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eBay、日本の伝統工芸品の世界市場展開を後押し、小売・製造業者の“越境EC”支援プロジェクト

京都の伝統工芸品を英語で紹介するeBayの特設ページ「Born in Kyoto」

 イーベイ・ジャパン株式会社は5日、「小売・製造業者 海外支援プロジェクト」を開始したと発表した。日本の伝統工芸品の小売・製造業者や地域の中小企業が、オンラインマーケットプレイス「eBay」を通じて海外に販路を拡大するのを支援する。その第1弾として、京都市および京都商工会議所などが協力し、京都の伝統工芸品を英語で紹介する特設ページ「Born in Kyoto」のベータ版を開設した。

 イーベイ・ジャパンは米eBayの日本法人で、かつては日本市場向けのインターネットオークションサービスを展開していたが、2002年に日本版サービスからは撤退。その後、日本企業がeBayを通じて海外市場に商品展開する“越境EC”の支援に特化した事業に切り替えている。

 イーベイ・ジャパンによれば、日本における伝統工芸品の生産額は1040億円(伝統的工芸品産業振興協会による2012年度の推計値)で、最盛期の5分の1程度に減少。一方で、eBay上では「日本」をキーワードに検索される商品は増加しており、2015年には日本にかかわる商品の取引高は400億円に上る規模になった。なお、これには日本企業が販売する商品だけでなく、例えば中国企業が出品している和服なども含まれるが、世界市場では日本の伝統工芸品などへの関心は高まっているという。

 プロジェクト第1弾となる「Born in Kyoto」では当初、22社が着物や茶器などを出品。特設ページの独自カテゴリーで商品を検索できるようにしたほか、製作工程や匠の技、着付けなどを紹介する独自コンテンツも配信する。また、出店企業が京都で運営しているリアル店舗にはQRコード入りのeBayのステッカーを貼り出し、来店した訪日外国人観光客が「Born in Kyoto」の該当ページにアクセスして詳細な商品説明を英語で参照できるようにし、リアル店舗での販売促進にもつなげる。

 なお、当初出店の22社はイーベイ・ジャパンなどが選定したが、今後、出店企業をオープンに受け付けていきたいとしている。

 また、プロジェクトには独立行政法人中小企業基盤整備機構も協力。他の地域の伝統工芸品や隠れた特産品など、日本のクールな製品をeBay上で世界にアピールしていく予定だ。

 さらにプロジェクトには、PayPalも協力。世界200カ国以上で決済サービスを展開し、年間1億8000万人以上が購入に利用するというスケールを生かし、PayPal会員向けのメールを通じてプロジェクトを宣伝していく。まずは、アジア地域の会員をターゲットにする予定だ。

都内で5日に開催された記者発表会には、京都市長らも出席した。(向かって左から)イーベイ・ジャパン株式会社事業本部長の佐藤丈彦氏、同ビジネス開発部部長の岡田朋子氏、京都市長の門川大作氏、独立行政法人中小企業基盤整備機構理事の渡部寿彦氏、PayPal東京支店ビジネス開発部部長の野田陽介氏