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音楽ネット配信の権利処理を一元化、「Fluzo」が4月1日スタート


統合データベースの構築

 音楽のネット配信に関する権利処理作業を効率化するために設立された一般社団法人「著作権情報集中処理機構(CDC)」は、著作権情報の集中処理システム「Fluzo」の運用を4月1日に開始する。

 Fluzoは、複数の著作権管理事業者の権利情報を集約したデータベース。音楽配信事業者は楽曲のファイルから生成したフィンガープリントをアップロードすることで、Fluzoが割り振った楽曲コード(CDC-ID)を取得できる。配信事業者はCDC-IDをもとに、各管理事業者に提出する利用曲目報告データを作成することが可能。

 フィンガープリントは、NTTデータとグレースノートの技術を併用。日本音楽著作権協会(JASRAC)、イーライセンス、ジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)、ダイキサウンドの4団体が管理する約800万曲のフィンガープリントを網羅している。

 サービス開始時点でFluzoを導入することが決まっている配信事業者は、エクシングやドワンゴ、サミーネットワークスなど大手事業者を中心とした10社。2010年度内には約50社の導入を見込んでいる。


フィンガープリント検索 利用曲目報告の一括処理

 配信事業者はこれまで、各管理事業者のデータベースを個別に検索して、作品コードを特定する必要があった。Fluzoでは4団体の作品コードをCDC-IDに関連付けたため、配信事業者はFluzoを参照するだけで、4団体の作品コードを横断的に検索できるようになった。

 また、従来は楽曲名やアーティスト名といった文字情報で作品コードを検索していたが、楽曲名が不特定だったり、入力ミスにより正しい情報が得られないこともあった。Fluzoではフィンガープリントを活用することで、検索の精度が大幅に高まったとしている。

 管理事業者のデータベースに未登録の楽曲は、配信事業者がFluzoに問い合わせた時点で即座にCDC-IDを発行するため、配信事業者は検索の“空振り”がないことも特徴。新たに発行したCDC-IDと管理事業者の作品コードの関連付けは、CDCが事後処理を行う。

 さらに、フィンガープリント事業者のデータベースに登録されていない楽曲に関しては、配信事業者が持つ音源および情報をもとにその場で登録を行い、CDC-IDを発行することが可能となっている。

THE BLUE HEARTSの「TRAIN TRAIN」を検索した画面 「TRAIN TRAIN」の権利情報

 CDC理事の佐々木隆一氏は、「ネット上の権利処理はコンテンツが発展すればするほど大きな課題。Fluzoは権利処理に伴う膨大な作業やコストを低減し、コンテンツの円滑な流通に貢献できる」とコメント。将来的には映像など音楽以外の分野でもFluzoのノウハウが生かされればと語った。

 また、JRCの荒川祐二代表取締役は、「著作権は予想をはるかに上回るスピードで変ぼうしているが、現時点でFluzoは非常にすばらしいものだと思う」と評価。その一方で、「静的なコンテンツだけでなく、放送と通信の融合における楽曲利用など、動的なコンテンツの権利処理にも対応すべき」として、Fluzoの機能拡充の必要性を訴えた。

 CDCによれば、2009年における国内の携帯電話向け音楽配信の市場規模は1545億円、ダウンロード数は7億8000万回、配信サイトは8200に上るという。Fluzoにより権利処理業務のコストが軽減され、配信事業者がより多くの楽曲を取り扱えるようになることなどが期待される。

CDC理事の佐々木隆一氏 JRCの荒川祐二代表取締役

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(増田 覚)

2010/3/31 15:52