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ドラえもんのように守ってくれる「ノートンセキュリティ」新バージョン

 株式会社シマンテックは、「ノートン セキュリティ」最新バージョンを13日より提供開始し、PC(Windows)、Macに加え、Andorid/iOS端末を含む最大3台までを保護の対象とする「ノートンセキュリティプレミアム」1年版(6998円)と3年版(1万4342円)を店頭販売する(価格はいずれも予想実売価格、税込)。

 これまで提供していた1台のPCまたはMacが対象の「ノートンセキュリティスタンダード」1年版(2980円)は一部店舗やオンライン販売を継続する。

 新バージョンでは“イメージチェンジ”をテーマに、ブランドキャラクターとして「ドラえもん」を採用した。シマンテックの正木敏博氏(執行役員ノートン事業統括本部統括本部長)は、「これまでの上級者向けのノートンへのイメージを変え、『セキュリティって難しそう』と思っている人々へ向けて、のび太をそばで守っているドラえもんのように、いつも見守る頼もしい存在を目指したい」と、その理由を語った。

 正木氏は、「PC市場は前年比でどんどん縮小している一方、インターネットへのアクセスデバイスは増加している。そんな中、あらゆる使用状況に対してセキュリティを確保していきたい」と述べ、家電量販店や、PCベンダーといったこれまでの販路に加え、携帯電話事業者や携帯電話販売店といったチャネルからの提供拡大を表明。「多くのコンシューマーに安全を提供したい」とした。

 また、先日発表を行っている公衆無線LAN環境でのセキュリティを提供する「ノートンWi-Fiプライバシー」といった製品を挙げ、東京オリンピックへ向けたWi-Fi環境の安全性を高めるとしたほか、「世界でもまれなiPhone使用率の高さといった日本独自の事情に対応した製品も今後提供していく」と述べた。

 シマンテックの住山望氏(ノートン事業統括本部プロダクトマーケティング部リージョナルプロダクトマーケティングマネージャー)は、新たに発見されたマルウェアが、2014年の3億1700万種から、2015年には4億3100万種へと36%増加し、新種のランサムウェアについても2014年の26万9000種から2015年には36万2000種へ36%増加しているとする米Symantecのインターネットセキュリティ脅威レポートの数字を紹介。高度化する脅威に、従来の対策では防御が困難になっているとした。

 こうした最新の脅威からの保護のために、新バージョンには、PEP(Proactive Exploit Protection)、エミュレーション、機械学習という3つの新機能が搭載されている。

 PCにおける脆弱性の数は、2014年の6549件から2015年には5585件へと減少しているが、ゼロデイ脆弱性は2014年の24件から2015年には54件へ増加、インターネットではこうしたゼロデイ脆弱性への攻撃を容易にするエクスプロイトキットが出回っている。PEPは、エクスプロイトキットを用いた攻撃パターンを収集・分析して未然に防ぐ機能で、定義ファイルなしで脆弱性を保護できるものとなる。

 新機能のエミュレーションについては、一見無害に見えるほど圧縮や難読化が巧妙に施され、検知が困難になっているマルウェアをエミュレーター上で展開する技術。また、機械学習の機能は、Symantecが収集したマルウェアのファイル属性やプロパティに関する4000万の情報から1000パターンのアルゴリズムを実行し、これによりトレーニングされたエンジンを実装したもので、亜種の検知などで特に効果的なもの。この2つの機能は、ノートンセキュリティの6つの保護層のうちファイル保護層でマルウェアを検知するものとなる。

 また、未知の脆弱性、ネットワーク、ファイル、評判・評価、ふるまい検知、修復からなる6つの保護層による防御は、ランサムウェア対策でも大きな効果を発揮するという。

 ノートンセキュリティでは、Android向けにも提供されているが、新機能については近日中に提供予定とのこと。Symantecで、3000万種のAndroidアプリを分析したところ、マルウェアなどを含む危険なアプリが1万5000種もあるほか、プライバシーリスクのあるアプリは1700万種も含まれるという。この分析結果からアプリを分類し、アプリによるデータの送信先をはじめとした挙動から、ユーザーがアプリが安全に使えるかを判断できる機能が提供されるという。

 このほか、Mac向けでも定義ファイルのサイズを3分の2に削減、スキャンを高速化する機能改善が行われている。

 米Symantecのフラン・ロッシュ氏(ノートン事業本部副社長)は、同社が世界15カ所で157カ国を対象に展開するグローバルセキュリティセンターを紹介。24時間365日、6300万以上の攻撃センサーを展開し、2015年にはPC、Macやモバイル端末への30億件の攻撃をブロックし、6300万人を保護しているという。

 こうした情報によれば、従業員250人以下の企業を標的とした攻撃が増加している傾向を紹介。ノートンセキュリティは、個人だけでなく、こうした中小企業でも多く利用されており、多層防御の技術とデバイスの性能を損なわないことを両立させた、シンプルで管理が簡単なソリューションとしてマルチプラットフォームへの保護を提供するとした。

 注目され始めているIoT機器向けのセキュリティについても、2020年までに500億以上のデバイスが接続される見通しを述べつつ、「ホームセキュリティカメラ、ドアホンへの攻撃などが、米国や英国ですでに現実になっている」とし、DDoS攻撃などの踏み台になっている状況を挙げ、来年以降に新しいサービスを提供するとした。

 さらに、個人情報の盗難をはじめとしたサイバー犯罪への保険に対する需要が欧米で高まっている状況にも触れ、「主要な保険会社では、ノートンを使ったサイバー保険を個人向けや中小企業向けに提供している」とし、今後は国内でもこうした動きを支援していくとした。