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ICT教育推進に向けた日本マイクロソフトの戦略、教員研修プログラムや研修モデルルームなど

 第4次産業革命に向けた人材育成として政府が掲げるのは、学習指導要領の改訂やプログラミング教育の必修化による「情報活用能力の育成」、ICT教育の教員研修による「教育環境の整備」、AI/IoT/ビッグデータなどを利活用できる「ハイレベル人材育成」。日本マイクロソフト株式会社はこれらに対し、自社のサービスを活用した戦略を展開するという。10月25日に行った教育機関向け施策についての記者発表会で紹介した。

 「情報活用能力の育成」に関しては、教育機関向けの「Minecraft: Education Edition」の提供、IEスクール(情報教育推進校)の支援を通じたプログラミング教育の普及促進を掲げる。「教育環境の整備」に関しては、プログラミング教育を含めた教員研修プログラムや「ICT教育研修モデルルーム」を無償で提供する。「ハイレベル人材育成」に関しては、学術ネットワーク「SINET5」とクラウドサービス「Microsoft Azure」の直接接続を提供する。

 初等中等教育でのプログラミング教育として提供される「Minecraft: Education Edition」では、ゲームを通じて論理的に物事を解決する「プログラミング的思考」を養うことを目的としており、共同作業によりアクティブラーニングの素養を体得しながら、プログラミングへの興味や理数教育にも繋げる狙いがある(2016年10月25日付記事『「Minecraft: Education Edition」11月1日提供開始、教員あたり月額120円、児童・生徒は無償で利用可能』参照)。

 教員向けの研修プログラムは、教員資格を持つ講師が担当。「ICT教育研修モデルルーム」では、デジタル教科書、書画カメラ、デジタル教材、無線LANアクセスポイント、電子黒板、教員研修用テキスト、稼働可能な机と椅子、学習者用タブレットPCを用意。インテル株式会社、日本電気株式会社、株式会社NTTドコモ、株式会社東芝などのPCメーカー、ソフトウェアメーカー、教科書・教材会社が参加する「Windowsクラスルーム協議会」と共同で、アクティブラーニングに適した環境を提供する。現在、佐賀大学、奈良教育大学、信州大学、宮城教育大学での設置が検討されており、「機材不要で全国各地の希望の場所で受講できる」ことを特徴としている。

 8月に行われた「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」の最終まとめでは、「教育委員会応援プラットフォーム(仮称)の構築」が提案され、10月19日に発足した「全国ICT教育首長協議会」からは、産学官連携による教師への研修の機会・研修環境整備の要望が挙がっていたため、今回のサービス展開に至ったという。2020年までに全教員の約5%を占める5万人を対象に無償で提供するとしている。

 「ハイレベル人材育成」向けとして提供されるSINET5とMicrosoft Azureの直接接続サービスは、2020年までに400以上の大学・研究機関での導入を目指すという。SINETは日本全国の大学・研究機関などの学術情報基盤として運用している情報通信ネットワークで、エンドツーエンドの閉域接続が可能。全国約850の機関(ユーザー数合計約300万人)が加入している。現在運用されているSINET5は5月に開通したもので、100Gbpsの通信速度を実現する。

 日本マイクロソフト執行役員常務パブリックセンター担当の織田浩義氏は、「これらのサービスを展開しながら教育のデジタルトランスフォーメーションを推進し、教育の場に貢献していきたい」と展望を語った。

日本マイクロソフト株式会社執行役員常務パブリックセンター担当の織田浩義氏