YouTube、動画職人の養成キャンプを日本でも開催、10名に各200万円の助成金
グーグル株式会社は24日、動画共有サイト「YouTube」で活躍する動画クリエイターを育成・支援するための制度「YouTube NextUp」を日本でも実施すると発表した。
「YouTube NextUp」チャンネル |
最大10名・組のクリエイターが、9月に東京で開催するトレーニングキャンプで作品制作のためのスキルやプロモーションのノウハウなどを学べるほか、200万円の助成金がもらえるため、制作機材費などに充てることで作品のクオリティアップが見込める。
応募資格は、「YouTubeパートナープログラム」に登録しているクリエイターであることなど。応募期間は、6月24日から7月18日まで。YouTubeの一般ユーザーによる投票審査などを経て、8月22日にNextUpの入賞者を発表する。
24日に都内で開催した記者説明会で。(向かって右から)YouTubeのトム・ピケット氏、メイクアップアーティストのミシェル・ファンさん、YouTube Next Labのランス・ポデル氏 |
●YouTubeの大きな成長は、動画クリエイターのおかげ
YouTubeのトム・ピケット氏(コンテンツオペレーションズ&オンラインクリエイター事業部長)は、こうした支援制度を展開する背景として、「これだけYouTubeの利用が拡大したのは、コンテンツを作成・投稿していただくクリエイターあってのこと」と語る。
YouTubeでは4年前の2007年5月、YouTubeパートナープログラムを米国で開始した。同制度のパートナーとして登録された動画クリエイターは、YouTubeの広告収入の分配を受けることができるほか、長い動画を公開できたり、分析ツールで視聴動向を把握できるなどのメリットがある。
当初はプロだけが対象だったが、その後、視聴回数の多い人気の動画を投稿しているクリエイターなど一般からも申し込めるようになった。2008年4月には日本でも提供が開始され、現在、世界に20000以上のパートナーがいる。
日本におけるパートナーの数は公表していないが、1000以上に上るという。また、日本のパートナーに分配する収益は前年比400%のペースで増加しており、ピケット氏は「日本のサラリーマンの平均月収を超える勢い」と表現する。また、「クリエイターが好きで取り組んでいる活動で収益を得ることができるのが特徴」とも。
さらに2010年12月からは、パートナーに対して設備投資のための資金1000ドルを支援する制度も開始。これには、日本のクリエイター10名も含まれているとしている。
●クリエイター発掘の「Next New Networks」を買収
こうした流れの中、Googleは2011年に入って、高品質のオリジナルインターネット動画提供やクリエイター発掘などを手がける「Next New Networks」を買収。「YouTube Next Lab」としてYouTubeに組み込んだ。
Next New Networksの元CEOであるランス・ポデル氏(YouTube Next Lab/オーディエンス拡大担当グローバル本部長)は、YouTube Next Labの役割について、クリエイターに実験・革新の機会を提供することで、彼らがYouTubeのプラットフォーム上で成功するための支援を行うことと説明。主に、1)クリエイティブ性を伸ばすこと、2)プログラミングとチャンネルの設定、3)視聴者を増加させること――という3つの段階でアプローチしていくとした。
このほか、オンライン上だけでなく、現実世界でのクリエイターによるコミュニティ形成もサポートするとし、例えばニューヨークやロサンゼルス、ロンドン、パリ、東京のラボにおいて、スタジオスペースや機材の共有など、クリエイターらによるコラボレーションも進めていく。
ポデル氏は、YouTubeに統合したことで、サポートするクリエイターの数も、Next New Networks時代の60名から数千名規模に拡大したいという。
そして今春立ち上げた制度が、YouTube NextUpだ。新たなクリエイターを発掘し、「本来は趣味の域を出ないものを、1つのキャリアにアップする制度」(ピケット氏)だという。
YouTube NextUpのクリエイターキャンプはすでに米国で開催実績があり、YouTubeのユーザー投票で選ばれた25名・組のクリエイターが5日間にわたって参加。高い効果が得られたため、欧州でも開催することになったという。
日本では募集にあたり、10名・組のうち2名・組については、グーグルおよびYouTubeで展開している東日本大震災関連の取り組みに関連したテーマ枠とする。1つは、被災地の写真・動画を記録・共有するサイト「未来へのキオク」に関連するもの、もう1つは、被災地の店舗・企業の情報を動画などで紹介する「東日本ビジネス支援サイト」 に関するものから選出する。
ミシェル・ファンさんは、「YouTubeパートナープログラム」に参加しているクリエイターの1人。メイクアップのチュートリアル動画を投稿して人気を集め、現在では化粧品メーカーがスポンサーについている |
関連情報
(永沢 茂)
2011/6/24 17:21
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