ソーシャルゲーム最大手の米Zynga、独自プラットフォーム発表


 ソーシャルゲーム世界最大手の米Zyngaは1日、独自のソーシャルゲームプラットフォーム「Zynga Platform」を発表した。ソーシャルゲームサイト「Zynga.com」を公開予定であるほか、サードパーティのゲームクリエイターのためのインフラとAPIも提供する計画。

 Zyngaのビジネスは、ソーシャルネットワーキングサイト(SNS)世界最大手のFacebookに大きく依存している。そのため多くのアナリストから、ZyngaはFacebookからの依存脱却を目指すべきだとの考え方が出ていた。

 「Zynga.com」は3月中に英語や日本語を含む16カ国語でベータ版として公開される。同サイトは、ソーシャルゲームを集めたディスティネーションサイトとなる。Zyngaが開発したゲームだけでなく、サードパーティ製のゲームもプレイできるようにする。Facebookの友人に加え、「zFriend」という新たな仕組みで他のプレイヤーと繋がることも可能だ。また、ゲームプレイを中断せずに、アイテムにリアルタイムにアクセスできるソーシャルストリーム機能や、Zynga.com上のプレイヤープロフィールやライブチャットなど、ソーシャルゲームに焦点を合わせた機能が多数用意される。

 一方で、Facebookとの連携は依然として密接だ。ユーザーはFacebook IDを使用してログインし、これまで通り他のFacebookの友人とプレイし続けることができる。ZyngaのCEOであるMark Pincus氏は「Zynga.comは、Facebookと完全に統合された初のサイトの1つとなる」と説明している。

 さらに、Zyngaのインフラをサードパーティゲーム会社が利用できるプラットフォーム「Zynga Platform」も公開する。Zyngaは同社のゲームを運用するための独自インフラ「ZCloud」に投資し、開発を続けてきたが、これらをZynga Platformとしてサードパーティゲーム会社も利用できるようにする。サードパーティは、ソーシャルゲームに必要なスケーラビリティやアベイラビリティを気にせずに開発に専念でき、同時にZyngaが開発したソーシャルゲーム専用指標「アクティブソーシャルネットワーク(ASN)」によってゲームの成功度合いを計測することもできる。

 1日の発表時点でZynga Platformを利用するパートナー企業として、MobScience、Row Sham Bow、Savaの3社が発表された。今年後半には他の企業にも公開され、「Zynga API」が用意される計画だとしている。

 Facebookが2月に公開したIPO申請書類によれば、同社の売り上げの12%はZyngaからもたらされたことが明らかになっている。それだけに、両者の関係はZyngaの発展を阻害するものとしてアナリストたちから見られていた。Zynga.comがソーシャルゲームのハードコアユーザーを引きつけることができれば、独自ゲームプラットフォームとして、Facebookを超えてさらに発展する可能性もある。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2012/3/2 11:54