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SynologyはNASだけではない! 初のUTM製品を発表、高機能11acルーター「RT2600ac」からドアホン連携の監視ソリューションまで新製品続々

「COMPUTEX TAIPEI 2017」レポート

台北市内のデパートに開設された臨時ショールーム

 Synologyといえば、高性能なNAS(Network Attached Storage)が日本でも有名だ。しかし実際には、NASを中心としたストレージデバイスを提供しているだけではない。SynologyではNASを“Network Application Storage”として捉え、ネットワーク関連ハードウェアやネットワーク管理アプリケーションに特に注力しつつ、NASを中心にネットワーク全体を管理するという思想でさまざまな製品を送り出している。

 そして、「COMPUTEX TAIPEI 2017」開催にあわせて台北市内のデパート内に臨時ショールームを開設し、今後発売を予定している新製品などを展示した。

内部は非常にお洒落な佇まいで、その中でSynologyの最新製品やソリューションを紹介
NASやネットワークソリューションが紹介されているとは思えない雰囲気
バーカウンターも用意され、オリジナルカクテルを提供
「FireWall」と名付けられたカクテル。ただ、名前に反し非常に飲みやすかった

Synology初のUTM製品「Security Gateway SG1000」

 「Security Gateway SG1000」は、非常に高度なネットワークセキュリティを実現できる、Synology初のUTM(Unified Threat Management)製品で、ユーザー数100人以下の、中小規模ネットワークでの利用をターゲットとしている。1.7GHzデュアルコアCPU、メモリは2GB搭載しており、非常に高性能な点が特徴。

 また、扱いやすい管理ソフトウェア「Network System Manager(NSM)」によって、導入や運用も簡単となっている点も特徴とのこと。例えば、ネットワーク全体のトラフィックを監視できるのはもちろん、TwitterやFacebookというように、アプリケーションやサービス単位でトラフィックを遮断するといったこともできるようになっており、管理のしやすさを追求している。

 2017年中の発売を予定しており、米国での価格は399ドル、日本での発売は未定。

Synology初のUTM製品「Security Gateway SG1000」
本体正面
背面
Security Gateway SG1000の管理ソフトウェア「Network System Manager」
ネットワークトラフィックの監視や制御が簡単に行える
ネットワーク全体のトラフィック状況もひとめで把握できる
トラフィック管理もメニューから簡単に行える
特定アプリケーションを指定したトラフィック遮断も行える

4×4 MIMO対応の超高性能11ac無線LANルーター「RT2600ac」

 「RT2600ac」は、IEEE 802.11ac準拠の4×4 MIMO対応無線LANルーターで、ビームフォーミングやMU-MIMOといった最新技術もサポートしている。

 面白い機能としては、接続する機器に応じて、5GHz帯域と2.4GHz帯域を自動で割り当てるというものがある。通常の無線LANルーターでは、5GHz帯域と2.4GHz帯域それぞれに異なるSSIDを割り当てて管理するのが一般的だが、RT2600acでは1つのSSIDを設定しておくだけで、ルーター側で高速になるように自動的に帯域を判断して接続するという。これによって、ユーザー側がいちいち帯域を分けて管理する必要がなくなり、より簡単に利用可能となる。

 また、高度なVPN機能の搭載も大きな特徴の1つ。「VPN Plus Server」というアプリケーションが用意され、専用URLにアクセスするだけでVPN接続を可能とする「Synology VPN」機能や、遠隔地の拠点にRT2600acを設置して各拠点をVPN接続する「Site-to Site VPN」機能を用意するなど、非常に高度なものとなっている。

 このほかにも、2系統のWANを接続し、それぞれの帯域を管理できる「Smart WAN」という機能や、ペアレンタルコントロールなど家庭向けの機能も網羅しており、SOHOから家庭用までカバーする非常に高性能な無線LANルーターとなっている。こちらは、2017年7月に日本でも発売予定だ。

