ニュース
世界でスマホとフィーチャーフォンの比率逆転か~富士キメラ総研調査
(2013/9/12 06:00)
株式会社富士キメラ総研は、スマートフォンとタブレット、電子書籍端末、ウェアラブル端末とこれらの製品に使用される主要デバイスの世界市場を調査。9月11日に調査結果を発表した。
調査は2013年4月から7月まで4カ月間にわたって実施。富士キメラ総研の専門調査員による参入企業・関連団体などへの直接取材、および関連情報の収集分析が行われた。詳細な結果については、報告書「2013 次世代携帯電話とキーデバイス市場の将来展望」(12万円)にまとめられている。
2013年にスマホとフィーチャーフォンの比率逆転か
2012年の携帯電話の世界市場は、2011年に引き続きスマートフォン市場が拡大し対前年7.4%増となった。エントリークラスの端末ラインアップ拡充により、中国やインドなどを中心に低価格スマートフォンが急速に普及していることから、2013年にはスマートフォンが携帯電話全体の6割を超えると予測する。
世界的には、スマートフォン需要はローエンド端末が半数近くを占める。調査では、今後成長率は鈍化するものの、上位機種への買い替えや新興国での新規需要が期待できることから市場は堅調に推移、2017年には2012年比で24.1%増の19億7000万台になると見込んでいる。
フィーチャーフォンは、スマートフォンの普及により最大の需要地であった中国で縮小しており、2012年に続き、2013年も前年比20%程度の減少が見込まれている。2014年以降も縮小は続くものの新興国や通話専用端末として一定の需要が残り、世界市場では毎年10%程度の減少に留まると予測される。
中国で「山寨機」と呼ばれる大手メーカー製品の模造機は、これまでフィーチャーフォンが中心だったが、中国で千元スマホと呼ばれる低価格スマートフォンが正規品として展開され、千元を下回る価格のスマートフォンも登場してきていることから、山寨フィーチャーフォンは大きく縮小。山寨スマートフォンは増加すると見られるが、2017年の市場規模はスマートフォン・フィーチャーフォン合わせて1億7000万台と予測され、全体の1割未満にとどまるものと予測している。
2012年 | 2017年予測 | 2012年比 | |
スマートフォン | 7億4100万台 | 15億500万台 | 2.0倍 |
フィーチャーフォン | 8億4600万台 | 4億6500万台 | 55.0% |
合計 | 15億8700万台 | 19億7000万台 | 124.1% |
タブレット・電子書籍端末とウェアラブル端末
タブレット・電子書籍端末の市場は、ノートPCの需要を取り込んでいるタブレットが牽引することで2012年の1億5140万台から、2017年には対2012年比で2.5倍となる3億7840万台が予測されている。
しかし、調査報告では、当初4インチが一般的だったスマートフォンのディスプレイは大型化が進み、2012年には5インチを超えるスマートフォンが登場。スマートフォンは、コンパクトデジタルカメラ、携帯ミュージックプレーヤーなど、さまざまな専用機器の機能を取り込んできたが、ディスプレイの大型化でタブレットとの境界線が曖昧になりつつあると指摘している。また、タブレットは同じスレート型の電子書籍端末とも競合していると指摘する。
一方で、スマートフォンの画面の大型化は情報確認頻度の低下を引き起こし、通話や携帯性を補助するためのウェアラブル端末の必要性が増すと分析。スマートウォッチ、Googleグラスなど透過型ヘッドマウントディスプレイの投入などが期待されており、ウェアラブル端末は2012年の1434万台から、2017年には3780万台へと拡大が予測されている。
指紋認証センサーの市場規模は5年間で2億円から270億円へ
携帯電話およびタブレット向け主要デバイス8分野25品目の世界市場は、2012年に12兆7309億円となった。スマートフォン市場の拡大で、前年比マイナスとなった分野はなく、特に表示・出力系デバイスとセンサーの伸びが顕著だという。表示・出力系デバイスは高精細ディスプレイ搭載モデルの急増、センサーはジャイロセンサーを中心とした搭載率の上昇がそれぞれ背景にあると分析している。
注目されるデバイスとしてディスプレイがあるが、2012年の携帯電話・タブレット向けディスプレイ市場は、前年比21.6%増となった。数量ベースでは前年比6.9%増の17.8億枚だが、スマートフォンのディスプレイの大型化と高精細化による単価上昇で市場は大きく伸びた。
フレキシブルディスプレイは、2031年末にSamsungとLGが製品化を計画。曲面形成によって意匠性を訴求するプレミアムモデルのスマートフォンでの採用が見込まれるとしている。まずディスプレイサイズの小さいスマートウォッチでの展開が想定され、スマートフォン向けは2015年頃から展開が進むと予測。曲がるだけでなく、折り曲げられるディスプレイの量産化は技術的に難しいことから、2020年以降になると予想する。
2012年 | 2017年予測 | 2012年比 | |
ディスプレイ | 2兆6126億円 | 6兆1152億円 | 2.3倍 |
フレキシブルディスプレイ | ― | 964億円 | ― |
全体に堅調な伸びが予測される主要デバイスの中でも、とりわけ大きな伸びが予測されているのが指紋認証センサーだ。2012年には2億円規模だったが、2017年には270億円となることが予測されており、5年間で135倍の市場に急成長する見通しだ。セキュリティ対策だけでなく、Eコマースの増加に伴い個人認証が必要なサービスへのスムーズなアクセスや、各アプリケーションへのユーザーID登録の煩雑さの解消を促すデバイスとして注目されているという。これまでは富士通のみが採用していたが、2013年からはiPhone 5sはじめ複数の海外メーカーでの採用が見込まれ、2017年には270億円へ拡大すると予測する。
2012年 | 2017年予測 | 2012年比 | |
指紋認証センサー | 2億円 | 270億円 | 135.0倍 |