中国のブロードバンド利用者が3億人を突破
中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は、中国における2009年6月末時点でのインターネットの利用状況をまとめた「第24次中国互換網発展状況統計報告」を発表した。
●中国のネット利用者は3億3800万人、ブロードバンドが9割以上
中国のインターネット利用者数とインターネット普及率。青い棒グラフが利用者数を、赤い折れ線グラフが普及率を示す |
2009年6月末時点のインターネット利用者は約3億3800万人で、半年前に行った前回調査より約4000万人、2007年6月からの1年間では約8500万人増加した。ブロードバンド利用者は、インターネット利用者全体の94.3%にあたる3億1873万人が利用しており、実質、インターネット利用者=ブロードバンド利用者となっている。
ただし、その速度については2Mbps以下が大半。CNNICのレポートでは「ブロードバンドの普及率は非常に高いが、その速度はネット先進国から大きく遅れている」と指摘している。総人口に対するインターネット利用率は、半年前調査に比べて2.9%高い25.5%。国民4人に1人が利用している計算だ。
若者中心の利用という特徴は今回も変化せず、10~39歳の利用者が全体の83.5%を占める結果となった。職業別でも、学生の利用者が全体の31.7%を占めた。
若年層の利用が多いことから、インターネット利用者全体の収入を見るとあまり高くなく、月収1500元(約2万1000円)以下が全体の約6割を占める。具体的には、3000~5000元(4万2000円~7万円)が利用者の8.5%(2873万人)、5000~8000元(7万円~11万2000円)が利用者の2.5%(845万人)、8000元以上(11万2000円~)が利用者の2.4%(811万人)を占めた。なお、調査コメントによれば、高所得の層の利用が微増しているという。
地域別では、都市部と大きな所得格差のある農村部でのインターネット利用者はインターネット利用者全体の28.3%にあたる9565万人。2008年末に比べ1105万人増加と、中国全体での利用者の増加に比べれば伸び悩んでいる。
インターネットを利用する場所(複数回答可)は、「家庭」(80.2%)が最も多く、今回の調査で初めて8割を超えた。以下、「インターネットカフェ」35.5%、「職場」25.7%、「学校」11.3%と続く。
インターネットを利用するための端末(複数回答可)は、「携帯電話」46.0%が増加。「デスクトップPC」78.3%、「ノートPC」25.9%は前回調査より減少した。携帯電話によるインターネット利用者は2008年末に比べて3740万人増となる1億5500万人。携帯電話を利用する世代もやはり若い世代が中心で、10代と20代で全体の76.4%を占め、30代も含めれば全体の91.9%を占める。
2009年上半期には、既存の中国産3G規格TD-SCDMAに加え、W-CDMAとCDMA 2000がサービスを開始した。携帯電話によるインターネット利用者のうちの28%、携帯電話でインターネットを利用していない人の7.25%が、半年以内にこれらの3G(第3世代)携帯電話によるインターネットを利用する予定としている。
ブロードバンド利用者数。半年前の2008年12月調査と比較して、半年間で4873万人利用者が増加した | インターネット利用者の収入分布。若年層の利用が圧倒的に多いため、インターネット利用者の収入はあまり高くない |
●ドメイン名の登録数は微減、Webサイト数は微増
ドメイン名の登録総数は1626万件で、前回調査の半年前と比べて微減。2008年12月末まで行っていた、「.cn」ドメイン取得1元キャンペーン終了による維持費コストアップによる影響が、微減につながった可能性がある。登録ドメインのうち、「.cn」ドメイン名が全体の8割弱となる1296万件を占める。Webサイト総数についても2007年、2008年の2年間で急増したが、前回調査の287万8000から今回調査の306万1000と、若干の増加に止まった。
海外バックボーンは半年前と比べて16.8%増で、総容量は747,541Mbpsに。中国から日本のサイトへのアクセスは明らかに速くなっている。
●オンライントレード、オンライン旅行予約の利用率が減少
調査ではまた、インターネットの用途別に利用人口を紹介している。用途のうち、最も人気が高いのが2億8899万人(利用者の85.5%)が利用する「音楽聴取(前期比16.1%増)」だ。
2位から5位までは、2位「ニュース閲覧」78.7%(前期比13.7%増)、3位「インスタントメッセンジャー」72.2%(同8.9%増)、4位「情報検索」69.4%(同15.6%増)、5位「動画視聴」65.8%(同10.1%増)。
6位から10位までは、6位「オンラインゲーム」64.2%(同16.0%増)、7位「電子メール」55.4%(同10.8%増)、8位「ブログ」53.8%(同12.2%増)、9位「掲示板」30.4%(同12.9%増)、10位「オンラインショッピング」26.0%(同18.8%増)。
以下、「オンライン決済(同45.6%増)」22.4%、「オンライントレード」10.4%(同3.4%増)、「オンライン旅行予約4.1%(同マイナス18.5%)」となった。
なお、上記の数字で、ブログは更新の有無を問わず開設しているだけでも利用者にカウントされている。ブログ開設者のうち、ブログを更新している利用者は66%だった。
用途の傾向としては、少しでも安く賢く買おうとするために、オンラインショッピングや、それにともなうオンライン決済の利用者が増加。一方で、中国株バブル崩壊後のオンライントレードの利用者回復の鈍さと、オンライン旅行予約の利用者減が目立つ。オンライン旅行予約の利用減少については、金融危機による大都市間のビジネス旅行の減少やパンデミックによる影響が考えられるだろう。
今回の調査では、利用者のセキュリティに関する意識も調査している。セキュリティソフトのインストール状況について、82.4%が「インストールしている」と回答。「インストールしていない(12.4%)」「よくわからない(5.2%)」を大きく上回った。
一方で、上半期でウイルス類の被害にあったかという質問では、57.6%と半数以上が「あった」と回答。アカウントやパスワードを盗まれたかという質問では「ない(67.8%)」「よくわからない(0.7%)」の回答が過半数を占めるが、31.5%もの利用者が「あった」と回答している。
関連情報
(山谷 剛史)
2009/7/21 13:25
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