人のフィルターで名店が見つかる、ソーシャルグルメサイト「Retty」


 ユーザーが訪問した飲食店情報を共有し、独自の飲食店リストを作成できるサイト「Retty」(レッティ)を運営するRetty株式会社は22日、株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズおよびエンジェル投資家より2200万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

 Rettyは、ユーザーが訪問した飲食店を登録することで、「行ったお店」のリストを作成できる。気になるユーザーをフォローし、そのユーザーの投稿から「行きたいお店」リストを作成することも可能だ。利用するにはTwitterかFacebookのアカウントでログインする必要がある。

 ユーザーは、飲食店のエリアを選んで店舗名を入力した後、500字以内のコメントと4段階の評価を選択するだけで投稿できる。投稿後に写真を追加することも可能。ホーム画面上では、「フォローしているユーザーの投稿」「自らが選択したエリアに関する投稿」「全ユーザーの投稿」のいずれかをタブで切り替えて閲覧できる。

 他のユーザーの投稿にはFacebookの「いいね!」を押したり、Retty独自の「いいね!」や「行きたい」リストに追加できる。「行きたい」リストは、テレビを見て気になった飲食店なども登録可能で、エリア別に保存されていく。スマートフォン向けサイトを外出先で閲覧し、現在地周辺の「行きたい」飲食店を確認するといった使い方もできる。

 投稿する飲食店のエリアが数多く重複するユーザーや、Facebookの友達関係でRettyに登録しているユーザーなどは「おススメユーザー」として表示される。また、Facebookの友達のウォールに「○○さんが行っているお店を教えてください!」と投稿し、Rettyへの登録を促す機能も備える。

グルメサイトに埋もれた名店に出会える

Retty代表取締役の武田和也氏

 Retty代表取締役の武田和也氏は、ネットエイジ(現ngi group)を退職後、起業のための市場調査で米国サンフランシスコに滞在。「長くても1年間」という期限を自らに課し、現地企業でSNSのマーケティング業務を担当する傍ら、どの分野のビジネスが伸びるのかを探っていた。

 スマートフォンとソーシャルメディアが急激に普及する米国で確信したのは、「これからは情報発信者が劇的に増え、ネットとローカルの情報が融合する」ということ。さらに、日本人は食へのこだわりが強く、モバイル操作にも慣れているという背景もあり、グルメサイトでの起業を決意。渡米から11カ月目に帰国し、2011年5月にRettyをローンチした。

 既存のグルメサイトでは良い飲食店が見つからなかったり、すぐに忘れてしまうといった日ごろの不満も起業のきっかけだった。「例えば、グルメサイトの評価が3.3ポイントあれば良いお店と判断できるかもしれないが、評価をしている人と自分の価値観が近いとは限らない。気になったお店があっても、翌日に忘れてしまうことも多かった」。

 これに対してRettyは、味覚や価値観などで共感するユーザーをフォローすることで、「人のフィルター」を介して飲食店を探せるのが特徴。「グルメサイトでは見つからなかった名店に出会えることもある。気になった飲食店は『行きたい』リストに登録しておけば、忘れることもない」。

 「知人だけでなく、特定のジャンルやエリアに詳しい人をフォローするのがお勧め。六本木のグルメに興味がある人は、六本木で勤務する人をフォローしたり、旅行する際には、その地方に住むユーザーの投稿を参考にすれば、地元の人への“聞き込み”をしなくても良いお店に出会える。」

 現状で収益化は考えていないというが、将来的には飲食店向けの月額課金プラットフォームを構築する予定だ。同プラットフォームではユーザーのFacebookの情報をもとに、飲食店側がユーザーの属性を絞ってダイレクトメールやクーポンを送ったり、飲食店を訪問したユーザーの属性を分析できるようにする。

 今回の資金調達によりRettyは、開発体制を強化する。今後はiPhoneやAndroid向けのアプリを10月ごろにリリースするとともに、海外展開も視野に入れている。年内に10万ユーザー、1年後には100万ユーザーの獲得を目指す。


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(増田 覚)

2011/8/23 11:00