中国の最新検索事情「探すものは音楽と映画」~CNNIC調査報告


 中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は9月21日、中国の検索サイトについての最新事情をまとめた「2009年中国検索サイトユーザー行為研究報告(2009年中国搜索引〓用戸行為研究報告、〓は敬かんむりに手)」を発表した。

インターネット利用者の7割が検索サイトを利用

「手机」は携帯電話。3G携帯電話の普及にともない、携帯電話からの検索サイト利用の増加が見込まれる

 今年6月末時点で中国のインターネット利用者は3億3800万人、ブロードバンド利用者は3億1873万人。検索サイト利用者は全体の69.4%にあたる2億3457万人が利用している。

 携帯電話で検索サイトを利用しているユーザーは4074万人で、これは携帯電話によるインターネット利用者1億5500万人の26.2%にあたる。

 ここ2年間で検索サイト利用率は7割前後を推移しており、2009年年末の時点では3億7000万人の利用者のうち、7割にあたる2億6000万人が検索サイトを利用するとCNNICは予想している。また、今後年末までの間に3G携帯電話の利用者が5677万人増加し、そのうちの2174万人が3G携帯電話で検索サイトを利用すると予想している。

 傾向としては、高学歴であるほど検索サイトの利用率が高い。都市部の方が農村部よりも高学歴なネット利用者が多いことから、検索サイト利用率は都市部では74.1%(1億7957万人)に対し、農村部では57.5%(5500万人)と低い。

 顕著な差というほどではないものの、所得が高いほど検索サイト利用率も上がる傾向も認められる。このほか、今回の統計結果では、年齢が高いほど検索サイトの利用率は下がる結果となっているが、これについては、職業別で見ると学生の検索サイト利用率が飛び抜けて高く、若年層の利用率を学生層が押し上げている影響が大きいと思われる。

 検索サイトの利用頻度は、「週に1回未満」は検索サイト利用者全体のうち8.9%、「週に1回以上」が同61.6%、毎日数回利用するユーザーは同29.5%。携帯電話からの利用者も含めた調査ということもあってか、ライトユーザーが多数派であることがわかる。

 また、検索サイト利用頻度を地域別に見ると、大都市の検索サイト利用者のほうが、中小都市の検索サイト利用者よりも利用頻度が高いことがわかった。省都クラス以上の大都市では検索サイト利用者全体の3割強が毎日1回以上検索サイトを利用している。中でも北京は突出して利用頻度が高く、検索サイト利用者のうち「毎日1回以上」は41.6%と4割以上にのぼる。

 インターネット利用歴で見ると、利用歴が長いほど検索サイト利用頻度が高い傾向が見られた。たとえば、検索サイト利用者のうち「毎日1回1以上」はインターネット歴半年未満で10.6%であるのに対して、インターネット歴5年以上のユーザーでは49.7%と約5割に達する。

検索サイトでは、9割以上が百度を利用

複数サイトの利用では、第一のサイトに「百度」を挙げる人が73.2%と圧倒的に多く、2位のグーグル11.0%を大きく引き離す
第二のサイトには「グーグル」を挙げる人が39.2%と約4割でトップ

 利用サイト別(複数選択可)では、百度が92.9%と最も高く、圧倒的なシェアを持つ。2位以下は百度から大きく差を開けられてグーグル32.7%、ポータルサイト捜狐の検索サイト「捜狗」26.9%、ヤフー22.0%、チャットソフトQQが運営する「捜捜」13.0%、マイクロソフトのbing(6.3%)、ポータルサイト網易の「有道」5.1%と続く。

 利用頻度でも、「最も利用する検索サイト」で百度が77.2%と8割近くを占める。以下グーグル12.7%、捜捜3.1%、捜狗2.4%、ヤフー1.6%、その他3.0%となった。

 大差はないものの、大都市のほうが「最も利用する検索サイト」に百度やグーグルを挙げる傾向が見られ、中小都市のほうが新興の検索サイトの利用率がじゃっかん高くなっている。

 またインターネット利用歴で見ると、「5年以上」のユーザーでは6割強がグーグルを選んでおり、全体の結果と比較して突出して高いのがわかる。ただし、5年前の2004年6月末の時点のインターネット利用者は8700万人で、2009年6月末のインターネット利用者3億3800万人のうち25%にすぎない。

