図書館での書籍大量電子化はフェアユースではない~米著作者団体が申し立て


 米著作権者団体のThe Authors Guildは2月29日、「The Authors Guild vs HathiTrust」裁判において、図書館による書籍の大量電子化は米国著作権法のフェアユース規定のもとで保護されていないとの判断を示すよう、連邦判事のHarold Baer氏に対して求める申し立てを行ったことを発表した。

 Authors Guildが提出したのは「訴答に基づく一部判決申し立て」と呼ばれる裁判手続きだ。Authors Guildによれば、「原告がこの方法を採用することは滅多にない」としており、この裁判の異例さを指摘している。

 原告のAuthors Guildは、被告の大学図書館側のフェアユース規定の主張に対して、提訴中の案件であるにもかかわらず、フェアユースの件についてのみ判決前に判断を求めている。HathiTrustや大学図書館の書籍大量電子化作業にはGoogleやGoogle Booksが大きく関与していることから、これら他の裁判にも影響する可能性がある。

 Authors Guild側は、被告側が根拠としている著作権法の条文を挙げ、被告側がそれらの条文にすら違反しているとの具体的な内容を説明。その中には、図書館がコピーすることが許されているのは、保管が難しくなった書籍の保存のためであるにもかかわらず、その当初の目的を逸脱し、電子書籍や商業書籍が流通していることがわかっている書籍の電子化も行われていること、また、インターネットに接続されたサーバーにデジタルコピーを数百万冊保管し続けていることなど、さまざまな要件を挙げている。

 HathiTrustは、ミシガン大学、カリフォルニア大学、ウィスコンシン大学、インディアナ大学、コーネル大学によって設立され、デジタル化された書籍を学生に対して提供することを目的としている。Authors Guild側は、これらの大学とHathiTrustに対して訴訟を起こしていた。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2012/3/1 11:40