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KDDIやGoogleが出資の海底ケーブルが千倉に陸揚げ、2010年春運用


光海底ケーブル「Unity」の陸揚げ作業

 KDDIやGoogleなどの出資による、新たな日米間光海底ケーブル「Unity」の陸揚げ作業が1日、千葉県南房総市千倉で行われた。ケーブルは今月中旬には日米間の敷設がすべて完了し、2010年春に運用が開始される予定だ。

 「Unity」は、米国ロサンゼルスと日本の千倉を結ぶ総延長約9600kmの光海底ケーブル。KDDI、インドのBharti Airtel、マレーシアのGlobal Transit、香港のPacnet、シンガポールのSingTelの各通信会社に加えて、米Googleが出資して共同で建設中だ。敷設作業は、日本のNECと米Tyco Telecomunicationsが共同で行っている。5対のケーブルを10Gbps×96チャンネルのDWDM(高密度波長多重分割方式)で利用することで、最大4.8Tbpsの通信が可能となる。

 今回、千倉の沖合い2kmに停泊している海底ケーブル敷設船「KDDI Pacific Link」から、陸上のKDDI千倉海底線中継センターまでケーブルを引き込む作業が、報道陣に公開された。

 作業は1日午前6時、日の出とともに開始された。先行するロープと光ファイバーケーブルにブイを取り付けながら、ケーブルを海岸へと引き上げていく。当日は晴れたものの風があって波がやや高く、作業が行えるか心配な状況だったとのことだが、予定通りに作業はスタート。海岸までやってきたロープを滑車で横に向きを変えた上で、2台の重機で交互に海岸線と平行に引っ張っていく。

沖合いの敷設船から海岸までケーブルを陸揚げする ブイが付けられたケーブルが海岸に上がってくる
ケーブルは滑車で海岸線と平行に向きを変える 2台の重機でケーブルを交互に引っ張っていく

 この作業を続けること約2時間半、ようやく光ファイバーの先端が海岸に到達。ケーブルの先頭にスパークリングワインをかけるセレモニーが行われ、敷設作業の節目を祝った。

 ケーブルは海岸から地下を通して中継センター内に引き込むとともに、海岸から沖合いにかけてはダイバーによりケーブルにカバーを被せた上で埋めていくといった作業を実施。その後、海底ケーブル敷設船は出航し、11月中旬には沖合い470kmの地点まで敷設済みのケーブルと洋上で接続。ロサンゼルスと千倉の間が1本のケーブルで結ばれる予定だ。

光ファイバーケーブルの先端(指先)が海岸に到着 セレモニーでは関係者が先端部にスパークリングワインをかけ、作業の節目を祝う
ケーブルは海岸から地下に入り(鉄板で囲われている地点)、KDDIの中継センターまで引き込まれる 海岸から見たKDDI千倉海底線中継センター

Unityの完成で、将来の通信需要増にも余裕を持って対応

KDDIの安田豊氏

 セレモニー終了後、KDDIとNEC、パックネットサービス・ジャパンの3社が説明会を実施した。KDDI執行役員技術本部長の安田豊氏は、「千倉は1988年に初の日米間光海底ケーブル『TPC-3』が陸揚げされた場所で、UnityはKDDIにとっては2002年のJapan-USケーブル以来8年ぶりとなる太平洋横断ケーブル。Unityにより容量に余裕ができ、さらにスムーズな伝送が可能になると期待している」とコメント。また、Unityは、陸揚げ地点のロサンゼルスから周辺のデータセンターまでの中継回線も一体で提供するため、利用者にとっては中継コストが節約できる点が特徴となっているという。

 NEC取締役執行役員常務の大谷進氏は、「NECは海底ケーブル敷設の世界トップ3ベンダーの1つとして、これまでに17万kmを超える海底ケーブルを敷設してきている。今回のUnityでは、水深8000mを超える日本海溝など難所を抱える日本側約5800kmをNECが担当しており、引き続き完成に向けて総力を挙げて望みたい」とコメントした。

 パックネットサービス・ジャパン代表取締役会長の岡田智雄氏は、「Pacnetは5対のケーブルのうち2対を使用する。Pacnetはアジアで最大の容量を持つ事業者として、アジアから日本、さらに米国へ、Unityを通じて高品質のネットワークを提供していきたい」とコメントした。

 日米間の通信需要については、「YouTubeなどの映像系コンテンツが増えたことで、この2〜3年で伸び方が増えているのは間違いないが、Unityにより将来の需要に対しても余裕ができる」(KDDIの安田氏)と説明。ただし、「海底ケーブルは容量の問題だけでなく、障害などに対応するために複数のルートを常に確保しておくことが必要」だとして、「現在KDDIでは5種類の日米間ケーブルを使用しており、今後Unityでどれほど大容量が確保できるとしても、これ1本に集中させることはありえない」と語った。

KDDI千倉海底線中継センター ケーブルが接続される機器。ここからさらに日本や海外に中継される

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(三柳 英樹)

2009/11/2 14:33

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