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NTT、コミュニケーションロボットに機能を付加するクラウドサービス「ロボコネクト」提供開始

 東日本電信電話株式会社(NTT東日本)は、コミュニケーションロボット向けに会話機能やカメラ撮影機能などのアプリケーションサービスをクラウド上で提供する「ロボコネクト」を9月1日より開始する。月額利用料(税別)は1ライセンスあたり3000円。初期費用として、契約料800円、サーバー登録料1000円が必要になる。

 第一弾として、ヴイストン株式会社が提供するロボット「Sota(ソータ)」がロボコネクトに対応する。キューアンドエー株式会社が提供する付加アプリケーション「Sotaレク」とあわせて利用することで、Sotaによる介護レクリエーションの進行補助および自動進行が可能になる。なお、ロボコネクトの利用にはSota(本体価格10万円、2年保守サービス付きで15万4000円)を別途用意する必要がある。

 ロボコネクトでは、NTTグループのAI関連技術「corevo(コレボ)」を用いた「コミュニケーション機能」、ロボットへの呼びかけで写真撮影を行う「カメラ撮影機能」、ロボットを介して遠隔地でPCを使って対話する「遠隔対話機能」が利用可能。遠隔対話中はカメラが映した映像を見ながら、ロボット本体を動かすことができる。

 さらに、ロボコネクトのID、パスワード、シリアルコードや契約状況を確認できる「ユーザー管理機能」、事業者から受けた付加アプリケーションサービスの利用開始申請を許諾できる「付加アプリ利用許諾機能」を備える。

「ロボコネクト」サービス提供イメージ
付加アプリケーション第一弾は介護事業者向けのレクリエーション特化機能を備えた「Sortaレク」。回想、体操、歌、ゲーム、脳トレ、鑑賞、6種類のコンテンツを用意。今後も内容は順次更新される予定
介護事業者に「ロボコネクト」「Sota」をNTT東日本が提供・販売。付加アプリケーション「Sotaレク」はキューアンドエー株式会社が提供
「Sota」本体の大きさは、140×160×280mm(幅×奥行×高さ)、重さは800g。オレンジ、ネイビー、ライトブルーの3色を展開する

 NTT東日本では、これまでシニア層への光回線サービス普及拡大のため、介護事業を通じたICT利活用を促進する活動を行ってきた。その中で、趣味や学習、健康、交流に関心のあるアクティブシニア層には、タブレット端末を直感的に操作できるプラットフォームサービス「かんたんタブレット」を提供。一方、直接的な利用が困難なノンアクティブシニア層には介護事業者・介護者をサポートするためのサービス提供を検討していたという。

 介護レクリエーションは、高齢者のQOL(Quality Of Life)向上やリハビリ効果のために欠かせないが、企画・運営にかかわる職員の負担が大きいことが人材流出の一因になっているという。また、レクリエーションの雰囲気作りに苦手意識をもつ若手職員が多いことや、高齢者(特に認知症患者)の集中力の持続、積極性の向上が難しいという課題があった。

 そこで、介護レクリエーションにおけるコミュニケーションロボット活用の実証実験を2015年8~11月に実施したところ、職員の約9割近くが負担を軽減できたという効果を確認。介護現場におけるコミュニケーションロボットの導入に対するニーズが高いことが分かったという。

トライアルの結果、職員や被介護者へ一定の効果を確認

 サービスの商用化に至るまで、各施設と意見交換を実施。その中で、「ロボットと会話したい」「施設の皆でカメラで撮影して盛り上がれると良い」「ロボットのカメラを使って“見守り”がでたら良い」「介護レクリエーションのコンテンツ数を増やして欲しい」「自動進行により、職員の稼動をさらに削減できるようにして欲しい」「価格は月々インターネット利用料を含めて1万円以下であれば利用したい」といった要望があった。それらの意見を取り入れ、ロボコネクトの提供に至った。

 初年度は介護施設を中心に約250体を目標に導入する。NTT東日本ビジネス開発本部第三部門未利用層開拓担当課長の菅光介氏は、「将来的には1万件の介護施設に導入したい。また、市場のニーズを見ながらSota以外にも新しいコミュニケーションロボットも対応できるようにしていきたい」と述べた。

 また、付加アプリケーションのラインナップを充実し、プレゼンテーション、観光、受付などへのニーズがあればそれぞれ対応していく。さらに、デバイス連携技術「R-env:連舞」やクラウドロボティクス基盤を活用し、ロボット市場の拡大を目指すとしている。

遠隔対話機能のアプリケーション画面
Sotaで撮影した写真はスマートフォン/タブレット/PCの専用ページから閲覧できる
「Sotaレク」のデモでは、テレビの動画の内容をSotaが解説していた
NTT東日本ビジネス開発本部第三部門未利用層開拓担当課長の菅光介氏