YouTubeに動画版AdWords広告、グーグルが国内販売開始


YouTubeの動画検索結果ページおける「プロモート動画」表示

 グーグルは、企業などが広告目的で公開しているYouTubeの動画を検索連動型広告として表示できる「プロモート動画」の国内提供を開始した。YouTubeの動画検索結果ページなどに、Google AdWordsの仕組みを通じて出稿できる。

 「プロモート動画」では、YouTubeの動画検索で関連するキーワードが検索された際に、検索結果ページに広告動画を表示するもの。広告動画は通常の検索結果とは別に、ページ右側に表示される。ただし、クリック率が高い場合など、YouTubeのユーザーが探している動画に該当する可能性が高い場合は、通常の検索結果のいちばん上に表示されることもある。いずれの場合にも、表示枠に「プロモート動画」と明示される。

 米国では2008年11月から「Sponsored Videos」として提供しており、口コミ効果を狙った面白動画などを用いて、幅広い分野の企業が出稿しているという。従来はYouTube側の特殊なインターフェイスから出稿する仕組みだったが、今回、AdWordsと統合。10月22日からAdWords側から出稿設定が行えるようになった。料金は動画がクリックされた場合にのみ発生し、上限クリック単価の設定も行える。広告主企業のほか、YouTubeで動画コンテンツを公開しているパートナーも動画コンテンツをアピールするために活用できる。

 「プロモート動画」のメインの掲載場所はYouTubeの動画検索結果ページだが、動画再生ページや、AdWordsのコンテンツネットワークに参加しているYouTube以外のサイトにも表示される。ただし、表示されるかどうかや表示位置については、そのキーワードに対する他の通常のAdWords広告の入札価格や、キーワードとの関連性(クリック率)など、AdWordsのオークションの仕組みおよびアルゴリズムが適用されるとしている。

 「プロモート動画」に対しては、無料オプションとしてCall-To-Actionの設定が可能だ。これは、広告動画が再生された場合に、動画上に自社サイトへのリンクなどをオーバーレイ表示できるというものだ。


通常のAdWords広告と異なるのは、リンク先として、企業などのサイトの代わりにYouTube動画を設定する点Call-To-Actionオプションで、動画上に広告主サイトへのリンクをオーバーレイ表示した例。米Zagg社のiPhone傷防止シートの広告動画

 グーグルのYouTubeシニアプロダクトマネージャーである徳末裕人氏によると、YouTube日本版では月間7億5000万回の動画検索が行われており、検索エンジンとして考えると国内第3位の規模になるという。すでにグーグルではYouTubeにおいて、トップページへの広告掲載や動画内広告などの広告メニューを提供しているが、この国内有数の検索結果ページについては十分に活用できていなかったという。「プロモート動画」は、動画検索結果ページをYouTubeの収益化に活用するものだという。

 なお、YouTubeの動画検索結果ページで「プロモート動画」が表示される場所は、もともとAdWordsのテキスト広告を表示していた場所だ。そのキーワードに「プロモート動画」が出稿されていない場合は、通常のAdWords広告が表示される。徳末氏は、YouTubeの動画検索でユーザーが探しているのはあくまでも動画であり、動画広告を表示したほうが効果が高いという。ただし、「プロモート動画を活用すると動画が多く見られるようになるかというと、そうではない。動画の面白さが最終的には効いてくる」とも指摘した。


YouTubeにおけるユーザーの行動を「Enter(利用開始)」「Discover(発見)」「Watch(視聴)」「Engage(参加)」に分類。それぞれ利用規模を生かした広告メニューを用意する今回の「プロモート動画」は、動画検索という行動「Discover(発見)」に対応するもの。なお、「ユーザー参加型企画」として例示しているのは、ロッテが実施した動画コンテストの事例だ(関連記事参照)

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(永沢 茂)

2009/10/26 14:05