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SynologyはNASだけではない! 初のUTM製品を発表、高機能11acルーター「RT2600ac」からドアホン連携の監視ソリューションまで新製品続々
「COMPUTEX TAIPEI 2017」レポート
2017年6月7日 06:00
Synologyといえば、高性能なNAS(Network Attached Storage)が日本でも有名だ。しかし実際には、NASを中心としたストレージデバイスを提供しているだけではない。SynologyではNASを“Network Application Storage”として捉え、ネットワーク関連ハードウェアやネットワーク管理アプリケーションに特に注力しつつ、NASを中心にネットワーク全体を管理するという思想でさまざまな製品を送り出している。
そして、「COMPUTEX TAIPEI 2017」開催にあわせて台北市内のデパート内に臨時ショールームを開設し、今後発売を予定している新製品などを展示した。
Synology初のUTM製品「Security Gateway SG1000」
「Security Gateway SG1000」は、非常に高度なネットワークセキュリティを実現できる、Synology初のUTM(Unified Threat Management)製品で、ユーザー数100人以下の、中小規模ネットワークでの利用をターゲットとしている。1.7GHzデュアルコアCPU、メモリは2GB搭載しており、非常に高性能な点が特徴。
また、扱いやすい管理ソフトウェア「Network System Manager(NSM)」によって、導入や運用も簡単となっている点も特徴とのこと。例えば、ネットワーク全体のトラフィックを監視できるのはもちろん、TwitterやFacebookというように、アプリケーションやサービス単位でトラフィックを遮断するといったこともできるようになっており、管理のしやすさを追求している。
2017年中の発売を予定しており、米国での価格は399ドル、日本での発売は未定。
4×4 MIMO対応の超高性能11ac無線LANルーター「RT2600ac」
「RT2600ac」は、IEEE 802.11ac準拠の4×4 MIMO対応無線LANルーターで、ビームフォーミングやMU-MIMOといった最新技術もサポートしている。
面白い機能としては、接続する機器に応じて、5GHz帯域と2.4GHz帯域を自動で割り当てるというものがある。通常の無線LANルーターでは、5GHz帯域と2.4GHz帯域それぞれに異なるSSIDを割り当てて管理するのが一般的だが、RT2600acでは1つのSSIDを設定しておくだけで、ルーター側で高速になるように自動的に帯域を判断して接続するという。これによって、ユーザー側がいちいち帯域を分けて管理する必要がなくなり、より簡単に利用可能となる。
また、高度なVPN機能の搭載も大きな特徴の1つ。「VPN Plus Server」というアプリケーションが用意され、専用URLにアクセスするだけでVPN接続を可能とする「Synology VPN」機能や、遠隔地の拠点にRT2600acを設置して各拠点をVPN接続する「Site-to Site VPN」機能を用意するなど、非常に高度なものとなっている。
このほかにも、2系統のWANを接続し、それぞれの帯域を管理できる「Smart WAN」という機能や、ペアレンタルコントロールなど家庭向けの機能も網羅しており、SOHOから家庭用までカバーする非常に高性能な無線LANルーターとなっている。こちらは、2017年7月に日本でも発売予定だ。
ドアカメラやPOSとの連携も可能となった監視ソリューション
SynologyのNASは非常に高度な機能を多数網羅している点が大きな特徴だが、その中でも企業などで大きく評価されているのが監視ソリューション。「Surveillance Station」が、その監視ソリューションの中核を成すPC用アプリケーションで、今回最新バージョンとなる8.1のベータ版が展示された。
Surveillance Station 8.1では、動画再生時にGPUの動画再生支援機能が利用可能になったという。これにより、NASに保存されている多数のネットワークカメラの映像もCPUに負荷をかけることなく表示可能になったという。また、ドアホンとの連携機能も追加され、ドアホンの呼び鈴が押されたことをスマートフォンに通知したり、スマートフォンからドアホンの応対が可能。さらに、最大12台のPOSとの連携も可能となった。店頭でのPOSレジ操作とネットワークカメラの映像をリンクして管理できるため、取引ごとの様子も簡単にチェック可能となる。どういった人がどういった製品を購入したか、簡単に把握できるようになるため、販売商品の品ぞろえを検討する場面でも活躍するという。
