携帯向け「アバター/アイテム販売」市場、1年で3倍の規模に、942億円増

「デジタルコンテンツ白書2011」発刊


「デジタルコンテンツ白書2011」表紙

 財団法人デジタルコンテンツ協会は1日、「デジタルコンテンツ白書2011」(監修:経済産業省商務情報政策局)を発刊した。A4変形判・232ページで1万2600円。

 同協会が毎年実施している国内コンテンツ産業市場規模についての調査結果を掲載するほか、マンガやアニメ、映画、音楽、ゲーム、ライブエンターテインメントなどの分野別、放送やインターネット、モバイル、新聞・出版などのメディア分野別、さらにコンテンツ政策などについて動向を解説している。特集では「ソーシャルメディアとコンテンツ」を取り上げた。

コンテンツの提供メディア、“ネット化率”は12.7%

 2010年のコンテンツ産業市場の規模は、アナログ/デジタル含め12兆641億円で、前年比0.8%減。同市場は2007年の13兆2450億円をピークに、2008年に2.4%減、2009年に5.9%減と、リーマンショックにより減少傾向にあった。2010年もその傾向が続いているわけだが、緩やかな景気回復により減少率は縮小したとみている。

コンテンツ産業の市場規模の推移

 コンテンツ区分による内訳は、「静止画・テキスト」が5兆523億円(構成比41.9%)、「動画」が4兆4585億円(同37.0%)、「音楽・音声」が1兆3802億円(同11.4%)、「ゲーム」が1兆1731億円(同9.7%)となっている。「静止画・テキスト」が前年比3.6%、「音楽・音声」が同4.5%減少した一方で、「動画」が同1.4%、「ゲーム」が同9.6%増加した。

 メディア(提供形態)区分による内訳は、「パッケージ」が5兆4189億円(構成比44.9%)、「放送」が3兆6015億円(同29.9%)、「劇場・専用スペース」が1兆5131億円(同12.5%)、「携帯電話」が7666億円(同6.4%)、「ネットワーク」(携帯電話を除く)が7640億円(同6.3%)。なお、「携帯電話」は従来型のいわゆる“ガラケー”を指しており、スマートフォンは「ネットワーク」に分類されている。

 「パッケージ」が減少する一方で、「携帯電話」と「ネットワーク」が伸長。それらネットメディアでの市場は1兆5306億円に拡大し、コンテンツ市場における“ネット化率”は12.7%と上昇した。これは10年間続いている傾向で、パッケージからネットワークへの置き換えが進んでいることを示しているとしている。

コンテンツ産業の市場規模。コンテンツ区分による内訳(左)とメディア区分による内訳(右)

 伸び率が大きかったコンテンツとしては、「アバター/アイテム販売(携帯)」(コンテンツ区分:ゲーム、メディア区分:携帯電話)が前年比210.7%増。金額では942億円増加したという。これは、基本サービスを無料で提供し、その他の機能について課金する“フリーミアム”のビジネスモデルが定着してきたことを示しているという。

 このほか伸び率が大きかったのは、「動画配信(携帯)」(コンテンツ区分:動画、メディア区分:携帯電話)が44.6%増、「電子書籍(除く携帯)」(コンテンツ区分:静止画・テキスト、メディア区分:ネットワーク)が40.0%増など。

“デジタル化率”は引き続き上昇、56.5%と半数超える

 コンテンツ市場のうち、デジタルコンテンツの市場は6兆8158億円で、前年比10.9%増加。引き続き順調に伸びており、コンテンツの“デジタル化率”は56.5%に達した。2009年は49.9%だった。

 デジタルコンテンツ市場のコンテンツ区分による内訳は、「動画」が3兆4675億円(構成比50.9%)、「ゲーム」が1兆1731億円(同17.2%)、「静止画・テキスト」が1兆1020億円(同16.2%)、「音楽・音声」が1兆732億円(同15.7%)。

 なお、各区分のデジタル化率は、「ゲーム」が100%、「動画」「音楽・音声」がともに77.8%、「静止画・テキスト」が21.8%。

 メディア区分による内訳は、「放送」が2兆8488億円(構成比41.8%)、「パッケージ」が1兆4599億円(同21.4%)、「劇場・専用スペース」が9765億円(同14.3%)、「携帯電話」が7666億円(同11.2%)、「ネットワーク」が7640億円(同11.2%)。「

 各区分のデジタル化率は、「携帯電話」「ネットワーク」がともに100%、「放送」が79.1%、「劇場・専用スペース」が64.5%、「パッケージ」が26.9%。

デジタルコンテンツ産業の市場規模。コンテンツ区分による内訳(左)とメディア区分による内訳(右)




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(永沢 茂)

2011/9/1 06:00