「i-フィルター」がクラウド化、子供からの“お願い”機能など新たに搭載
iPad/iPhone向けフィルタリングサービスも近く発表
「i-フィルター 6.0」パッケージ版 |
デジタルアーツ株式会社は26日、家庭向けフィルタリングソフトの新バージョン「i-フィルター 6.0」を発表した。ダウンロード版を29日に4200円で発売、パッケージ版は11月12日に6090円で発売する。Windows 7/Vista/XPに対応する。ライセンス期間は1年間で、1台のPCで利用可能。2ライセンスパッケージ(9135円)、1年間の更新パッケージ(4200円)もラインアップしている。
前バージョンである「i-フィルター 5.0」から2年8カ月ぶりとなる今回のバージョンアップでは、クラウド化が大きな特徴という。フィルタリング対象のURLデータベースはもちろん、ユーザーの設定情報もクラウド上に保管するようにした。
これにより、i-フィルター 6.0をインストールしたPCに対して、別のPCからリモートでフィルタリングの設定を変更したり、インターネットの利用状況を確認できるようになった。保護者の留守中はフィルタリング強度を強めに設定し直すなどの操作が外出先からでも行える。ブロックしたサイトの件数や閲覧を許可したサイトの件数、インターネットの利用時間などを1日1回、携帯メールなどに送信する機能も備える。
また、子供から保護者への「ブロック解除申請機能」を新たに搭載した。ブロック画面に表示される“お願い”ボタンをクリックし、そのサイトを見たい理由を入力することで、メールで保護者にブロック解除申請が行えるというもの。これを受け取った保護者は、リモートでブロック解除操作が行える。一律にブロックされてしまうカテゴリーのサイトでも、正当な理由があれば、この機能を使うことで保護者に閲覧を許可してもらうことができるようになる。
なお、保護者向けには、ブロック画面でパスワードを入力することで、一時的にブロックを解除できる「管理者ブロック解除機能」も新たに搭載した。
このほかの新機能としては、「アプリケーション制御機能」がある。ウェブブラウザーによるサイトの閲覧のみならず、ウェブブラウザーを使わないオンラインゲームソフトなどのアプリケーションソフトの起動を制限できるものだ。従来より搭載しているインターネットの利用時間制限機能と組み合わせることで、アプリケーションの利用時間も制限できるとしている。
i-フィルター 6.0 | ブロック画面 |
インターネットタイマー画面 | 利用状況確認画面 |
このほか、コミュニティサイトで書き込みのみをブロックする機能、ショッピングサイトの購入ページをブロックする機能、個人情報の書き込みを制限する機能、ソフトのダウンロードを禁止する機能、子供にまだ見せたくない単語を伏せ字にしたり、その単語が含まれるページをブロックする機能、子供に不適切なサイトを検索結果画面で非表示にする機能などは従来より継承している。
なお、家族の共有PCなどでは、複数ユーザーを登録してそれぞれフィルタリング強度などを設定することが可能で、Windowsアカウントとも連携できる。また、ブロックしたサイトの履歴や閲覧したサイトのカテゴリーの割合、検索した単語のランキングなどの統計データを保護者が確認できる機能も従来通り備えている。
10月25日現在、i-フィルターのURLデータベースには約1030万サイト、約3億1480万ページが登録されているという。
●iPad/iPhone向けのi-フィルターも近く発表
「インターネット白書2010」によると、ウイルス対策ソフトの利用率が66.0%であるのに対し、フィルタリングサービスは8.0%と低い水準にある。デジタルアーツの道具登志夫代表取締役社長は、フィルタリングソフトが普及しない理由について何度もリサーチを行い、ユーザーの不満を調べた上で、約1年かけて新バージョンを開発したと説明する。
また、経営企画室コンシューママーケティング担当の日名子康介氏は、新機能であるブロック解除申請機能や管理者ブロック解除機能、アプリケーション制御機能、クラウド化により実現したリモートからの管理機能などは、従来製品における保護者の不便・不安を解消するために搭載した機能だと説明した。
なお、バージョンアップが前バージョンを発表した2008年2月からじつに2年8カ月もかかったことについて道具社長は、ゲーム機やデジタルテレビ向けラインナップの開発に充てていたと説明し、さらに「近い将来、iPad/iPhone、Android向けサービスも発表できると思う」とコメントした。若年層への普及も進んでいると言われるiPhoneや、教育現場での活用なども期待されるiPadだが、道具社長によると、同プラットフォームにおける日本向けのフィルタリングソフトは現在、ヤフーが無償提供している「Yahoo!あんしんねっと」しかない状況だという。
デジタルアーツの道具登志夫代表取締役社長 | 経営企画室コンシューママーケティング担当の日名子康介氏 |
関連情報
(永沢 茂)
2010/10/26 16:54
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