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ローソンをハックし、おでんの在庫可視化も〜からあげクン1年分は誰の手に?

コンビニ業界初のハッカソンに開発者ら約60名が集う

 株式会社ローソンが8月24・25日の2日間、同社が提供するデータやAPIを使用したハッカソンイベント「HackaLawson(ハッカローソン) 2013」を渋谷ヒカリエにて開催した。「ローソンとできるソーシャルチェンジ」をテーマに、エンジニアやクリエイターが集合し、ウェブアプリやスマートフォンアプリなどを開発するイベントで、司会はジオリパブリックジャパンの関治之氏が務めた。ローソンが提供したデータは、ローソン店舗の位置情報やローソン運営のソーシャルメディアAPI(FacebookやTwitterなど)、オリジナルキャラクター「あきこロイドちゃん」の3Dデータや音声、ローソンのダミー売り上げデータAPIなど。

「HackaLawson 2013」で開発中の様子

 イベントに先立って19日には、アイデアソンも開催された。この事前アイデアソンで生まれたプロジェクトにさらに数プロジェクトが追加され、24日のハッカソン当日は59名の参加者が16チームに分かれて開発を行った。ちなみにイベント中はヒカリエ11階の「ローソン 渋谷ヒカリエ店」において参加者が食べ放題となるサービスも提供された。24日は午前10時にスタートし、午後5時にいったん終了したが、その後も夜まで会場に残ったチームもあった。2日目の25日は午前10時にスタートし、午後3時に開発が終了。その後、各チームによるプレゼンテーションおよび審査結果発表が行われた。

 今回のハッカソンでは審査員ごとに6つの賞が贈られ、最優秀賞は決められなかった。審査は「テーマ適合性」「サービスの新規性」「生活への有用性」「実現可能性」「デモの完成度」「各社とのシナジー」などが選出基準で、結果は以下の通り(カッコ内はチーム名)。

司会の関治之氏

オープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパン賞

BINGOSON!!!(残り物には福がある)
 災害時にライフラインとなるローソン店舗の位置を3G/LTE回線なしでも探せるように、あらかじめ平常時に近隣の店舗情報や地図データをダウンロードしてもらうためのアプリ。平常時にも使ってもらえるように、Pontaカードの電子化やビンゴゲームなど利用者メリットを訴求する。ビンゴゲームで絵柄がそろった場合は商品との引換券を入手できる。また、地図上で周辺のローソン店舗までの距離を確認することが可能で、実際の店舗に近付くとチェックイン画面が表示される。災害発生時にどうしても地図データを取得できない場合は、GPSを利用して方角や距離のみを確認することもできる。また、災害時はLawson Wi-Fiで災害情報の共有もできるようにする。

講評
 災害時のために位置情報をキャッシュするというアイデアがとても有効だと思いました。ローソン以外にも学校などのデータもキャッシュできるともっといいと思いました。(一般社団法人オープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパン副理事長の藤澤公也氏)

ビンゴゲーム
地図上にローソンまでの距離を表示

東京証券取引所賞

Socialawson(Socialawson)
 アドセンスやアフィリエイトのモデルを利用した新しい寄付の形を実現するサービス。SNSに投稿されたローソンの商品写真にタグを付けて、タグへのクリックを広告トラフィックと見なし、寄付先にお金が支払われる仕組みを提供する。商品写真をクリックすると現在地周辺のローソンの位置が表示され、そこで商品を実際に購入すると、さらに寄付金が支払われる。従来、商品写真は写真投稿者にとってもローソンにとっても単なる写真でしかなかったが、Socialawsonを活用することにより、写真が顧客とローソンの絆を強くする架け橋となる。身近な人がローソンのブランドと触れ合えば触れ合うほど、新しい経済的な価値が生まれて困っている人のもとにお金が届くという構図になる。

講評
 現在、東証でも株式市場をPRするためのアプリコンテストを開催しています。こちらのテーマは「株式市場=ソーシャルグッド」というテーマでやっておりまして、今回のHackaLawsonでも、ローソンさんのテーマである「ソーシャルチェンジ」に近いものを選ばせていただきました。(株式会社東京証券取引所 マーケット営業部の菊地和宏氏)

商品写真にタグ付け
現在地周辺のローソンの位置を表示

ドワンゴコンテンツ賞

おでんハンター(チームおでん)
 付近のローソンのタイムリーなおでん在庫数を可視化できるアプリ。地図上の店舗をタップすると店舗ごとのおでんのストック情報を確認することが可能で、具材別に在庫を調べられる。リアルタイムに具材の売れ筋をグラフ化する機能や、具材につゆがしみているかどうかが分かるステータス表示も用意するほか、在庫管理のための店員向けツールも考案した。

講評
 作り手のあふれる“おでん愛”に感動しました。良いものを作るためにはマーケティングデータも重要だと思いますが、「最終的には開発者が自分の作るものにかける“愛”や“思い”が響いてくる」という信念のもとに私もふだん業務にあたっているので、そういうところに共感を得たということで選ばせていただきました。(株式会社ドワンゴコンテンツ ライブ事務局担当部長の中野真氏)

