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「N高等学校」が東京・大阪で通学コース開校、「代ゼミスクールN」には医学部受験用プラン新設、来年4月より

 学校法人角川ドワンゴ学園の通信制高校「N高等学校」において、通学コースや医系専用プラン、国際留学コースを2017年4月に新設する。カドカワ株式会社が13日に発表した。

ネット×リアルの「N高通学コース」

 今年4月に開校したN高等学校では、インターネットで完結できる授業システムを提供しているが、「学校に通って勉強したい」というニーズに応え、東京(代々木)、大阪(心斎橋)に2校のキャンパスを新設し、「N高通学コース」を開校する。

 各キャンパスの定員は200名。年間費用は週5日コースが83万5700円、週3日コースが61万9700円、週1日コース(土曜日のみ)が40万3700円。入学資格は中学卒業(見込)または高校在籍経験者、高校転学希望者。

 通学コースでも、従来通りネットの映像授業を活用する。高校卒業資格取得のための授業をネットで行うことで、生徒は自由な時間を増やせるため、空いた時間にリアルな場でのコミュニケーションを活かしたカリキュラムを提供する。

 例えば、各業界で活躍する専門家を講師として迎える特別授業「スペシャルN」では、毎月設定されたテーマでグループワークを実施。プレゼンテーションを行う参加型授業により、生徒の主体性や問題解決能力を養う。外国語授業では、バイリンガル講師による英語・中国語の実践的な会話授業を行い、中国語検定3級、TOEFL iBT 70点、英検2級取得を目指す。

 このほか、スマートフォン向けの双方向学習アプリ「N予備校」で提供している大学受験講座やプログラミング、複数の生徒で本を輪読する「サークルリーディング」なども実施する。

 生徒40~50人に対し、3人の担任・担任助手を配置。なお、担任の教師は授業を行わず、生徒の習熟度に合わせた個別指導や面談、コーチングなど対話を重視した指導に専念することで、主体的に学習できるようなサポートを行っていく。一般的な全日制高校では、学校の学習ペースに合わせられない生徒は授業で取り残されがちになるが、通学コースでは生徒に合わせた学習ペースで学べることを特徴としている。

 角川ドワンゴ学園理事の大井川和彦氏は、「(自分の)ペースを守って学べるのはネットの最大のメリットの1つではないかと考える。また、自分でペースを作れない生徒には担任が徹底的にサポートする体制を取っている。ネットとリアルを融合した未来の学校の環境を目指している」と通学コース新設への意気込みを語った。

 角川ドワンゴ学園理事の川上量生氏は「現在の学校の指導方法の中でインターネットやITなどの動きに追いついていない部分を埋めていく」としている。授業料については、「一般的な学校に比べて特に高いわけではなく、実施している内容からすると相当安いと思っている」とした。

 また、角川ドワンゴ学園理事の志倉千代丸氏によると、通学コースは「教育のプロではない僕らなりに実践的なものは何か考えたとき、学校指導要領の中で可能なところを残した結果できたもの」としている。

学校法人角川ドワンゴ学園理事の川上量生氏と志倉千代丸氏
大学受験講座では予備校講師によるネット授業を受けることができる
キャンパスの担任は授業を行わず、指導に専念
「スペシャルN」では、専門家の特別講師を招いた講義を実施。テーマについてグループで情報を収集し、プレゼンテーションを行う参加型授業を実施する
「サークルリーディング」は1冊の本を複数名で順番に読み、互いに意見を交わす輪読を行う
プログラミングの授業ではドワンゴの現役プログラマーが担当
外国語の授業はバイリンガル講師が行う少人数制の授業。「読む」「書く」「聞く」「話す」を含めた4技能に対応した英語・中国語を学び、初心者レベルから各種資格取得を目指す
「プロジェクトN」は生徒自身がプロジェクトを考え、1年を通して行う実践型学習。プレゼンテーション力、課題発見力、協調性、論理的思考力、計画性を身に付ける
デジタル教材には、映像授業に連動した約50冊分の問題集や参考書の内容を収録
映像授業の受講やプログラミング学習にはMacBookを使用
コーチングの手法には、ある中学校の陸上部を7年間で13回の日本一に導いたという「原田メソッド」を導入。角川ドワンゴ学園評議員の原田隆史氏が考案したもので、ビジネスの分野でも約320社・6万人が指導を受けているという。キャンパスの全教師も研修を受けているそうだ

