KDDIがFTTHの販売強化、auショップ販売員の「auひかり」接客技コンテスト


 auショップを訪れた人に、FTTHサービス「auひかり」のメリットもあわせて説明し、見事契約する気にさせるまでの接客スキルを競うコンテストが24日、横浜市内で開催された。KDDI株式会社の「2011 MINAMI KANTO HIKARI No.1 GRAND PRIX(H-1グランプリ)」には、神奈川、千葉、山梨のauショップ199店舗・約1600名から選ばれた販売員10名が出場。同社社員が演じる来店者を相手に自慢の接客テクニックを披露した。

 H-1グランプリは、auひかりの販売強化を目指すKDDIの方針のもと、同社コンシューマ営業本部のコンシューマ南関東支社が主催したもの。KDDIの個人向け営業部門は携帯電話と固定回線の双方のサービスを担当しており、携帯電話のイメージが強いauショップでも実はFTTHも扱っている。とはいえ、やはり来店者の目的は携帯電話関連がほとんど。そこで同支社では、auショップを通じたauひかりの契約獲得を加速することを目的にH-1グランプリを開催。優れたスタッフのスキルを共有することで、auひかり販売に必要なスキルの底上げや契約獲得の強化を図ることにした。

 コンテストでは、あらじめ設定された来店者のシチュエーション応じてauひかりのメリットを説明していくシナリオ。スマートフォンの新規契約や携帯電話の機種変更・契約プランの見直し、あるいは携帯電話の解約など、本来の来店目的が済んだあたりでさりげなく自宅の固定通信環境を尋ね、auひかりに乗り換えることのメリットをアピールする。

 auひかりのアピールポイントは、料金面や通信速度のほか、携帯電話と料金請求が一本化されること。例えば、月額料金が競合他社サービスよりも3000円安くなる場合もあるほか、自宅の固定電話からau携帯電話への通話料が無料になるという。通信速度では、最大1Gbpsのメニューを提供しているエリアもある点だ。

 利用中の他社FTTHサービスの最低契約期間や、それ以前に解約する際に必要となる解約料についても言及するほか、固定電話の電話番号の継続使用の可否や、利用中のISPのメールアドレスを継続使用する方法についての説明も忘れない。

 ただし、いくら乗り換えメリットがあると理解はできても、すでに利用している通信サービスからの乗り換えに関しては誰しも慎重になる。とりあえずパンフレットだけもらって帰ろうとする場合には、実際に1月22日から27日の期間限定で実施しているというauひかり契約者への合計1万5000円のキャッシュバックキャンペーンが切り札になる。約10分間の持ち時間で、来店者から「では今日ここで契約します!」というセリフを引き出した時点で実演は終了だ。

 H-1グランプリを開催した南関東支社は、固定ブロードバンド市場でも競争が激しい地域だという。NTT東日本のフレッツ光のほか、CATVインターネットサービスとも競合しており、auひかり提供エリア内における同サービスの加入率は15%程度にとどまるという。

 KDDIでは、auショップを訪れる携帯電話のユーザーを対象に、自宅の固定回線も含めた“一家まるごとKDDI化”によるコスト低減メリットをアピールし、auひかりの販売強化を図りたい考え。今回のような取り組みにより販売員のスキル向上を図ることで、「auショップをauひかりの申し込み拠点にし、自宅のブロードバンド環境についてもお客様が相談できる体制を作っていきたい」としている。

H-1グランプリを獲得したauショップ柏の辻雅之さんKDDIコンシューマ営業本部コンシューマ南関東支社の江口高介支社長

 審査の結果、H-1グランプリはauショップ柏の辻雅之さんが獲得した。辻氏は、携帯電話の機種変更で来店した男性客に対して、メモリー転送中の時間を利用して自宅の通信環境の見直しを提案するパターンを演じた。「嫁がサイフを握っている」という男性客に、自ら直接電話で説明してもいいと述べ、auひかり契約につなげた。

 コンテスト会場には、auショップや販売代理店、派遣会社の関係者ら約230人が訪れ、出場者の接客スキルを観覧。総評では、コンシューマ南関東支社の江口高介支社長は、「光の道構想を受け、FTTHの接続料は2015年までに3段階で安くなっていく。これをチャンスととらえ、このコンテストで得たことを各自持ち帰り、auひかりを拡販していければ」と呼び掛けた。なお、KDDIでは携帯電話の接客スキルコンテストはこれまでも例があるというが、FTTHサービスを対象としたものは今回が初めて。


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(永沢 茂)

2011/1/25 12:29