Google、「O3D」をJavaScriptライブラリへと路線変更


 米Googleは7日、ブラウザー内で3Dグラフィックスを実現するための「O3D API」プロジェクトの大幅な路線変更を発表した。

 これまでO3Dプロジェクトは、ブラウザー内で3Dグラフィックスを実現するために、ネイティブプラグインとして開発されてきた。しかしこの変更により、O3DプロジェクトはJavaScriptライブラリへと生まれ変わる。

 Googleは、これまでにOpenGL ES 2.0に基づく3DグラフィックスAPIである「WebGL」の開発を支援してきた。これは徐々に標準規格になりつつあり、MozillaやApple、Operaなど複数のブラウザーやハードウェアベンダーにサポートされつつある。

 そのためGoogleは今後、WebGLを改良し、同時にO3DをWebGL上で動作するJavaScriptライブラリに変更することにした。

 当初は、OpenGLのような低レベルAPIをJavaScriptで動作させることは速度的に難しいと考えられてきた。また、Windows環境でOpenGLドライバーがインストールされていないことが多いことも問題となっていた。

 しかし最近では、JavaScriptが大幅に高速化したことが1つの解決策になりつつある。また2つめに、OpenGLコードをDirectXに翻訳するための「ANGLE」プロジェクトが大きく進展しており、必ずしもWindows環境にOpenGLドライバーがインストールされている必要がなくなりつつある。

 ただしGoogleでは、O3Dの機能すべてをJavaScriptに実装することは難しいとしている。一部の機能はブラウザーに組み込むことによって、最終的にGoogle Chrome内で3Dグラフィックスを動作させることを目標としている。

 なお、現時点では新プロジェクトは始まったばかりであり、デモ画面ですら動作させることはできないという。また、既存のネイティブプラグインについては少なくとも1年間はソースコードを公開するが、メンテナンスリリース以外は行わないとしている。

 さらに将来の話ではあるが、Internet Explorer(IE)のサポートに関しては、IE用プラグイン「Google Chrome Frame」の利用を推奨している。長期的にはIEがWebGLをネイティブサポートすることを希望するとしている。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2010/5/10 12:53