「代ゼミNスクール」に医系専用プラン新設

 大学受験に特化したコース「代ゼミNスクール」には、医系専用プランを新設する。代々木ゼミナールの専用校舎で受講できる。今回、新たに各科目のマンツーマン個別指導を担当する講師と、担任スタッフである「学びのプロデューサー」がチームを組み、医学部合格に向けた受験勉強を行う。入学資格はN高等学校在籍者またはN高等学校への入学希望者(転入・編入含む)のうち、医学部志望者。

 高校1~3年生向けの「Exceed」プランの対面・映像授業では通学日数を1~6日まで選択可能。選択した日数に応じて個別指導を週1~6コマまで受講できる。授業料は、週1日コースが71万円、週2日コースが132万円、週3日コースが196万円、週4日コースが255万円、週5日コースが319万円、週6日コースが375万円。

 高校3年生向けの「Premium」プランでは、週6コマまで受講できる個別指導に加え、対面授業・映像授業などの代ゼミ全講座を受講可能。担任である学びのプロデューサーと講師による「合格指導法戦略会議」や、生徒の学力特性と入試問題の相性を考慮した「受験校マッチング診断」により、受験対策を行う。授業料は週6日間で393万円。

 また、面接・小論文対策として株式会社日本入試センターが運営するY-SAPIXのオリジナル授業「リベラル読解研究」や英語4技能試験対策として、株式会社ベストティーチャーの「オンライン英会話」も活用。リベラル読解研究では、哲学・歴史・経済などの多様な分野に関する書籍を読んで討論を実施。医学部合格だけでなく、「医師としての将来を見据えた人間力を身に付ける」ことを目指していく。

 大井川氏は、同プランが「代々木ゼミナールが総力を挙げてサポートする画期的なもの」としている。「医学部合格を確実なものにするためには、生徒の特性、受験する大学入試問題の傾向を踏まえながら、きちんとした戦略を立てることが重要になる」と述べた。

学校法人角川ドワンゴ学園理事の大井川和彦氏

9カ月で英語をマスター、N高×ベルリッツの「国際留学コース」

 「国際留学コース」は、ベルリッツ独自の語学教授法「ベルリッツ・メソッド」を活用したN高等学校向け特別プログラムにより、即戦力となる英語力を9カ月で習得する通学コース。国内では6カ月にわたるグループレッスンまたはマンツーマンレッスンを行い、海外留学では3カ月間オーストラリアに滞在する。中学校英語の復習レベルからCEFRヨーロッパ言語共通参照枠A2-B1相当以上の到達を目指す。

 グループレッスンは、東京(新宿)、名古屋(名古屋駅前)、大阪(梅田)にあるベルリッツランゲージセンターで実施。マンツーマンレッスンはベルリッツが全国に展開する60カ所の教室で行う。受講料は、国内グループレッスンが131万円、マンツーマンレッスンが135万円。別途、入学金3万2400円、教材費4万5000円がかかる予定で、留学費用は160万円。なお、受講資格はN高等学校在籍者のみとなる。

9カ月で即戦力な英語を習得
国内では6カ月間にわたり学習
グループレッスンは、東京、名古屋、大阪にあるベルリッツランゲージセンターで実施
国内での1日のスケジュール例
オーストラリアでは、ベネッセグループ・ベルリッツ傘下の「ELS Language Centers」で英語教育を受ける
ELSの基準をクリアした場所でホームステイ
オーストラリアでの1日のスケジュール例
国内でのグループレッスン、留学費用を合わせると約299万円の費用がかかる