富士通、スマホと連携する愛犬用歩数計「わんダント」


 富士通は、スマートフォンと連携する愛犬用歩数計「わんダント」を11月28日より提供する。オープンプライスとなり、店頭価格は9800円程度になる見込み。

写真左から、寺師氏、哀川翔、大谷氏、富士通ユビキタスサービス事業本部マネージャーの三ッ山陽子氏

 「わんダント」は、愛犬の健康管理などに活用できるFeliCa搭載の犬用歩数計。パッケージには、犬用歩数計と専用の首輪、USBスティック型のFeliCaリーダーが同梱され、クラウドサービスとセットで利用する。価格には端末の値段のほか、1年分のクラウドサービス利用料が含まれ、2年目以降は月額420円かかる。

 「わんダント」では、愛犬の歩数が計測できるほか、体をブルブルと震わす動作、周囲の温度なども10分単位で記録できる。体を震わす動きには、何らかの要因で犬がストレスを感じている場合があるという。

 データは最大14日分が保存できる。同梱のFeliCaリーダーや、おサイフケータイ対応のAndroidスマートフォンを「わんダント」にかざし、「わんダント」内部に記録されたこれらのデータを吸い出し、クラウドサービスへと転送できる。

 専用のWebサイトでは、歩数などがグラフ表示されるほか、食事内容やフンの状態、日記や写真なども記録できる。写真については、FacebookやTwitterとの連携が可能。多頭飼いの場合も、最大3匹までを1つのIDで管理できる(わんダントは3台必要)。愛犬の日々のデータを記録していくことで、飼い主が健康管理に役立てられるほか、動物病院などで参考データとして活用できる。

 また、FeliCaを経由して「わんダント」への書き込みも可能で、端末のバージョンアップや機能追加に使われる。

 「わんダント」は生活防水仕様となり、雨の日の散歩でも利用できる。本体には3D加速度センサーを搭載している。富士通研究所では、数百頭の犬の歩行データを収集し、犬用の歩数検出アルゴリズムを導き出した。加速度センサーと動作推定技術により、犬の前足の動きを検知している。このため、たとえば犬を抱えて人が歩いている場合は歩数はカウントされないという。4足歩行の犬は、歩行時は片脚が着地する毎に1歩、走行時は両脚が着地するまでを1歩と数える。

 大きさは46×28.4×12.5mmで、重さは約16g。ボタン電池(CR2032)で動作し、動作時間は4カ月程度。スマートフォンを利用したデータ転送用に、Androidアプリが用意される。クラウドサービスにはWebサイトからアクセスする。パソコンはWindows OSに対応し、Mac OSでは利用できない。

富士通、ペット産業参入

成城こばやし動物病院の小林氏

 富士通の執行役員常務の大谷 信雄氏は、少子高齢化社会によりペットの数が増えていると説明。5歳未満の子供の数より、犬や猫の数が上回っているとした。また同氏は、「ペットは動物という概念ではなく、家族の一員と言える」と述べ、動物病院やペット保険会社などと連携を図っていくとした。

 富士通のユビキタスサービス事業本部 本部長の寺師 和久氏は、「ICTの活用で飼い主の不安を取り除いていきたい」と語った。言葉のわからないペットにとって、行動データが大切な情報になるとした。「わんダント」は、3年間で40万会員の獲得を目指すという。

 また、成城こばやし動物病院の院長である小林 元郎氏も登壇した。同氏は、ネットにはペット関連の情報が氾濫していると指摘し、飼い主にとって情報過多になっている状況を説明。「これまで獣医はペットの苦痛をとるのが仕事だったが、飼い主のつらさや不安を取り除くのも仕事になっている」と述べ、獣医と飼い主で正しい情報を共有する必要性を説いた。「わんダントで上がってきた情報が臨床の現場に役立てたらいいなと思う」とした。

 富士通では、ペット保険のアニコム損害保険との連携を視野にペット産業へ参入する。現在、ペット保険と「わんダント」の連携を検討しているという。さらに、動物病院などとの連携も進めていく計画だ。説明担当者は、富士通がスマートフォンなどで展開している人間用の健康管理サービスとの連携なども視野に入れているという。


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(津田 啓夢)

2012/11/27 19:43