 また、大差はないものの、検索頻度が高い利用者ほどグーグルを利用する傾向が見られる。25歳以上・大卒以上の学歴・月収3000元(約4万円)以上の高学歴高収入の検索サイト利用者に限定して「最も利用する検索サイト」を見ると、百度は69.8%、グーグルは22.0%、その他は8.2%となっており、グーグルの利用率が全体の平均よりも高くなっている。

 検索サイト利用者の88.8%と9割弱が「複数の検索サイトを利用している」と回答した。複数の検索サイトの利用者は、第1の検索サイトに百度73.2%、グーグル11.0%、その他15.8%を挙げ、第2の検索サイトにグーグル39.2%、捜狗16.1%、百度15.7%、捜捜9.8%、ヤフー7.2%、その他12.0%を挙げている。百度、グーグルの2サイトを利用するのが多数派という結果だ。

 複数検索サイトの使いこなしについては、複数の検索サイト利用者88.8%の内訳は「第1の検索サイトをよく使い、第2の検索サイトはたまに使う」が62.8%、「同じ程度2つのサイトを使い分ける」が26.0%となった。

 特定の検索サイトを利用する理由は「慣れたから」29.9%という理由が最も多い。以下「検索結果が多い」12.8%、「検索結果が新しい」12.3%「情報が素早く得られる」9.5%、「使いやすい」8.9%となった。

検索サイト利用の目的は音楽が4割、映画が3割

利用目的では2008年調査より6.9ポイント増えた音楽検索が39.5%でトップ。伸び率の高さが目立つのが2位となった動画検索で、2008年の13.8%から30.3%と2倍以上の伸び

 検索サイトで検索する目的(複数選択可)は、「音楽」39.5%、「映画」30.3%で、音楽や映画のコンテンツを探す目的で検索サイトを利用するユーザーが最も多いことがわかる。中でも2位となった「映画(動画検索)」は2008年の13.8%から30.3%と一気に2倍以上の伸びを示した。

 3位以下は、3位「ニュース」28.0%、4位「資料」27.9%、5位「画像」19.7%、6位「ゲーム」16.5%、7位「動画」13.7%、8位「生活情報」11.6%、9位「Webサイト」7.7%、10位「交通情報」6.8%。

 11位以下は、11位「企業の製品や販売情報」6.2%、「ソフトウェア」3.9%、「外国語の情報」1.1%、「ブログ」0.7%、「地域情報」0.5%、「その他」32.5%となった。

 サイト別に見ると、百度とグーグルの利用者の用途が異なることがわかる。3割以上の利用者があるものを抜粋してみると、百度の利用用途(複数選択可)では、ウェブ検索78.7%と並んで音楽検索74.5%が人気。以下画像検索55.0%、動画検索49.1%、ニュース40.7%、ナレッジコミュニティサイト39.3%、リンク集「Hao123」34.8%と続いた。

 一方、グーグルの利用用途(複数選択可)を見ると、ウェブ検索79.0%、画像検索44.7%、グーグルマップ38.5%、グーグルニュース34.6%、グーグル音楽33.1%、グーグル翻訳機能31.0%の順で、百度に比べて、ビジネス寄りの傾向が見られる。ちなみに、百度の地図サービス「百度地図」の利用率は14.8%であった。

 求める検索結果が得られない時の検索サイト利用者の行動(複数選択可)は、78.2%が「キーワードを変えて検索」、72.0%が「キーワードの数を減らす」、65.8%が「別の検索サイトで試す」、63.2%が「検索結果の中から希望の内容のリンクを再度探し出す」と回答。「諦める」と回答したのは19.7%となった。

 検索結果に表示される広告リンクについては、広告リンクと検索結果が区別できるかという質問には14.5%が「完全に区別できる」、60.4%が「大部分は区別できる」、14.4%が「大部分は区別できない」、10.7%は「区別できない」と回答。

 広告リンクへのクリックは「全くクリックしない」が63.4%、「ときどきクリックする」が34.5%、「よくクリックする」が1.9%、「よくわからない」が0.3%となった。


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(山谷 剛史)

2009/9/24 12:59