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インフォテリアが「パンゲア2.0」、世界展開を目指すスタートアップ企業に無償で設備を提供
2017年1月13日 06:00
インフォテリア株式会社は12日、同社社内で展開するIoT機器展示スペース「IoT Future Lab.」内の会議室やコワーキングスペース、イベントスペースをスタートアップ企業に無償で提供するプログラム「パンゲア2.0」を開始すると発表した。
「パンゲア」は2011年に開始したプログラムで、2016年11月の同社オフィス拡張に伴いリニューアルを実施。提供スペースの拡大や経営・交流支援なども行っていく。支援対象となるのは、起業から5年未満で社員数10人未満かつ世界展開を目指す企業(事業)。なかでもIoT技術、ブロックチェーン技術に取り組んでいる企業や、東京に拠点のない地方企業を優先するとしている。
利用できる施設はオープンスペース1室(132平方メートル)、リラックススペース1室(82平方メートル)、セミナールーム1室(124平方メートル)、会議室6室(計181平方メートル)、スタジオ1室(11平方メートル)。
経営相談や定期的な広報指導はインフォテリア代表取締役社長の平野洋一郎氏と社外取締役のアニス・ウッドマン氏が担当、ディレクターには株式会社54代表取締役社長の山口豪志氏が就任。ベンチャーキャピタルや業界関係者との交流会も定期的に開催する予定だそうだ。
平野氏は少人数で事業を開始するスタートアップ企業は経営資源に乏しく、製品・サービスの紹介や面談・メディア対応を行うための場所・スペースの確保が困難であることを挙げる。インフォテリア創業時には会議室やワーキングスペースの無償提供を受けた経験があり、これを「恩送り」としてスタートアップ企業向けに提供するとしている。
「インフォテリア創業時は六畳一間のアパートの一室から始まった。スタートアップのため、お金も場所もなかったが、以前所属していた企業から無償で会議室やセミナールームなど空きスペースを貸してもらい、非常に助かった。今度は私達が新たなスタートアップ企業へ恩送りとして提供する。いろんな卒業生が世界に展開できれば」と展望を語った。
ディレクターを務める山口氏は「パンゲア1.0」をランサーズ株式会社に所属していたころに利用していたユーザーでもあり、今回、同プログラムの卒業生としてスタートアップ企業を支援する立場を担う。「これまで多くの方に助けていただいたことで今の自分がある。次なる起業家達に貢献して盛り上げていきたい」と意気込みを語った。
ランサーズ株式会社代表取締役社長の秋好陽介氏はパンゲア1.0を利用していた頃を振り返って説明。「当時は株主もなく、メディアに出ているわけでもなかった。その中で上場企業から貸してもらっている事実がうれしく、心のよりどころになった。創業時は7人だったメンバーが現在は200人弱のスタッフを抱えるまで成長した」と述べ、パンゲア2.0で新たなスタートアップ企業が誕生することへ期待を寄せた。
新たにパンゲア2.0を利用する企業として株式会社TearsSwitchの代表取締役社長兼NPO法人ゼロワン代表理事の米田真介氏が登壇。ゼロワンではスポンジ製の刀で相手の腕に装着したボールを落として勝敗を競い合う「チャンバラ合戦-戦IKUSA-」を展開。企業や学校などのレクリエーションとしてサービスを提供している。
「サービスを展開するうえで何千本単位の刀を用意する必要があるが、小さな部屋に刀が乱雑に置かれていたり、そういった部屋に顧客を呼ぶことになる。しかし、今回場所を提供してもらったことでメディアなどへの対応にも応じることが可能になる。我々のようなスタートアップ企業はアイデアを拡大させるには人との出会い、環境がチャンスを拡大すると感じている。パンゲアで支援していただくメリットは大きい」としており、同サービスを通じて、「チャンバラ合戦-戦IKUSA-を海外へも進出させたい」と抱負を述べた。