「Office 2010はApp-Vを想定した最初の製品」米MSの沼本健氏
米Microsoftコーポレートバイスプレジデント Officeプロダクトマネジメントグループの沼本健氏 |
マイクロソフト株式会社は8月28日、次期オフィススイート「Microsoft Office 2010」に関する記者説明会を開催。米Microsoftコーポレートバイスプレジデント Officeプロダクトマネジメントグループの沼本健氏より、開発中のOffice 2010の特長などが紹介された。
Office 2010の開発で重視しているのが、「ユーザーエクスペリエンス」「ITの選択肢と価値」「ビジネスプラットフォーム」の3つ。
ユーザーエクスペリエンスについて、沼本氏は、「チーム間、会社間、そして国境をまたいだ仕事など、共同作業がさらに重要になっている。その際、リアルタイムで共同作業ができることが重要になっている。ただし、共同作業で問題になるのは、同時に編集することによる競合。従来、誰かがOfficeファイルを編集していると、それ以外の人は書き込み禁止になってしまっていたが、Office 2010ではその問題を解消している」と、共同作業の機能が強化されている点を強調。
ユーザーエクスペリエンスの強化ポイント |
また、場所やデバイスによる制約からの解放も重視。「Office 2010では、Officeアプリケーションで表示できるものを、WebブラウザやスマートフォンなどOfficeがインストールされていないデバイスからもOfficeエクスペリエンスを実現している」と説明。WebブラウザからOfficeと同様の表現力の高い文書が再現されている点を紹介した。
ITの選択肢と価値については、オンプレミスのみ、クラウドのみ、といった制約された選択肢のみを提供するのではなく、さまざまな選択肢を用意すると紹介。「既存アセットを生かせる環境を提供する」と述べた。
ビジネスプラットフォームについては、「Office個々の製品に革新的な技術を投入するのはもちろん、企業システムと統合化することも重要。バックエンドの基幹システムと統合することで、ビジネスプラットフォームとして強化する」とした。説明会では、次期SQL Serverと連携したExcel 2010上で1億行以上のデータを編集する様子なども紹介した。
Office 2010は2010年上半期に提供される予定。「Windows 7がリリースされてから時間がたっており、企業ユーザーにとって評価しづらい時期ではないかと指摘されるが、一概にはいえない。Officeは幅広いユーザーが使っているため、どのタイミングで投入するのが最適かはいいにくい。ただし、Office 2010はApp-Vで展開されるアプリケーションを意識して開発された最初のバージョン。導入の敷居を下げることは重視している」と、アプリケーションの仮想化を想定した製品であると紹介。
「また、Excel、Word、PowerPoint、OneNoteの4製品をWebアプリケーションとして提供するなど、さまざまな利用形態にも対応している。Webアプリケーションの提供形態も、ボリュームライセンスユーザー向けにオンプレミス設置型のものもあれば、Microsoft Onlineサービスを利用したホスティング型、そしてコンシューマ向けにWindows Liveでの提供を予定している」と、いつでもどこでもOfficeが利用できる環境を提供することを強調した。
なおOffice 2010では、32ビット版に加えて、64ビット版も提供される。「OSの64ビット化により、64ビットをネイティブサポートするという点が64ビット化の大きな意義。もちろん、大きくなったメモリ空間をExcelで生かすというメリットもある」と述べた。
関連情報
(福浦 一広)
2009/8/28 18:28
-ページの先頭へ-