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和製GitHub「ギットブレイク」公開、プライベートリポジトリが無料・無制限

 株式会社ビズリーチは29日、IT・ウェブエンジニアの協業を支援するサイト「コードブレイク」を正式オープンし、プログラムのソースコードを共有できるリポジトリを提供するgitホスティングサービス「gitBREAK」(ギットブレイク)を開始した。利用は無料。

gitホスティングサービスのイメージ

無料・無制限のプライベートリポジトリ提供は世界初

 gitとは、プログラムのソースコードの変更履歴を記録・追跡するバージョン管理システム。gitBREAKでは、gitを一般公開する「オープンリポジトリ」と、指定したユーザー間で限定公開する「プライベートリポジトリ」を無料で提供する。

オープンリポジトリとプライベートリポジトリの違い

 類似サービスでは2008年にスタートした「GitHub」が有名だが、利用は有料で作成可能なリポジトリ数は個人が5件、法人が10件までに制限されている。同様のサービスでは無料でリポジトリ数も無制限の「BitBucket」があるが、共有人数が5人までという制限がある。

プライベート利用時のサービス概要の比較

 これに対してgitBREAKは、作成できるリポジトリ数と共有ユーザー数は無制限。サービスを運営するビズリーチの南壮一郎社長によれば、「無料・無制限のプライベートリポジトリを提供するgitホスティングサービスは世界初」としている。

米国で主流の採用手法が日本へ、エンジニアと企業が交流する招待制ミートアップ

 コードブレイクでは、企業が主催するミートアップ(勉強会・交流会)にIT・ウェブエンジニアを招待して交流できるようにするサービス「cafeTERIA」(カフェテリア)も提供する。

 エンジニアは「Java」「PHP」「iOSアプリ開発」といったスキル、経験年数、スキルごとの熟練度を「スキルタグ」として匿名で登録することで、企業がスキルタグをもとにミートアップに招待したいエンジニアを検索できる。

カフェテリアの利用イメージ

 ミートアップに参加するエンジニアのメリットは、最新技術や知識を学べたり、他の優秀なエンジニアと交流し、人脈を形成できること。一方、企業は自社の風土を体感してもらうことで、キャリアアップを考えるエンジニアの転職先候補となりうることが利点だ。

 ビズリーチによれば、ITエンジニアの採用が積極化する米国の企業では、招待制ミートアップを通じて「欲しい人材リスト」を常時増やし、エンジニアがキャリアチェンジを考えるタイミングで採用する手法が主流になりつつあるという。

 コードブレイクではこのほか、自分の保有スキルと近しいスキルを持ったエンジニアの年収がわかる「ビューポート」、自分のスキルに合った求人を探せる「ジョブボード」といったサービスも提供する。

コードブレイクのユーザー登録と提供サービスの流れ

「和製GitHub」として世界と戦えるプラットフォームに

ビズリーチの南壮一郎社長

 コードブレイクを運営するビズリーチは、エグゼクティブに特化した転職情報サイト「ビズリーチ」を手がける企業。すでに分社化したプレミアムチケットのタイムセールサイト「ルクサ」に続く事業として、コードブレイクを2月に試験的に開始した。

 コードブレイクは正式提供をした現在でもすべての機能が無料。収益面について南社長は「今のところ考えていない」として、まずは優秀なIT・ウェブエンジニアが集まるプラットフォームを構築した上でフリーミアムモデルを検討したいという。

 「日本をITものづくり立国にしたいという思いでサービスを立ち上げた。Amazon Web Servicesを利用しているため、初期投資額は二桁万円に達するかどうかという金額で負担も少ない。当面の運転資金もビズリーチの既存事業の収益を活用していける。」

 コードブレイクの会員数は1年後に20万人、3年後に100万人を目指すとともに、2014年には英語版でのサービス提供を予定。29日にスタートしたgitBREAKについては、「和製GitHub」として「世界と戦えるプラットフォームになれば」と意気込みを語っている。

(増田 覚)