ドイツのIDカード電子化、ネットユーザーでは半数が歓迎


 ドイツでは11月から、身分証明書であるIDカードの電子化が開始される。独IT業界団体のBITKOMが14歳以上の1000人を対象に行ったアンケート調査によると、賛成が46%、反対が45%と拮抗していることがわかった。急速なネット化を歓迎する声と、電子化への抵抗が拮抗しているドイツ社会の状況を如実に表しているといえる。

 IDカードの電子化は、ネット社会にとって非常に重要だ。これまでもドイツでは国民一人一人にIDカードが発行されていたが、紙媒体の伝統的な形式のものだった。新しい電子IDカードは紙媒体と同様、有効期間は10年となっている。

 調査結果をインターネット利用の有無別にみると、ドイツ国民の70%を占めるインターネット利用者では、賛成が52%と過半数に達した。これに対して、非利用者では32%にとどまった。利用者の中では、現在深刻化しているインターネット詐欺などの被害が、電子IDカードの発行によって減少するのではないかとの期待もあるようだ。他方で、高年齢層ではIDカードの電子化に抵抗感が強い。さらに、そもそも電子化の認識率も低い。導入まで8カ月を切っており、業界団体側も認識率を上昇させる必要があるとの認識で一致しているようだ。

 新たな電子IDカードの利用先としては、公的サービス(44%)、オンラインバンキング(40%)、オンラインショッピング(33%)などとなっている。インターネットユーザーの30%は、自己が所有する現行のIDカードの有効期限が切れる前に電子IDカードへの切り替えを希望している一方で、ほぼ同数が現行のものをぎりぎりまで使用すると回答している。

 ドイツを含むEU全体としてネット化が急激に進行しているが、今回のアンケート調査をみても、適応できる層と拒否感がある層に二分される状態がある。今後どのようにネット化・電子化を本格化させるのか見守る必要がありそうだ。


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(Gana Hiyoshi)

2010/3/8 14:17