総務省が「光の道」戦略大綱案を発表、2015年を目処にFTTHを全国整備


 総務省の「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」は8月31日、合同部会を開催し、「光の道」構想の戦略大綱案を発表した。

 「光の道」構想は、2015年ごろを目処に超高速ブロードバンドの整備率を100%とし、日本のすべての世帯におけるブロードバンドサービス利用の実現を目標とするもの。2009年10月から総務省のタスクフォースで議論を進めており、今回戦略大綱案をとりまとめた。

 戦略大綱案では、「光の道」として整備すべき水準を、100Mbps以上の超高速ブロードバンド基盤と定義。主に想定する技術はFTTHとした上で、ケーブルテレビ(HFC)や無線ブロードバンドにも一定の代替的役割を期待するとしている。

 構想の推進では、1)「ICT利活用基盤」の整備加速化インセンティブの付与、2)NTTのあり方を含めた競争ルールの見直し、3)規制改革などによるICT利活用の促進――を3つの柱としている。

 基盤整備の基本的な考え方としては、競争環境の中で民間主導により行うことを原則とすると説明。ただし、採算ベースでの整備が困難と想定される地域などには、地方自治体などの整備に対して財政支援を行うとしている。

 メタル(電話線)から光への移行については、提出予定となっているNTTの考え方などを踏まえ、コスト面や実態面での課題について検討・整理。ワイヤレスブロードバンドを実現するための周波数の確保に向け、周波数再編の実施方針(アクションプラン)を11月までに決定する。

 NTTのあり方を含めた競争ルールの見直しについては、料金の低廉化、サービスの多様化・高度化により、ブロードバンド利用の促進を図る観点から、事業者間の公正競争を一層活性化すると説明。また、「光の道」が実現するまでの移行期においては、光IP電話をユニバーサルサービス制度の対象として追加するとともに、実現後はブロードバンドアクセスもユニバーサルサービス制度の対象とし、必要に応じて基金により支援を行うとしている。

 NTTの組織形態については、アクセス部門の分離などの提案も行われたが、大綱案では「公正競争の確保や経営自由度の向上など、多角的な視点からの総合的な検証を行った上で、そのあるべき姿を検討する」という表現にとどまっている。

 今後のスケジュールとしては、基盤整備支援に関わる予選要求などを行うとともに、11月ごろに最終報告書をまとめ、周波数再編の実施方針を決定。12月ごろに情報通信審議会の答申を経て、2011年年明けの次期通常国会に関連法案を提出するとしている。

 8月31日には同時に、「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討ワーキンググループ」の中間とりまとめも発表。急激なトラフィック増が見込まれるワイヤレスブロードバンドに対して、2015年までに300MHz幅以上、2020年までに1500MHz幅以上を確保することを目標として掲げた。また、700/900MHz帯の利用方法については、2012年7月以降に携帯電話用周波数として使用可能となる予定の周波数を早期に利用する案と、700/900MHz帯を再編した上で利用する案の2案をベースとして検討を進めるという方向性を示した。


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(三柳 英樹)

2010/9/1 17:26