IEEE 802.11ac準拠の4×4 MIMO対応無線LANルーター「RT2600ac」
背面
管理メニュー「Synology Router Manager」では、ルーターの持つ様々な機能の管理や設定が可能
高度なVPN機能を提供する「VPN Plus Server」を搭載。
「Synology VPN」機能では、専用URLにアクセスするだけでVPN接続が可能
2系統のWANを接続し、それぞれの帯域を管理できる「Smart WAN」という機能を搭載
2系統のWANは、それぞれにロードバランスも自在に設定可能
接続している無線LAN子機の情報も簡単にチェックでき、不正アクセスの疑いがある機器の遮断も容易に行える
家庭での利用を考慮し、ペアレンタルコントロール機能も用意
子機ごとに使用時間を細かく設定可能
有害サイトへのアクセスブロック機能も用意されている
日々のネットワーク使用状況のログも表示できる。
どこにどれだけの頻度で接続したかも簡単にチェック可能だ

ドアカメラやPOSとの連携も可能となった監視ソリューション

 SynologyのNASは非常に高度な機能を多数網羅している点が大きな特徴だが、その中でも企業などで大きく評価されているのが監視ソリューション。「Surveillance Station」が、その監視ソリューションの中核を成すPC用アプリケーションで、今回最新バージョンとなる8.1のベータ版が展示された。

 Surveillance Station 8.1では、動画再生時にGPUの動画再生支援機能が利用可能になったという。これにより、NASに保存されている多数のネットワークカメラの映像もCPUに負荷をかけることなく表示可能になったという。また、ドアホンとの連携機能も追加され、ドアホンの呼び鈴が押されたことをスマートフォンに通知したり、スマートフォンからドアホンの応対が可能。さらに、最大12台のPOSとの連携も可能となった。店頭でのPOSレジ操作とネットワークカメラの映像をリンクして管理できるため、取引ごとの様子も簡単にチェック可能となる。どういった人がどういった製品を購入したか、簡単に把握できるようになるため、販売商品の品ぞろえを検討する場面でも活躍するという。

 また、4Kモニターに接続し、最大96チャンネルの720pネットワークカメラ映像を同時表示できる「VS960HD」も展示。ネットワーク経由でNASに接続することで、NASが管理しているネットワークカメラのリアルタイム映像や録画映像を大画面モニターに一覧表示できるため、ネットワークカメラの管理環境が大きく向上する。

NASを中核とした監視ソリューションも進化した
PC用アプリケーション最新版「Surveillance Station 8.1」では、GPUの動画再生支援機能に対応。多数のネットワークカメラの映像もスムーズに表示されるようになった
AXISのドアホンとの連携も追加
ドアホンの映像をスマートフォンに転送し、スマートフォンから応対が可能
PC上の「Surveillance Station」からもドアホンの画像を見たり、応対が可能だ
POSとの連携機能も追加。POSデータとネットワークカメラの映像をリンクさせ、取引ごとの映像を簡単に参照できる
最大96チャンネルのネットワークカメラ映像を同時表示できる「VS960HD」
USBにマウスを接続して操作も可能
手のひらサイズで置き場所に困らない
本体正面
背面
4Kモニターに接続すれは、最大96チャンネルの720p映像を同時表示可能

同一ドメイン内のユーザーを対象としたクラウドデータの自動バックアップ機能も新たに用意

 NASの活用用途の1つがデータバックアップだが、SynologyのNASには非常に高度なバックアップ機能も搭載されている。通常バックアップ機能は、サーバーやクライアントPCにバックアップソフトウェアをインストールして実現するのが一般的。しかしSynologyでは、NASからWindows/Linuxサーバーのバックアップを行える「Active Backup for Server」を提供している。

 そして今回、Active Backup for Serverシリーズの新たなバックアップ機能(アプリ)として展示されたのが「Active Backup for G Suite」だ。同一ドメイン内のユーザーがクラウドサービスに保存しているデータを自動でバックアップするもので、Googleが提供しているGoogle Drive(G Suite)のほか、Microsoftが提供しているOneDrive for Business(Office 365)に対応する。

 ドメインに新規ユーザーが追加されても、それを自動認識してバックアップが行われる。各ユーザーが意識することなく、日々更新されるデータが自動的にバックアップされるため、データの安全性が大きく向上するのはもちろん、復元も容易となっているため、万が一のトラブルにも迅速に対応できる。バックアップモードは、マニュアル、スケジュール、連続など3モードを用意。