おでんハンターのタイトル画面
具材の在庫を確認可能

日本財団賞

おでかけローソン(おでかけローソン)
 親と子の両方が楽しめる場を作るアプリ。子連れの親が必要な商品と施設を検索できる。例えばオムツが無くなってしまった場合はアプリで日ごろ使っているオムツを検索し、現在地周辺で該当商品の在庫のある店を探すことが可能で、店舗内にオムツ替えができるスペースがあるかどうかも調べられる。スマートフォンのほか、ローソンの店頭端末「Loppi」でも情報を取得できる。ウェブ上には子連れのおでかけに関する情報が散在しているが、これらの情報も集約し、「おでかけローソンがあれば解決できる」というレベルを目指す。さらに利用者が情報をフィードバックする仕組みも用意する。

講評
 日本財団では今、「ママの笑顔を増やすプロジェクト」というのをやっていまして、今回、“子連れおでかけニーズを満たす”という発想からスタートして、本当にこういうアプリがあったらいいなと共感を覚えました。(公益財団法人日本財団 経営支援グループ事業企画チーム・チームリーダーの高島友和氏)

育児用品や施設を探せる
施設情報

リクルートホールディングス メディアテクノロジーラボ賞

俺のローソン(俺たちのローソン)
 ローソンをより良くするために、顧客の要望を取り入れてカスタマイズしていくサービス。SNSを通じて、どの要望が多いのかをフィルタリングし、その改善点をユーザーに通知する。アプリ上では投稿された要望に対して顧客から寄せられた「いいね!」や、店から寄せられた「やりましょう!」の数を確認できる。要望の投稿は購入時のレシートのQRコードを読み取ることで行える。寄せられた要望への対策を行っている店を地図上で確認することも可能で、店ごとにどのような活動を行っているかを確認できる。

講評
 コンビニは毎日行く場所で、顧客からの高い要望と、まだまだ見えてない期待値があると思うのですが、それを“見える化”して、改善したり、アクションにつなげたりするというアイデアにシンプルに共感して、私も使いたいなと思いました。レシートにQRコードを掲載して、それを読み込んでもらうというやり方もすばらしいと思いました。(株式会社リクルートホールディングス メディアテクノロジーラボcameranチーフプロデューサーの大城哲也氏)

要望に評価を付けられる
レシートにQRコードを掲載

ローソン賞(からあげクン1年分)

クックローソン〜彼の胃袋キャッチ物語〜(ラフランス)
 ローソンで売っている食材だけで作れる“モテレシピ”を検索できるアプリ。コンビニの食材を取り入れたレシピ検索サービスはほかにもあるが、ローソンに限った食材のレシピを包括的に検索できるアプリはほかにない。「材料」「調理法」「シーン」から検索することが可能で、調理法から探す場合は「調理器具不要」といった条件も用意されている。また、アプリから印刷する機能も搭載されており、ローソン店舗のプリンターに入力するとプリントアウトできる。アプリを流行させるためのアイデアとして、レシートにレシピを掲載することも提案。今回のハッカソン2日間でかなり開発を進めて、リリースできるレベルまで作り込んだ。

講評
 純粋にアイデアとして面白かったと思います。ハッカソンらしくデモもよく作られていたし、また、POSだけではなくてコピー機などローソンの店全体を使ったアイデアだということで高く評価させていただきました。(株式会社ローソン ITステーションシステム基盤マネジャーの八並朋之氏)

レシピ検索画面
調理具不要のレシピ

 このほかの作品としては、日本中のローソンに配備されている“量産型あきこちゃん”にご当地ネタを教えることによって“わが町のあきこちゃん”に育てていくソーシャルゲームアプリ「ご当地あきこちゃん育成アプリ」や、全国のローソンの店舗をベースとした膨大なトイレ情報を網羅した「Bengiorno!」、育成ゲーム感覚で健康管理ができるアプリ「あきことHealthy Life」、購入前に店への要望を伝えられる「おたよりPonta」、ローソンの平社員“あきこ”が自分の管理する店舗を拡大しながら社長にのし上がっていくシミュレーションゲーム「VIRTUAL LAWSON あきこの野望」など、合計16の成果が発表された。

ご当地あきこちゃん育成アプリ
Bengiorno!
VIRTUAL LAWSON あきこの野望

 ハッカソンの締めくくりとして、ローソンの八並氏は「今回は面白いアイデアが多くて、受賞作品以外でも実現させてみたいアイデアがいろいろとありました。実際にローソンの中で仕事をしていると、ちょっとしたアイデアを思い付いても『実際にやるのは大変だな』と思ってしまいがちなんですが、そういうのを抜きにして生まれるアイデアというのはとても刺激的でした」と語った。

 コンビニが主催するハッカソンは今までに例がなく、おそらく世界でも初めてだと思われるが、位置情報系のアプリや育成ゲーム、ソーシャルサービス、生活関連など、アイデアソンも含めて3日間にわたり実に多彩なサービスやアプリが開発された。今回のハッカソンで生まれた作品が実際にアプリやサービスとして実用化される可能性もあるとのことで、今後どのようなアプリがリリースされるのか実に楽しみだ。

 一方、今回のアイデアソン&ハッカソン開催にあたって、草の根でオープンな地図データを作るプロジェクト「OpenStreetMap(OSM)」にローソンの店舗情報が提供されたことも注目される。オープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパン副理事長の藤澤氏によると、これまでは1000店程度だったOSMのローソン店舗情報が、ローソンから提供されたデータをインポートしたことにより、およそ1万店にまで増えたという。今回のイベントを契機に、このような企業が持つデータのオープン化が進むことも期待される。

参加者・審査員・運営スタッフ一同

(片岡 義明)