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ソフトイーサ、NTT東のフレッツ網内に閉じた通信網を構築できるサービスのベータ版を無償提供

 ソフトイーサ株式会社は14日、フレッツ網内向けのダイナミックDNS(DDNS)サービス「OPEN IPv6 ダイナミック DNS for フレッツ・光ネクスト」ベータ版の無償提供を開始した。

 このサービスは、NTT東日本の「フレッツ 光ネクスト」網内で利用可能な「ホスト名.i.open.ad.jp」形式のIPv6ダイナミックDNSホスト名を、ソフトイーサの提供するウェブサイトより発行するDDNSサービス。これを利用することで、フレッツ 光ネクストに接続された機器同士でIPv6による直接通信(フレッツ網内IPv6折り返し通信)が容易になる。安価なフレッツ 光ネクストの回線を用いて拠点間VPNを構築したり、IoT機器をフレッツ回線に接続するなどの活用が可能だ。

 ユーザー登録不要で利用でき、DDNSホストの数にも制限はない。利用にあたってフレッツ対応ISPの契約やPPPoE接続、NTT東日本への申し込みも不要となっている。

 サービスは、Cisco、NEC、ヤマハなどのVPNルーターや、ソフトイーサのVPNソフトウェア「SoftEther VPN」「PacketiX VPN」から利用できる。APIが公開されているため、WindowsやLinux、これらを組み込んだRaspberry Piや監視カメラ、センサーなど、IPv6に対応したIoT機器の遠隔制御も行える。

 フレッツ網は、PPPoEやIPoEによりISP接続を行わない限りインターネットから遮断されているため、国内外のインターネットから不正侵入される恐れがないという。このため、VPNの構築やIoT機器の通信を行う目的でシステムインテグレーターやICTユーザー企業によって活用されているものの、こうした用途での利用方法は難解で、普及は進んでいない状況だとソフトイーサは指摘する。

 このサービスを利用すれば、「ビジネスイーサ」などの高額な法人向け専用線サービスや「フレッツ・VPNワイド」、各種通信事業者のフレッツベースの閉域網IP-VPNサービスと同様に、インターネットに接続されない状態でフレッツ網内に閉じた通信を広く活用できるようになるとしている。

 サービスの提供にあたっては、NTT東日本のフレッツ網内全域のIPv6 DNSクエリパケットを受け取って処理する「NGN DNSリゾルバ」と特殊な仕組みで連携し、サービスのゾーンデータが入ったサーバーにクエリを中継する必要があったとのこと。今回、NTT東日本側が必要な接続・設定を行うことで、国内で初めてサードパーティが提供するDDNSサービスの提供が実現されたという。

 ソフトイーサの検証によれば、フレッツ・VPNワイドや、ISPを経由したPPPoE接続による2拠点間のVPN接続時の速度は40Mbps程度、遅延は10msec程度となっているが、フレッツ網内IPv6折り返し通信を利用するこのサービスでは700Mbpsに高速化でき、遅延を3msec程度に低減できるという。

 なお、NTT東日本のフレッツ回線を利用した「ドコモ光」などからも利用可能。一方、NTT西日本のフレッツ 光ネクスト回線、auひかりone、NURO光、その他のIPv6インターネット回線からでもサービスを利用可能だが、IPv6に対応したISP契約が必要となる。

 今後は正式版に移行の際にも、無償での提供が継続される予定。

【記事更新 18:30】
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