 こういった高度なバックアップ機能が追加されたことで、より企業での利便性も高まったと言える。

高機能なデータバックアップ機能も、今回展示された目玉ソリューションの1つ
NASが同一ドメイン内のユーザーのクラウドデータを自動的にバックアップ
フォルダーごと、ファイルごとに日付を指定して復元が可能
バックアップに問題があった場合には警告を表示して管理者に伝える
バックアップモードは、都度全バックアップの「マルチバージョン」、ミラーバックアップの「ミラー」、差分バックアップの「インクリメンタル」と3モードを用意
「Active Backup for G Suite」では、ドメイン内の全ユーザーのクラウドデータを自動でバックアップできる
新規にユーザーを追加した場合でも、自動的に認識してバックアップ

NASの新製品も多数展示

 このように、SynologyはNASハードウェアの開発だけでなく、サービスやアプリケーションなど、周辺のソリューションにも力を入れていることがよく分かると思う。そして、そういったソリューションの充実が、SynologyのNAS製品の魅力向上に繋がっているわけだ。

 最後に、今回投入が予定されているNAS製品の新モデルを紹介する。もちろんこれらも、今回紹介してきたソリューションに対応しているので、ぜひ検討してみてもらいたい。そして、今後もSynologyの動向にも大いに期待したい。

NAS新製品も多数展示された

DS418j

 64bitデュアルコアARM A53 1.4GHz搭載の4ベイNAS。メモリは1GB搭載。ストレージは最大40TBまで搭載可能。

DS418j
正面
側面
背面

DS1817

 8ベイNAS新モデル。1.7GHzクアッドコアプロセッサAL-314を搭載し、メモリは標準4GB、最大8GBまで活用可能。また、10GbEを2ポート備える点も特徴。拡張ドライブボックスを2台接続し、最大18ドライブまで利用可能。

DS1817
側面
背面
10GbEを2ポート用意

DS718+

 Intel Celeron J3455搭載の2ベイNAS。2チャンネルの4K H.264/H265デコードをサポート。メモリは2GBで、最大6GBまで拡張可能。

DS718+
正面
背面
メモリスロットを備え、最大6GBまで拡張可能

DS918+

 こちらもIntel Celeron J3455搭載の4ベイNAS。底面にM.2スロットが2本用意され、SSDを搭載することでSSDキャッシュとして活用可能。

DS918+
側面
背面
底面にM.2スロットを2本備え、SSDキャッシュを搭載可能

DS3018xs

 Intel Pentium D1508搭載の高性能6ベイNAS。メモリは8GBと大容量で、最大32GBまで拡張可能。また、M.2 SSDを2台搭載し、SSDキャッシュとしても利用できる。

DS3018xs
正面
背面
底面からメモリの増設が可能
正面にUSB 3.0ポートを備える

FS1018

 2.5インチSSDの利用をターゲットとした12ベイNAS。非常に高速なアクセスが特徴で、特にビデオ編集スタジオなどでの利用を想定。CPUはIntel Pentium D1508搭載で、メモリは8GB、最大32GBまで拡張可能。また、PCI Express 3.0対応拡張カードスロットも用意され、10GbEの拡張にも対応している。

FS1018
正面
背面
2.5インチSSDの搭載に最適化

NVR1218

 POS連携に対応したネットワークビデオレコーダー。カメラは4台までフリーで利用でき、最大12台まで拡張可能。

NVR1218
正面
背面
POS接続用のシリアルポートを備える

【お詫びと訂正 15:55】
 記事初出時、「Security Gateway SG1000」の価格などに誤りがありました。

誤:米国での価格は339ドル
正:米国での価格は399ドル

誤:Surveillance Station 8.1では、動画再生時にCPUの動画再生支援機能が利用可能
正:Surveillance Station 8.1では、動画再生時にGPUの動画再生支援機能が利用可能

 また、「Active Backup for Server」に関する内容に誤りがあり、修正・加筆しました。

 お詫びして訂正いたします。

(協力:Synology)