浮川夫妻が新会社「MetaMoJi」の事業説明、5年後に1~2社のIPOを目標

「誰でもアプリが開発できる環境」の構築も目指す


 ジャストシステム創業者の浮川和宣氏と浮川初子氏は14日、新たに創業した「株式会社MetaMoJi」の会社説明会を開催した。

 1979年にジャストシステムを創業した浮川和宣氏と浮川初子氏は、2009年10年にジャストシステムの会長および副会長を辞任し、新たにMetaMoJiを設立した。MetaMoJiは「研究開発機能を有するビジネスインキュベーター」として、ジャストシステムで手掛けていたXBRL(eXtensible Business Reporting Language)やオントロジーなどの研究開発事業を引き継ぐことなどが発表されていた。

やりたいことは山ほど、5年後には事業会社1~2社のIPOを

浮川和宣氏
MetaMoJiの事業構想

 浮川和宣氏は、MetaMoJiの目標を「IT技術の研究開発とそれに基づくサービスを提供し、人が様々な場面でより賢明な判断が行えるよう支援する。その結果、より豊かで平和な社会となることに貢献する」ことだと説明。「ジャストシステムを30年前に創業して以来、業界は凄まじい勢いで発展してきた。新しい技術やサービスは巷に溢れていると感じられるかもしれないが、長年携わっている身からすると、まだほとんど何も無い、ほんの一部しか実現されていないと思うことがたくさんある」として、「やれば世の中の人が喜ぶに違いない、たくさんのアイデアが湯水のごとく湧いている」と事業への意気込みを語った。

 企業の概要としては、資本金は1000万円で、浮川和宣氏が代表取締役社長、浮川初子氏が代表取締役専務を務める。従業員数は現在16人で、全員がかつてジャストシステムに勤務しており、研究開発部門が大半を占めるという。

 事業モデルとしては、MetaMoJiでコア技術の研究開発を行い、事業としてのめどが立った時点で他社と協業しながら複数の事業会社を組成。5年後には1~2社のIPOを目指すとした。具体的にどのような事業を展開するかについては現在検討中としながらも、「やりたいことは山ほどあり、どれから始めるか迷っているところ」だという。また、事業会社については「自社の理念に基づくものを最優先とするために、事業会社は自分たちでコントロールしたいという思いが強い」として、技術の他社へのOEM提供などは当面は考えていないとした。

 当面の事業としては、まずジャストシステムから譲渡を受けた事業を継続し、「XBRLに関する製品が最初の成果物になる予定」だと説明。さらに、事業理念に基づく新たなサービスについては、「一番最初は個人向けのサービスを提供したいと考えている」として、パッケージソフトではなくネットワーク上でのサービスを想定。年内をめどに何らかの形で発表したいと語った。

 浮川和宣氏は、「過去を振り返ってみると、あの時にPCがあれば、この機能があればと思うことがある。今から10年後の人たちに、あれを発明してくれたおかげで助かった、と言われるものを作りたい。これは余談だが、今日も会場で多くの人がキーボードを叩いているが、スペースバーで変換するという方式は私が発明したものだ」として、技術開発とサービスの提供により社会貢献を目指していくと語った。

「誰もがアプリケーションを開発できる環境」の構築も目指す

浮川初子氏

 浮川初子氏は、MetaMoJiが目指すアプリケーション開発環境の概念について説明した。MetaMoJiの2つめの目標には、「より多くの人が自ら容易にITプロセス(アプリケーション)を構築できる技術」の研究開発が掲げられている。

 現状では、たとえば何らかの分野の専門家が何かサービスをネット上で提供したい場合は、IT技術者に機能要件を提供し、アプリケーションを開発してもらう必要がある。これに対して、専門家自身がアプリケーションを開発できるようにする環境が、MetaMoJiの目指すものだという。

 イメージとしては、アイデアを持つ人が「したいこと」を伝え、システムが「できること」を伝えるといった形でやりとりをしながら、アプリケーションが開発できる環境だと説明。ダイエットの専門家が、こんなダイエットアプリがあれば便利だと考えた場合、それを簡単に実現できるようになるものだとした。

 浮川初子氏は、「一般の人たちがアイデアを考え付いても、それを実現できるエンジニアが身の回りにいる人は少ない。もっと多くの人たちがアイデアを形にすることはできないかと長年考えてきた」と説明。「本当にそのようなことができるのかと心配に思われるかもしれないが、今まさに社長以下全員で議論している最中。この技術により、人間が考えている知識を後世に残す、伝えることに貢献していきたい」と語った。

IT技術者だけでなく、特定分野の専門家などもアプリケーションが構築できる環境を目指す「したいこと」と「できること」をやりとりしながら、アプリケーションを作り上げていくイメージ

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(三柳 英樹)

2010/1/14 19:03