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Google検索進化の方向性、メイヤー副社長が語る


 グーグルは15日、報道関係者向けの定例会見を開催。米Googleで検索担当副社長を務めるマリッサ・メイヤー氏が、検索に関するこれまでの取り組みと今後の開発の方向性について語った。

検索結果の20%は過去3カ月前には存在しなかったもの

米Googleで検索担当副社長を務めるマリッサ・メイヤー氏

 メイヤー氏は、Web上のコンテンツが5年前の5エクサバイトから、現在は281エクサバイトにまで急増していると指摘。ユーザーがアップロードするコンテンツについても、動画や写真が増えたことで3年前と比べて15倍に拡大したという。「コンテンツの拡大は、Web検索にも反映されている。検索結果の20%は過去3カ月前にはなかったものが追加され、どんどん新しくなっている」。

 Web上のコンテンツが増えたことで、検索サービスでは動画や画像、地図など文書以外のWebページをどのように見せるかが課題になっているという。そこでGoogleが開発したのが、Web、動画、画像などそれまで個別に分かれていた検索結果を1つに統合して表示する「ユニバーサルサーチ」だ。現在は9〜15%の検索結果に「ユニバーサルサーチ」が反映されている。

 さらにメイヤー氏は、Googleではオフラインのコンテンツをオンラインに取り込む活動も行っていると説明。その具体例として、世界各国の図書館や出版社などと提携してスキャンした書籍を閲覧できる「Google Book Search」や、学術資料を閲覧できる「Google Scholar Search」を挙げた。「それまで世界中のどこかに隠れていた英知に対して、時空を超えてアクセスできるようになったといえる」。


Web、画像、動画などの検索結果を統合して表示する「ユニバーサルサーチ」 オフラインのコンテンツをオンラインに取り込む活動について

 Googleでは2009年6月、CSV形式やXLS形式のファイルをアップロードすることでさまざまなグラフに変換できる「Fusion Tables」を公開した。同サービスでは、マラリアの感染率や飲料水の品質などのデータを相関させて、グラフとして表示することなどが可能だ。メイヤー氏は、「科学者の研究データがハードディスク内だけに収められないようにすることで、人類の英知を共有するのが狙い」と説明した。

 Web上のコンテンツが拡大したことについては、ユーザーの貢献度が高いという。例えば、YouTubeには毎分20時間分の動画がアップロードされているほか、Picasaには毎分4800枚の写真がアップロードされており、メイヤー氏は「ユーザー自らが率先して複数の人々との交流を求めている。この数字は、ユーザーがネットに期待を寄せている証拠でもある」と話した。

 ユーザーのWebへの貢献を促すサービスとしてはこのほか、ユーザーがよく知っている地域の地図を編集できる機能「Google Map Maker」を紹介。現在は164カ国で提供されており、1日で6000件以上の編集が行われているという。「それまで正確な地図データがなかったボリビアのサンタクルズなどでは、『Google Map Maker』を通じてユーザーが地図を作成してくれた」。


CSV形式やXLS形式のファイルをアップロードすることでさまざまなグラフに変換できる「Fusion Tables」 ユーザーがよく知っている地域の地図を編集できる機能「Google Map Maker」

検索サービス進化の方向性

 メイヤー氏は、「Web上のコンテンツの量・種類が増えて複雑化する中では、検索サービスもスマートに進化しなければならない」と指摘。今後の開発の方向性としては、1)検索クエリを考えたり入力する手間を軽減する、2)検索結果をパーソナライズ化する、3)ユーザーに検索のプロになってもらうのではなく、検索を簡易化する――の3点を掲げた。

 ユーザーの手間を軽減する検索サービスの具体例としては、検索ボックスに入力中の文字から想定されるキーワードを先読みして表示する「Google サジェスト」を挙げた。1週間前には米国限定で、キーワードだけでなくURLも表示する新機能の提供を開始したという。「検索ページを飛ばしてでも、目的のページにアクセスできることが特徴だ」。

 さらに、英語圏のみで提供されているサービスとして、キーワードのスペルを知らなくても音声入力で検索結果が得られる「Voice Search」を紹介。音声認識技術の開発に当たっては、Googleが用意したフリーダイヤルに電話をかけ、探している情報を話すことでローカル検索の結果を教えてもらえる「Voice Local Search」を通じて多数の音声を収集。これにより、異なる言い回しを解析できるようにしたという。


キーワードだけでなくURLも表示する「Google サジェスト」の新機能 キーワードのスペルを知らなくても音声入力で検索結果が得られる「Voice Search」

 検索結果を個人に最適化する事例では、携帯電話ではGPS、PCではIPアドレスを活用することで、ユーザーがいる場所に適した検索結果を表示できると話した。

 また、言語の壁を意識せずに利用してもらうために、Googleの検索サービスでは40カ国語の翻訳に対応しているという。例えば、アラビア語を話すユーザーが「アニメ」に興味を持った場合、アラビア語で検索すると同時に日本語でも検索し、検索結果をアラビア語に変換できる。これにより、アラビア語しか話さないユーザーでも、日本の豊かなアニメの情報にアクセスできるとした。

 画像検索では、類似した画像を検索できる「Similar Images」を使うことで、探したい画像のキーワードがわからなくても目的の画像にたどり着けると説明。例えば「月の満ち欠け」の画像を閲覧したい場合、月に関する画像の検索結果一覧から目的に近い画像の類似検索を行えば、キーワードを工夫しなくても「こんな画像が欲しい」というイメージだけで検索できるとした。


類似した画像を検索できる「Similar Images」 「Similar Images」で画像を絞り込んだところ

 当初は社内向けに開発したという「Google Moderator」では、ユーザーからの質問を募集したり、自分が聞きたい質問を投稿できると説明。これを一般公開したところ、米国のオバマ大統領がタウンホールミーティングに活用したこともあったという。「ゆくゆくは、ユーザーがお茶の間から政治に参加できるツールになる可能性を秘めている」。

 このほか、ユーザーの検索傾向からインフルエンザの流行を予測するサイト「Flu Trends」を引き合いに出し、ユーザーのWebへの関心を活用することで、世界全体に貢献できるサービスを提供できると説明。具体的には、「風邪」という検索クエリ数が増えた場合には、予防策を立てたり医薬品の備蓄量を調整することも可能だとした。

 また、「Twitter」のようなリアルタイム性のあるマイクロブログサービスについてもインデックス化を行っており、将来的にはユニバーサルサーチで表示できるようにしたいとの考えを示した。


ユーザーからの質問を募集したり、自分が聞きたい質問を投稿できる「Google Moderator」 ユーザーの検索傾向からインフルエンザの流行を予測するサイト「Flu Trends」

「Bing」が出たのは検索に改善の余地があるということ

 このほか、マイクロソフトが6月に開始した検索サービス「Bing」についてメイヤー氏は、「全く新しい考え方をする検索サービスが出たということは、検索サービスにはまだ改善の余地があることを示している。こうした競合サービスは解析しているが、それよりもユーザーが何を求めているかに着目することの方が、我々の開発の原動力となっている」と話した。

 「ユーザーの好奇心はまだまだ無限に伸びる。Webが複雑化するにつれて、ユーザーの要求も高くなる。検索の課題は尽きないが、それは同時に我々の発想のヒントにもなっている。これからも検索サービスで世の中を変えるという気持ちを肝に銘じて、ユーザーの興味を知りながら新たなサービスを展開していきたい。」


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(増田 覚)

2009/6/15 15:47

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