また、4Kモニターに接続し、最大96チャンネルの720pネットワークカメラ映像を同時表示できる「VS960HD」も展示。ネットワーク経由でNASに接続することで、NASが管理しているネットワークカメラのリアルタイム映像や録画映像を大画面モニターに一覧表示できるため、ネットワークカメラの管理環境が大きく向上する。
同一ドメイン内のユーザーを対象としたクラウドデータの自動バックアップ機能も新たに用意
NASの活用用途の1つがデータバックアップだが、SynologyのNASには非常に高度なバックアップ機能も搭載されている。通常バックアップ機能は、サーバーやクライアントPCにバックアップソフトウェアをインストールして実現するのが一般的。しかしSynologyでは、NASからWindows/Linuxサーバーのバックアップを行える「Active Backup for Server」を提供している。
そして今回、Active Backup for Serverシリーズの新たなバックアップ機能(アプリ)として展示されたのが「Active Backup for G Suite」だ。同一ドメイン内のユーザーがクラウドサービスに保存しているデータを自動でバックアップするもので、Googleが提供しているGoogle Drive(G Suite)のほか、Microsoftが提供しているOneDrive for Business(Office 365)に対応する。
ドメインに新規ユーザーが追加されても、それを自動認識してバックアップが行われる。各ユーザーが意識することなく、日々更新されるデータが自動的にバックアップされるため、データの安全性が大きく向上するのはもちろん、復元も容易となっているため、万が一のトラブルにも迅速に対応できる。バックアップモードは、マニュアル、スケジュール、連続など3モードを用意。
こういった高度なバックアップ機能が追加されたことで、より企業での利便性も高まったと言える。
NASの新製品も多数展示
このように、SynologyはNASハードウェアの開発だけでなく、サービスやアプリケーションなど、周辺のソリューションにも力を入れていることがよく分かると思う。そして、そういったソリューションの充実が、SynologyのNAS製品の魅力向上に繋がっているわけだ。
最後に、今回投入が予定されているNAS製品の新モデルを紹介する。もちろんこれらも、今回紹介してきたソリューションに対応しているので、ぜひ検討してみてもらいたい。そして、今後もSynologyの動向にも大いに期待したい。
DS1817
8ベイNAS新モデル。1.7GHzクアッドコアプロセッサAL-314を搭載し、メモリは標準4GB、最大8GBまで活用可能。また、10GbEを2ポート備える点も特徴。拡張ドライブボックスを2台接続し、最大18ドライブまで利用可能。
DS3018xs
Intel Pentium D1508搭載の高性能6ベイNAS。メモリは8GBと大容量で、最大32GBまで拡張可能。また、M.2 SSDを2台搭載し、SSDキャッシュとしても利用できる。
FS1018
2.5インチSSDの利用をターゲットとした12ベイNAS。非常に高速なアクセスが特徴で、特にビデオ編集スタジオなどでの利用を想定。CPUはIntel Pentium D1508搭載で、メモリは8GB、最大32GBまで拡張可能。また、PCI Express 3.0対応拡張カードスロットも用意され、10GbEの拡張にも対応している。
NVR1218
POS連携に対応したネットワークビデオレコーダー。カメラは4台までフリーで利用でき、最大12台まで拡張可能。
【お詫びと訂正 15:55】
記事初出時、「Security Gateway SG1000」の価格などに誤りがありました。
誤:米国での価格は339ドル
正:米国での価格は399ドル
誤:Surveillance Station 8.1では、動画再生時にCPUの動画再生支援機能が利用可能
正:Surveillance Station 8.1では、動画再生時にGPUの動画再生支援機能が利用可能
また、「Active Backup for Server」に関する内容に誤りがあり、修正・加筆しました。
お詫びして訂正いたします。
(協力:Synology)