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JASRAC都倉会長「補償金は永遠の問題、著作権の正義のために戦う」

JASRAC都倉俊一会長

 一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は22日、都内で「2013年定例記者会見」を開催。都倉俊一会長が著作権保護期間の延長と、「永遠の問題」という私的録音録画補償金制度の見直しの必要性を訴えた。

 都倉氏は、TPPにおける米国の要求項目に「著作権保護期間の延長」があるとした上で、「以前の自民党政権から『議員立法でもよい』と働きかけてきた。保護期間70年の問題がTPPで浮上すれば我々の手から離れるが、JASRACとしては非常に良いニュース」と話した。

「世界標準」の保護期間でなければクラウド時代に不都合が生じる

JASRAC菅原瑞夫理事長

 保護期間を著者の死後50年から70年に延長することをめぐっては、古い作品の流通や二次創作が阻害されるといった意見もある。この点について都倉氏は、カナダやニュージーランドを除く先進国の大半は「死後70年」と反論し、世界標準に合わせるべきと主張した。

 「極論を言えば、全世界が合わせれば50年でも構わない。重要なのは、同じ作品の価値観を共有すること。有料・無料の地域があるというのは、著作権の円滑運用に支障をきたす。統一しないことへの不都合がクラウド時代になって出てくる。」

 私的録音録画補償金については「永遠の問題」と前置きした上で、「クラウド時代に何が私的録音であるか」を明確にすべきと発言。JASRACは芸術家の創作意欲を維持する立場にあるとして、「著作権の正義のために戦っていきたい」と意気込みを語った。

 また、菅原瑞夫理事長は「補償金制度は実質的に意味をなしていない」と指摘。補償金制度の対象となるには政令指定される必要がある現行制度では「世の中の流れについていけない」として、新しい仕組みづくりが必要だと訴えた。

(増田 覚)