mixi、機能を外部に提供するプラグイン・APIを公開。中韓の最大手SNSとも提携


 株式会社ミクシィは10日、SNS「mixi」の機能を外部のサイトやアプリケーションと連携できる新しいプラットフォーム「mixi Plugin」と「mixi Graph API」を発表した。また、海外SNS事業者との提携を開始し、第1弾として中国でSNS「Renren」を展開するOak Pacific Interactiveと、韓国でSNS「Cyworld」を展開するSK Communicationsと業務提携したことを発表した。

mixiの機能を外部にも提供、「mixi Plugin」「mixi Graph API」

ミクシィの原田明典副社長

 10日に開催したmixiのパートナー向けイベント「mixi meetup 2010」では、ミクシィ代表取締役副社長兼COOの原田明典氏が、新しいプラットフォームについて説明。「mixi Plugin」と「mixi Graph API」は、これまで「mixi Connect」として提供してきた機能を強化し、新たに2つに分類したものだとした。

 「mixi Plugin」は、より簡単にmixiの機能を外部のウェブサイトに追加できる仕組みで、サイトに数行のHTMLを埋め込むことで、mixiの機能が追加できる。10日には、お気に入りのコンテンツを登録して友人と共有できる「mixiチェック」との連携ボタンと、mixiへの投稿が行える「Simple Post」の2つのプラグインの提供を開始。mixiチェックボタンはモバイル版も提供する。

 「mixi Graph API」は、mixiの機能とのより高度な連携を可能とする開発者向けのAPI。各種ウェブサービスやプログラムなどに、mixiのソーシャルグラフや各種機能を組み込むことができる。10日には、mixiの更新状況を外部から取得できる「Update API」のほか、友人・知人関係の情報を取得できる「People API」など5つのAPIを公開した。

「mixi Plugin」「mixi Graph API」の2つの仕組みを提供開始mixi内でアプリを展開できる「mixiアプリ」に続き、外部のサイトにもmixiの機能を提供する
「mixi Check plugin」と「Simple Post」の2つのプラグインを公開「mixi Graph API」では5つのAPIを公開

 「mixi Plugin」は一般個人にも公開され、mixiの開発者向けサイト「mixi Developer Center」でデベロッパー登録を行うことで利用可能。「mixi Graph API」は、現時点ではパートナー企業のみへの公開となっているが、今後個人にも開放していく予定。さらに、「mixiフォト」「mixiカレンダー」などmixiの各サービスについても、プラグインとAPIの公開を進めていく予定としている。

ページに数行のHTMLを加えることで、「mixiチェック」ボタンが設置できるmixi Graph APIを使うことで、ECサイトで購入した商品の情報をmixiにフィードするといった機能が実現できる
今後はさらに多数のプラグイン・APIの公開を予定プラグインは個人にも公開、APIは現時点では法人のみに公開

対応各社が期待のコメント、「モバゲー」と「mixi」の連携強化も

(左から)はてなの近藤淳也氏、DeNAの守安功氏、ミクシィの笠原健治氏、ヤフーの喜多埜裕明氏、楽天の中島謙一郎氏

 「mixi Plugin」と「mixi Graph API」は、10日現在で既に30社の約50サイトが対応している。イベントではこれらのパートナー企業として、楽天、はてな、ヤフー、ディー・エヌ・エー(DeNA)の各社が登壇し、それぞれmixiの新プラットフォームに対する取り組みと今後の期待を語った。

 楽天株式会社常務執行役員の中島謙一郎氏は、「楽天市場」「楽天GORA」「楽天ブックス」「楽天トラベル」「楽天デリバリー」の5つのサービスに、「mixiチェック」との連携機能を導入したことを説明。「mixiチェックのように、友人との間で『これを買ったよ』といった情報を共有するソーシャルマーケティングが、今後重要なキーワードになる。ウェブ検索は既にあるニーズを満たすものだが、ソーシャルマーケティングはこれまで無かったニーズを創出できる」とコメントした。

 株式会社はてな代表取締役の近藤淳也氏は、「はてなはmixiアプリを作らないのかとよく言われ、はてなではゲームは作れませんと答えていた2年間だったが、今回は情報を共有してコミュニケーションするサービスだということで、それならばはてなの出番だと思った」とコメント。「はてなブックマーク」「はてなダイアリー」「はてなココ」の3サービスでmixiチェックに対応しており、「はてなココ」は同じ位置情報サービスの「mixiチェックイン」と連携する。

