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米IBM、「全クラウドサービス、ソフトウェア」をOpenStackベースにすると発表

〜PCと同様、「オープン」「標準化」でクラウド市場をリードする戦略

 米IBMは4日、すべてのクラウドサービスとソフトウェアをオープンソースベースにすると発表した。これによってIBMの顧客企業は特定のクラウドベンダーにロックインされるリスクを避けられることになる。

 この戦略のもとで、IBMはオープンソースのクラウドインフラ構築ソフトウェア「OpenStack」を基盤とするプライベートクラウドサービスを提供する。同社はこれに関連したベータ版を含むクラウド管理ソフトウェア群を発表した。

 同社のこの戦略について、IBMソフトウェア担当上級副社長Robert LeBlanc氏は「標準規格とオープンソースは、どちらもWebとLinuxに革命を起こしたのと同じように、クラウドコンピューティングにも大きな影響を持つことになる。IBMはずっとスタンダードとオープンソースの最前線に立ってきたが、クラウドコンピューティングでも同じことをしていく。ここでの勝者は顧客となる。特定のベンダーにロックされてしまったことに後で気づくようなことがなく、逆に顧客ニーズを満たす最高の機能セットを使った最適なプラットフォームを自由に選択できるからだ」とコメントした。

 IBMは2000年にLinuxサポートを表明し、その後は一度に10億ドルの投資を行うなど、オープンソースを強力に支援して話題を集めた。このことは同社がビジネスモデルの転換で成功を収めた大きな要因とみられている。このようにして同社がLinux、Eclipse、Apacheで培ってきたオープン標準規格のサポート推進に関する経験を、今度はクラウドコンピューティングにも生かす考えだ。

 同社はこのために、新たに「Cloud Standards Customer Council」を創設するほか、創設メンバー、プラチナメンバーとしてOpenStack Foundationを技術的、試験面などで支援する。また、クラウドアプリケーションの移植性を向上させるために、W3Cでは「Open Service for Lifecycle Collaboration」「Linked Data」、OASISでは「TOSCA」を推進する。

 さらに、オープンクラウドプロジェクトに500名以上の開発者を投入し、OpenStack Foundationとその加盟者、加盟団体と密接に協力していくとしている。

 その上で、IBM独自のサービスとして、プライベートなクラウドサービス運用を簡易化するサービス、ソフトウェアを提供する。その一環として、エンタープライズクラスのサービスを、ハイブリッドクラウド環境で容易に移植できるようなオープンソーステクノロジーのセットを提供する方針だ。

 今回IBMが提供を発表したのは、新規およびバージョンアップしたクラウドサービス管理ソフトの一群となる。これには複数のクラウドサービス管理を容易にするためのIBM SmartCloud Orchestrator、クラウドのリアルタイムパフォーマンスとアベイラビリティーを監視するIBM SmartCloud Monitoring Application Insightなどが含まれている。

 IBMは2012年4月に、OpenStack Foundationのプラチナスポンサーになっていたが、今回の発表によってIBMの戦略が明確になったといえる。

 クラウド市場は大きな成長が見込まれているが、現時点で大きな存在感を示しているのは米AmazonによるAmazon Web Serviceであり、MicrosoftのWindows Azureも確実に注目度を増している。両社共にOpenStack Foundationには加盟していない。IBMは新たな戦略でこれらの企業を追従することになる。

(青木 大我 taiga@scientist.com)