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個人事業主の開業手続きを簡単にする無料サービス「開業 freee」リリース

 freee株式会社は10日、個人事業主が開業手続きをする際に必要な書類をクラウド上で作成できる無料サービス「開業 freee」を提供開始した。ウェブブラウザー上で質問に回答していくだけで、税務署に提出する下記の5つの書類を作成・出力できる。同じことを複数の書類に何度も記入する手間が省けるほか、個人事業主が開業手続きをするにあたり、そもそもどのような書類を提出する必要があるのかなどをインターネットで調べて準備する必要がなくなるとしている。

  • 開業・廃業等届出書
  • 青色申告承認申請書(青色申告を行う場合)
  • 青色事業専従者給与に関する届出書(家族に給与を支払うか、家族への給与を経費にする場合)
  • 給与支払事務所等の開設届出(給与を支払う場合)
  • 源泉所得税に納期の特例の承認に関する申請書(給与を支払う場合)

 開業 freeeでメールアドレスとパスワードを登録してアカウントを作成した後、「どのような仕事をする予定ですか? していますか?」「その仕事はいつから始めますか? もう始めていますか?」「収入はいくらぐらいになりそうですか? 目指していますか?」「どこで仕事をしますか? していますか?」「給与を支払う予定はありますか?」「屋号があれば入力しましょう」「申請者の情報を入力しましょう」「お店の住所を設定しましょう」「「収入(所得)の種類を選びましょう」「確定申告の種類を選びましょう」といった項目に回答していけばよい。

 仕事の内容については、「飲食業」「美容・理容」「士業」「フリーランス」「農業」「文化・芸術・芸能」などの分類からさらに具体的な仕事をプルダウンメニューから選ぶ方式。また、確定申告の種類としては「青色申告65万円控除」「青色申告10万円控除」「白色申告」から選択するが、それぞれの方式による見込み納税額が自動的に計算されるシミュレーション画面もあり、青色申告では白色申告よりどれだけ“お得”か分かるという。

 freeeが個人事業主4141人を対象に9月に行った調査によると、開業届を提出していない個人事業主が29.3%、青色申告承認申請書を提出していない事業所が31.3%あったという。開業届を提出していない理由は「特に理由はない」が60.9%、「提出するメリットが分からないから」が19.8%など。青色申告承認申請書を提出していない理由は「特に理由はない」が58.4%、「提出するメリットが分からないから」が26.0%など。

 しかしながら、freeeでは、確定申告の際に白色申告と青色申告では年間控除額に大きな差が出ると説明。白色申告よりも控除額の大きい青色申告ならば、例えば月収30万円の事業では、その年間納税額が16万3550円少なくなるという。開業届や青色申告承認申請書を提出せずに白色申告を行っている個人事業主の中には、こうした本来受けられるはずの青色申告のメリットを最大限に享受していない事業者が存在することが調査結果から判明したと、freeeでは指摘している。また、事業を手伝っている家族が1人以上いるとした事業主が計55.6%おり、青色申告承認申請書とともに青色事業専従者給与に関する届出書を提出することで、家族への給与支払いを経費にすることができるとしている。

 また、同調査から、開業・廃業届の準備と提出にかかった時間は平均11.2日、青色申告承認申請書の準備と提出にかかった時間は平均11.2日との結果も出ており、これが開業 freeeでは数分で済むとしている。

 書類作成が完了したら、提出先となる管轄の税務署を地図を見ながら選択可能。必要書類はPDFで出力され、印鑑を押印する場所と提出・保管する書類を一覧化したチェックリストや、書類を郵送する場合のために提出先の税務署の住所が記された宛名ラベルもあわせて出力される。

 なお、職種ごとに必要となる許認可の取得や、従業員を雇う場合の労働保険の手続きのための書類については、開業 freeeでは対応していない。

 freeeでは、開業 freeeで開業届や青色申告承認申請書を作成・提出した後、同社が提供する「クラウド会計ソフト freee」をあわせて利用することで、複式簿記の知識がなくとも青色申告様式の確定申告書を簡単に作成できるとしている。なお、開業 freeeの利用アカウントにはクラウド会計ソフト freeeの1カ月分のクーポンを提供。クラウド会計ソフト freee自体の試用期間の1カ月とあわせて、計2カ月間の無料利用が可能だ。また、事業用に新たに銀行口座を開設したい利用者が、ジャパンネット銀行の口座の開設申し込みを開業 freee上で行えるようにしている。