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文科省、小学校におけるプログラミング教育のあり方に関する有識者会議での議論を公表

 文部科学省は16日、小学校におけるプログラミング教育のあり方について、4月19日に設置され、全3回が開催された有識者会議での議論を取りまとめて公表した。

 「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」は、プログラミング教育の意義やあり方について認識を共有し、小学校で今後プログラミング教育を円滑な実施につなげていくことを目的としている。

 次世代に必要な資質や能力を育むことができるようにするための効果的なプログラミング教育に必要な条件整備などや、進化した人工知能が様々な判断を行ったり、身近な物の働きがインターネット経由で最適化されたりする、いわゆる「第4次産業革命」が教育にもたらす影響などが検討されていた。

 有識者会議には、NPO法人CANVAS理事長の石戸奈々子氏や、日本マイクロソフト株式会社業務執行役員シニアディレクターエンタープライズ事業改革担当兼文教戦略担当の中川哲氏、株式会社CA Tech Kids代表取締役社長の上野朝大氏なども名を連ねていた。

 とりまとめでは、小学校におけるプログラミング教育について「コーディングを覚えること」との誤解が広がっているとし、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することを体験することで、普遍的な「プログラミング的思考」の力を育むことが目的とあらためて定義。時代の変化や技術革新の中で移り変わっていくことが予測される特定の技術や個別のプログラミング言語を見に付けることではないとしている。

 人工知能の進化により、今後10年~20年程度で、半数近くの仕事が自動化される可能性が高く(オックスフォード大学准教授マイケル・オズボーン氏による予測)、子供たちの65%は将来、今は存在していない職業に就く(ニューヨーク市立大学大学院センター教授キャシー・デビッドソン氏による予測)といった「第4次産業革命」による変化を受け、そうした社会で必要となる資質や能力を育んでいくことが求められているとした。

 必要となる資質や能力については、情報を読み解く力、情報技術を手段として使いこなしながら、論理的・創造的に思考して課題を発見・解決し、新たな価値を創造する力、感性を働かせながら、よりよい社会や人生の在り方について考え、学んだことを生かそうとする力の3つが挙げ、このうち2つ目について「プログラミング的思考」としている。

 学校教育におけるプログラミング教育を実施することで、「プログラミング的思考」に加え、身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気付くこと、さらに発達の段階に即して、コンピュータの働きを、よりよい人生や社会づくりに生かそうとする態度を涵養(かんよう)すること、といった資質・能力を育成するとしている。

 また、具体的な小学校におけるプログラミング教育を実施するための条件として、ICT環境の整備や、教材の開発と教員研修、指導体制の充実や社会との連携・協働について、随時さらなる改善を図っていく必要があるとした上で、理科、算数、音楽、図画工作の各教科でのプログラミング教育を実施する例を取り上げている。