Google マップで世界地図日本語版、数千万の地名をカタカナ化


世界地図日本語版

 グーグルが提供する地図検索サービス「Google マップ」は、世界の地名を日本語で表示する「世界地図日本語版」を27日から開始した。世界60カ国の地名や街路名などの80%以上をカバーしているという。

 今回の詳細地図に対応する地域は、英語圏、フランス語圏、ドイツ語圏、イタリア語圏、スペイン語圏、オランダ語圏。例えば、カタカナで「パリ」と検索すると日本語表記の地図が表示され、周辺の都市名にも日本語が併記されている。地図をズームすると、街路名も日本語になっていることがわかる。

 グーグルで地図製品を統括する河合敬一プロダクトマネージャーは、「Google マップは世界で1つの地図を共有することを大事にしてきたが、言語の壁はあった。技術的な制約もあり、各国でそれぞれの地図を開発してきた」と話す。今回から世界地図の日本語表記を実現し、カタカナ名で海外の地図検索が可能になった。

 「Google マップ」では、従来から、地図上をクリックしたり、ドラッグ操作することで、日本語でなくても何となく目的地を探すことができたが、他の言語で書かれた地名や街路名では不便なところもあったと河合氏は話す。「カタカナで検索できるようになったことで、敷居が下がった。日本語で検索してその地域を知ることができるのは、大きな意味があると思う」。

対応地域モバイル版も対応

主な街路や施設名も日本語化今回は地形図も高精度なものに刷新

日本語データは書籍やネットから。対応地域は今後拡大

河合敬一プロダクトマネージャー(右)、竹中浩ソフトウエアエンジニア(左)
平凡社地図出版の水谷一彦代表取締役社長

 日本語の地名データは、「世界大地図帳」を発行する株式会社平凡社地図出版が提供している。また、マイナーな地名や細かい街路名などはWikipediaなどインターネット上のデータを、権利関係をクリアした上で使用しているという。さらに、地名専用の翻字システムを新たに開発し、日本語表記地名を生成した。

 平凡社地図出版の水谷一彦代表取締役社長は、10年前から地図のデジタル化を開始し、地名などを経度緯度情報と合わせて保存していると説明。データは毎日更新しているという。自社では地図の制作・出版がメインで、Web上での地図サービスは行っていない。世界地図のデータを他社に提供するのは今回が初めてになるとのこと。

 「Google マップ」について水谷社長は、「ユーザーは地図を見るだけでなく、作ることに参加できるようになった。数年前に私が思っていたことが実現しているようで嬉しい。また、地図は位置を調べるツールから、人をつなげるツールになった。個人の情報は他人と共有され、国際的にもつながりができる。ずっと紙の地図をやってきた者にとっては、夢のような世界」だと話した。

 平凡社地図出版から提供された地名データには、経度緯度情報が含まれているため、簡単に「Google マップ」に適用することができたという。それをベースにして、細かいところはグーグルが補うかたちだ。インターネット上の地名データは、すでに「Google マップ」上で表記されている現地語の翻訳に使用。このほか、手動入力や翻字システムでの機械学習によるカタカナ化も行っている。

 河合氏は、「世界地図日本語版」について、「今回のプロジェクトは日本で始まり、2008年から開始してきたもの。数千万の現地語をカタカナ化している」と説明。今後は対応する国を増やしていくほか、「世界中の人がその国の言葉で地図を見られるようにしていきたい」と語った。「まだ第1版なので、不足な部分もあるかもしれない。まずはリリースして、広く意見をもらいたい。ユーザーと一緒に情報を改善していきたい」とした。


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(野津 誠)

2009/8/28 16:22