組み合わせた「STUDYNET」などがある。
C-Learning
https://c-learning.jp/
大学での導入実績が多い授業サポートアプリ。生徒自身のスマホにC-Learning専用アプリをインストールしてもらって、出席管理(GPSによる代返防止機能付き)、アンケート、小テストなどを実施する。必ずしも全学での利用を前提としておらず、教師個人が契約することも可能。
i-FILTER
http://www.daj.jp/es/i-filter/
学生がIT端末を利用する上で気になるのが「ウェブのフィルタリング」だ。デジタルアーツのi-FILTERは教育機関での利用も想定。1台の端末を校内・家庭といったロケーションに関係なくフィルタリングできる点をアピールしている。
STOPit
http://www.stopit.jp/stopit-solutions-education
匿名式の報告・相談プラットフォーム。企業では不正・ハラスメント通報窓口などとして利用されているという。教育機関向けのバージョンもあり、いじめに関する匿名相談などを学校内の担当者が受け付けられる。