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4年目を迎えたGoogle Chromeでは「自分のウェブ環境をどこからでも快適に」


 グーグル株式会社は2日、ウェブブラウザー「Google Chrome」についての報道関係者向け説明会を都内で開催した。サンフランシスコで6月27日から29日まで開催された開発者向けイベント「Google I/O 2012」で発表された内容のうち、Chromeに関連する内容について概要を報告したものだ。説明者は、同社シニアエンジニアリングマネージャーの及川卓也氏、プロダクトマネージャーのバウ・ケンジ氏、デベロッパーアドボケイトの北村英志氏。ウェブというものをGoogleがどう考えているか言及しながら、2008年にリリースしたChromeをどう進化させてきたか、そしてその結果、Chrome上でどのような体験が可能になったかを説明した。

及川卓也氏 バウ・ケンジ氏 北村英志氏

 Googleの社内データによると、Chromeのアクティブユーザーは現在、世界で3億1000万人おり、単に静的なコンテンツを閲覧するだけでなく、毎日600億文字以上を「生産」しているという。これは、Google Docsのようなウェブベースの文書作成ソフトやチャットなど、動的な対話型の操作性を提供するアプリケーションとしてウェブが使われるようになった結果、Chromeユーザーがこういったアプリケーションに入力している文字が毎日600億文字以上に及ぶということだ。平均的な教科書に換算すると、毎日10万冊の教科書が作られているほど非常に大きなものがChrome上で生産されているとした。

 また、Chromeでは、アドレスバーで検索した後にユーザーが訪問するであろうページを先読みして裏で処理をしておき、クリックした時に即座に表示する仕組みが搭載されている。その結果、Chromeユーザーの時間をすでに13年間分「節約」していることも報告した。

Google Chromeの利用状況

 Chromeの利用状況に関する数字としては、Google アカウントでログインしてChromeの同期機能を利用しているユーザーが4300万人に上ることも紹介した。複数台のデバイスを持っている場合、表示しているタブやブックマーク、入力候補などを各デバイス上のChromeで同期・共有できるもので、及川氏によれば、Chromeの開発でここしばらく強化している点なのだという。

 例えば、外出前に自宅で目的地の地図を調べる場合、通常は初めからスマートフォンで調べる人はあまりいないのではないかとし、まずは画面が大きいPCで調べ、それを印刷して持って行くことがこれまでは多かったのではないかと指摘する。しかし、現地で道順がよく分からなくなった時にはスマートフォンでわざわざGoogle マップを立ち上げて経路を表示し、ナビゲーションしてもらうこともあると説明する。

 しかしChromeの同期機能により、こうした作業が全く必要なくなるという。自宅や会社のPCで表示していたタブをスマートフォンから簡単に表示でき、そのタブがGoogle マップであれば自動的にGPSで現在地を表示、さらに経路を表示してナビゲーションしてもらうことができるためだ。単に紙に印刷する手間が省けるというだけでなく、今までできなかったことを即座にできるようにしたり、今までも可能ではあったが非常に複雑だった作業が標準機能でできるようになるのがChromeの同期機能だとアピールした。

Google Chromeの同期機能

 また、2008年のリリース当初はWindows版だけだったChromeだが、その後、Mac版やLinux版もリリース。さらに現在では、スマートフォンやタブレットなど複数プラットフォームのデバイスを持つことも普通になったため、同期機能を支える要素としては、これら多く利用されている各種デバイス環境に対してそれぞれChromeを用意することも重要になる。そこで今回のGoogle I/O 2012では、2月にベータ版を公開していた「Chrome for Android」の正式版をリリースするとともに、Googleブランドのタブレット「Nexus 7」ではデフォルト搭載、さらにAndroid 4.1以降でも標準搭載するに至ったという。あわせてiPhone/iPad向けの「Chrome for iOS」もリリースしている。

 このほかスマートフォン向けではまだ機能が搭載されていないが、MacとWindowsでは、Google アカウントでログインして同期することで、ブラウザーの拡張機能やインストールされているウェブアプリケーションを含め、「まさに自分が使っているウェブの環境というものを、いつでもどこでも利用できるようにする。新しいデバイスを買った場合、今まではアプリケーションをインストールし直す必要があったが、ウェブですべて完結しているユーザーであれば、ウェブアプリケーションの再インストール作業も全くいらない」とした。

Google Chromeの進化

 及川氏は、Chromeを初めてリリースした当時のコンセプトが、「Living on the Web(ウェブで暮らす方々のために)」だったことを紹介。「今までのウェブブラウザーのあり方でいいのか。  今後のウェブを考える場合、全く違うかたちのブラウザーがあるのではないかということで、Googleなりに提起させていただき、実際に製品を作ったのがChromeだった」と振り返る。

 それが4年目を迎えたChromeでは、「あなたのウェブを、いつでも、どこでも」というコンセプトで、「まさにパーソナライズされた自分のウェブ環境というものを、どこからでも快適に使えるようにすることを、さらに進めていきたいと考えている」とした。

 なお、こうしたコンセプトを実現するのにもう1つ重要なのが、ウェブアプリケーションのプラットフォーム技術だという。Chromeで同期可能なパーソナライズ環境は、ウェブですべて完結しているからこそ実現できるものであり、それに必要となる技術は3年前はまだまだ足りなかったのが現実だったという。しかし、今ではHTML5の標準化や実装、さらには外部アプリケーション開発者への普及・啓発活動によって進展したという。Google I/O 2012においては、そうしたウェブプラットフォーム技術についても興味深い事例をいくつか紹介した。

 例えば「シルク・ドゥ・ソレイユ」とGoogleが協力して開発したウェブのエンターテインメントコンテンツ「Movi.Kanti.Revo」では、音声・動画によるリアルタイムコミュニケーションをブラウザー内のウェブアプリケーションとして実現するための技術「WebRTC」を活用。端末のウェブカメラで取り込んだユーザーの顔の向きを検知し、それに合わせてコンテンツの表示の向きを変えるといった仕掛けだ。また、「Chrome Web Lab」サイトでは今夏より、ロンドンのサイエンスミュージアムの展示をブラウザー上から体験できるコンテンツを公開するという。館内に展示している楽器をウェブブラウザー上からリアルタイムに演奏し、そのライブ動画を視聴できるといったものなど5つのウェブアプリケーションを用意するとしている。


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(永沢 茂)

2012/7/3 06:00