「QuarkXPress 9.1」リリース、iPad電子書籍アプリの作成・発行ツールを追加
「QuarkXPress 9」のパッケージと、新機能「App Studio」で作成したiPad電子書籍アプリのイメージ |
米Quark Softwareは1日、DTPソフトの最新バージョン「QuarkXPress 9.1」をリリースすると発表した。QuarkXPress 9に対する無償アップデートとして提供する。iPad向け電子書籍アプリを作成・発行するためのツールセット/サービスである「App Studio」を追加している。
QuarkXPress 9は、Mac OS X 10.5/10.6/10.7(いずれもIntel CPUのみ)とWindows 7/Vista/XPに対応。価格は、新規購入が9万7650円、アップグレードが3万2550円。
App Studioには、プログラミング作業なしにiPadアプリを作成できるスタンドアローンのMac OS X対応ソフト「App Studio Factory」、App Studioで制作したiPadアプリをテストプレビューするためのiPadアプリ「Quark Issue Previewer」、制作したアプリやコンテンツの販売管理を行ったり、アプリ証明書の発行を受けられるウェブサイト「App Studio Publishing Portal」が含まれる。
作業手順としては、QuarkXPressで制作したページレイアウトをもとにリッチコンテンツの追加や各種効果の設定を行った上で、それをApp Studio FactoryでiPadアプリ化する流れとなる。今回のQuarkXPress 9.1では、動画やスライドショー、音声を割り当てたり、インタラクティブ要素やレイアウトスクローリングなども設定できるApp Studioパレットが追加された。
App Studio Factoryには、アプリ内購読など各種機能をあらかじめ定義したいくつかのテンプレートが用意されており、コンテンツの発行形態に応じて選択する。単行本のように1作品を単独の1アプリとするもの、雑誌のように1アプリで複数の号を配信するもの、文庫などのように同じシリーズで複数の作品を発行するのに適した本棚タイプなどがある。デザインなどは作成者がカスタマイズでき、自社ブランドのアプリとして公開可能だ。
「QuarkXPress 9.1」に搭載されたApp Studioパレット |
「App Studio」による作業の流れと、「App Studio Factory」画面およびテンプレートの種類 |
App Studioでアプリを作成・公開するには、まず、App Studio Factoryのテンプレートに対するライセンスを購入する必要がある。これはテンプレートのタイプによって異なり、例えば最も安い単行本タイプが1万3000円、雑誌タイプが6万5000円、本棚タイプが6万5000円など。さらに作成したiPadアプリやそのアプリ用の個々のコンテンツを実際に公開する際にそれぞれ1回だけ課金されるイシューライセンスがあり、こちらは1コンテンツライセンスパック3万2000円からとなっている(ライセンス価格はいずれも税別)。
アプリ/コンテンツ公開後の月額/年額などによる継続課金や、販売数(ダウンロード数)などに応じた従量課金はなく、例えば単行本アプリを1冊だけ出版するような最もシンプルな場合は、テンプレートライセンスとイシューライセンスの計4万5000円でiPad電子書籍アプリを発行できるとしている。もちろん、Quarkへ支払う料金以外に、AppleのiOSデベロッパプログラムの費用や、アプリ内コンテンツのホスティング費用などは別途必要だ。
なお、QuarkXPress 9.1はMac OS XとWindowsの両方に対応しており、いずれの製品にもApp Studio Factoryが同梱されている。しかし、iOSデベロッパプログラムにおけるiPadアプリ開発環境がMac OS Xのみのサポートになっているため、QuarkのApp Studio Factoryも現状はMac OS Xにしか対応していないのだという。
ただし近い将来、Androidなど他のモバイルOS向けのアプリ制作機能も追加する予定だとしており、それらではWindows環境でのアプリ作成ソフトも提供される見込みだ。
Quark Software社長兼CEOのRaymond Schiavone氏 | Quark Softwareマーケティング担当副社長のGavin Drake氏 |
関連情報
(永沢 茂)
2011/9/2 06:00
-ページの先頭へ-