「楽天市場」「楽天トラベル」など5サービスがmixiチェックに対応「はてなブックマーク」「はてなダイアリー」「はてなココ」がmixiチェックに対応

 ヤフー株式会社取締役最高執行責任者の喜多埜裕明氏は、9月9日に携帯サイトの「Yahoo!デコレーション」でmixiチェックへの対応を開始したのを皮切りに、9月15日には「Yahoo!オークション」「Yahoo!知恵袋」「Yahoo!ファイナンス」などがmixiチェックに対応する予定で、今後さらに各サービスで順次対応していくと説明。mixi Graph APIを利用したiPhoneアプリ「ポッフィ」もリリースし、今後はアプリのPC版や、新しいmixiのAPIにも対応していくとした。

 DeNA取締役ソーシャルメディア事業本部長兼COOの守安功氏は、携帯版オークションの「モバオク」「pocket bidders」など、DeNAの各種コンテンツでmixiチェックへの対応を開始し、今後は「モバゲータウン」の小説やゲームなどの各種コンテンツにもmixiとの連携を拡大していくと説明。「mixiとモバゲーは競合であり、ライバルなのではないかと思われるかもしれないが、ユーザーもサービスが目指しているところもまったく違う。モバゲーを使っている人は全員mixiを使ってもらって構わないし、逆にmixiのユーザーは全員モバゲーを使ってほしい」とコメントし、今後は共同で新たなソーシャル事業の展開も検討しており、双方の強みを発揮してさらに大きな市場を創設していきたいと語った。

「モバゲータウン」も今後mixiとの連携を進めていく「Yahoo! JAPAN」の各コンテンツも順次対応予定

 ミクシィの原田氏は、「mixi Graph API」はウェブサービスやプログラムだけでなく、家電や携帯端末などにも組み込むことができると説明。「情報家電をただネットワークにつないでもそれほど付加価値は付かないが、ソーシャルグラフとつながることで価値が向上する」とコメントし、デジカメと「mixiフォト」との連携や、携帯電話の電話帳とSNSが連携する「ソーシャル電話帳」、テレビ録画サービスとSNSの連携などのアイディアを紹介。テレビ録画サービスとの連携については、パナソニックが現在検討中であることも明らかにした。

スマートフォンの電話帳とmixiのプロフィールが連携する「ソーシャル電話帳」のイメージテレビ録画サービスとmixiの連携は、現在パナソニックが検討中であることを公表

中国・韓国の最大手SNSと連携、さらに他地域の「ナンバーワンSNS」とも

ミクシィの笠原社長と、韓国SK Communicationsのチョ・ヒョンチョルCEO

 ミクシィではさらにプラットフォームを拡大する取り組みとして、中国最大手のSNS「Renren」と、韓国最大手のSNS「Cyworld」との業務提携を発表。3社ではソーシャルアプリのプラットフォーム共通化を進め、アプリの開発企業が各社のSNSに容易に進出できる環境の構築を目指す。

 アプリケーション以外のプラットフォームについても、APIなどの共通化を進め、パートナー企業とSNS事業者との連携を容易にする。

 原田氏は、「プラットフォームの共通化により、デベロッパーの海外進出を支援する」と説明。Renrenは中国で1億5000万人、Cyworldは韓国で2500万人の会員を持ち、mixiの2102万人と合わせれば「約2億人が利用するプラットフォームになる」と説明。

 また、今回の提携以外にも、「北米、南米、ヨーロッパ、各地域ナンバーワンのSNSを中心に提携の話を進めている」として、今後さらに大きな規模の提携になる予定だとした。

 最後に挨拶に立ったミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏は、「サーバーがつながっていたインターネットに対して、友人・知人がつながるソーシャルネットがさらに大きく拡大しており、地殻変動を引き起こしている。mixiはコミュニケーションのインフラになると考えて7年前に始めたが、その時にはここまで大きくなり、そしてこれほど多くの人と一緒に開発していくとは想像できなかった」とコメント。今後もさらにmixiのオープン化の流れをさらに進めていくと語った。

中国「Renren」と韓国「Cyworld」と、2国の最大手SNSと提携さらに各国のナンバーワンSNSを中心に提携を拡大していくと説明

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(三柳 英樹)

2010/9/10 21:22