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ファーストサーバ、共有サーバーとVPSサービスで「データ復旧は不可能」


 ファーストサーバ株式会社は6月23日、20日から同社のレンタルサーバーサービスに発生している障害について、共有サーバーとVPSサービスについては「データ復旧は不可能と判断した」と発表した。

 今回の障害の影響を受けたサービスは、共用レンタルサーバーサービスの「ビズ」「ビズ2」、専用サーバーサービスの「エントリービズ」「エンタープライズ3」、VPSサービスの「EC-CUBEクラウドサーバ マネージドクラウド」。影響を受けた顧客数は約5000。

 ファーストサーバーでは外部専門業者にも依頼してデータ復旧を進めてきたが、共有レンタルサーバーサービスの「ビズ」「ビズ2」およびVPSサービス「EC-CUBEクラウドサーバ マネージドクラウド」については「データ復旧は不可能」と判断したと発表。ユーザーには、ユーザー側で取ったバックアップデータから再構築してほしいと呼びかけ、「お客様のお手を煩わす事態となりましたことを、心よりお詫び申し上げます」と謝罪している。

 専用サーバーサービスの「エントリービズ」「エンタープライズ3」についても、ユーザー側で取ったバックアップデータから再構築してほしい、というスタンスが基本だが、専用サーバーについては、要望があればデータ復旧を試みるとしている。ただし、「データを完全に復旧することは技術的に不可能」「仮に復旧できた場合でも復旧データの精度、量は相当部分的なものにとどまる」との厳しい見通しを明らかにしている。要望があった場合には対応を行うが、復旧には数カ月以上要すると見込んでおり、その点を了承の上で申し込んでほしいという。

 なお、23日付けのお知らせでは、損害賠償についても言及。共用サーバー、専用サーバー、VPSといずれのサービスについても、損害賠償については「サービス約款に従い損害の賠償を致します」と発表した。時期、手続、方法などの詳細は現在検討中で、決まりしだいユーザーに告知するとしている。

ファーストサーバのサービス約款 第16条。データの保管とバックアップについて定めている


 ファーストサーバのサービス約款では、(1)基本的にデータ消失などの危険性が内在するサービスであることを理解して利用する、(2)データの管理・バックアップはデータの所有者=サービス利用者が行う、(3)利用者がバックアップを怠ったことで受けた損害についてファーストサーバは何ら責任を負わない――といったことが定められている。

 データの保証をしないのはファーストサーバだけでなく、レンタルサーバーなどでは通常こうした条項が必ずサービス約款に盛り込まれている。ロールバックすらできないという事態は比較的珍しいものの、今回のように起きる時は起きてしまう。

 東日本大震災以後、事業継続性がIT部門の大きなテーマとなり、事業継続性の観点からレンタルサーバーやクラウドへのニーズが高まっている面がある。しかし同時に、クラウドサービスには何よりコストダウン効果が求められており、高信頼性が何より重視される金融システムなどとは全くコンセプトが異なるサービスだ。今回の障害は、クラウド時代となっても、自社の資産であるデータは自社で防衛策を講じる必要があるということを改めて啓蒙する事例となりそうだ。



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(工藤 ひろえ)

2012/6/23 23:27