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iOS版「Yahoo!地図」が中身一新、歩きスマホ対策を実装、片手操作性の改善も
最新すぎる情報表示、「新しい島」やリニア計画線まで
(2013/12/9 12:50)
ヤフー株式会社は9日、「Yahoo!地図」のiOS版アプリをバージョン「4.0.0」にアップデートし、中身を一新した。地図の描画方式としてベクトル(ベクター)方式を採用したのが最大の変更点。これにともない歩きスマホ対策の新機能なども実装されている。iOS 6.0以上に対応しており、App Storeより無料でダウンロードできる。iPadにも対応する。
ベクトル方式の地図描画で回転やバードビュー、“ちら見”モードも
Yahoo!地図では従来、地図データを“画像”として配信・表示するラスター方式を採用していたが、8月にアップデートしたAndroid版アプリではベクトル方式に変更。ベクトル方式では、地図データを線の起点・終点の座標、色・太さなどの数値データとして配信し、端末側で地図や文字を描画する仕組み。これにより、地図の拡大や縮小、スクロールなどの操作が滑らかになるとともに、地図の回転や変形も可能になる。
ベクトル方式の地図といえば、国産地図ソフト「MapFan」が草分け的存在で、iOS向けにアプリも提供しているが、最近ではモバイル端末の性能向上もあり、Apple製のiOS標準マップはじめ、「Google マップ」など、スマートフォン向けのベクトル方式地図が普及してきている。
今回アップデートしたYahoo!地図のiOS版アプリでも、地図を2本指操作でぐりぐり回転でき、ノースアップ(画面上が北)表示に限らず、好きな方向に回転して見られるようになった。現在地アイコンをダブルタップすれば、ヘディングアップ(ユーザーが向いている方向が上)の表示に切り替わり、端末の向きに追従して自動的に回転する。
また、画面を2本指で上方向にスワイプすることで、斜め視点の「バードビュー」表示も可能。東京スカイツリーやあべのハルカスなどの高層建築物などは3D化されており、立体的に表示される。
さらに、地図を“ちらっと見る”際への対応が挙げられる。「振動検知」機能によりiOS端末の振動を検知し、ユーザーが歩行していると判断した場合に、地図表示を自動的に切り替えるものだ。具体的には、画面最上部および最下部に表示される検索窓やスポット名の表示枠が消え、地図部分の表示面積を拡大するとともに、建物名などの注記や、信号・店舗などのアイコンを大きく表示する。注記等の「大きい文字」表示は、設定により常時オンにしていくことも可能で、細かいながらもベクトル地図の特徴を生かした新機能といえる。現在地ボタンやズームイン/アウトボタンも拡大表示される。
昨今、歩きながらのスマートフォン操作については危険性が指摘されており、一部キャリアではこれを防止するための機能も発表している。一方、地図アプリはその性格上、歩きながら使う画面も多い。その際になるべくひと目で地図を把握しやすくすることで、スマートフォン操作ばかりに注意が集中してしまうのを防ごうというのが“ちらっと見る”モードであり、Yahoo!地図ならではの歩きスマホ対策だとヤフーでは説明している。
なお、この機能は端末の位置情報をオンにしている場合にのみ有効。また、現時点ではAndorid版には実装されていない、iOS版だけの機能となっている。
操作性の改善も各所に、テーマは“片手で使える”地図アプリ
今回のアップデートでは、片手による操作性の改善を行ったのも特徴。まず、次図を拡大/縮小するための「+」「-」ボタンは、タップによる段階的なズームイン/アウトに加えて、長押しすることで連続的なズームイン/アウトが可能になった。
従来、こうした操作は2本指でのピンチアウト/ピンチインで行っていたが、スマートフォンを片手で保持した状態では無理があった。長押しズームイン/アウトにより片手操作でも楽に行えるようになる。また、これまではズームイン/アウトで縮尺が切り替わる段階で地図画像そのものも切り替わってしまったが、ベクトル方式となったことで、よりスムーズなズームイン/アウトが可能になっている。
細かい改良ポイントだが、拡大/縮小ボタンや現在地ボタンの左右の配置をアプリの設定により変更できるようになった。標準設定では画面左側に現在地ボタンとレイヤーボタン、右側に拡大/縮小ボタンとフロアボタンだが、左右を逆にすることも可能になり、片手操作の際に使いやすい方をユーザーが選択できる。
文字入力不要で情報を検索できるようにすることでも、片手操作性の改善を図っている。まず、地図を検索する際に「住所から探す」機能により、ディレクトリを辿って都道府県や市区町村などをタップしていくことで地図を検索・表示できるようになった。また、店舗などを検索する際に、ジャンルをタップするだけで付近の店舗を探せる「ジャンル検索」機能を拡充した。「カフェ」「レストラン」「書店」「銀行」「コンビニ」「ラーメン」「ホテル」など16ジャンル用意されている。
さらに一部のスポットについては、この画面からネット予約操作に移ることが可能だ。ヤフーが10月より提供を開始したサービス「Yahoo!予約」と連携しており、同社が契約している飲食店や、「ぐるなび」「一休.comレストラン」などのパートナー店舗、「Yahoo!トラベル」でのホテル予約、「Yahoo!ヘルスケア」での病院の優先診療予約が行える。
検索した場所への現在地からのルートも、画面右下に表示される「ここへ行く」ボタンをタップすることで簡単に検索できる。移動手段は公共交通機関またはクルマを選択可能。公共交通機関では、鉄道区間だけでなく、バスや徒歩区間も含めたルートが検索される。
ヤフーの独自調査・編集で「新しい島」やリニア計画線も爆速掲載
このほか、「距離計測」機能もAndroid版と同様に搭載した。地図上の任意の地点をタップしていくことで、それらの地点間の直線距離を計測できる。複数地点の設定も可能だ。道路に沿ったルートの厳密な距離ではなく、不案内な地域でのざっくりとした距離感をつかむのに便利だという。
また、雨雲の動きをレイヤー表示する「雨雲レーダー」では、60分前から60分先までを表示できるが、従来のボタン操作に代えてスライドバーを採用したことで、動きを連続的に把握しやすくなった。
地図データについては、地下街のマップも詳細な出口案内とともに掲載。また、「地図が新しい」ことも、Yahoo!地図のこだわりだという。地図会社から提供を受けている地図データに加えて、ヤフーが独自に調査・編集している最新情報も表示。例えば、オープン予定の大型ショッピングモールや開通予定の高速道路も、予定日とともに地図上に掲載している。最近では、小笠原諸島・西之島付近で噴火によってできた「新しい島」もいち早く掲載。さらには、開通はかなり先になる東京・名古屋間のリニア計画線のルートも、小さい縮尺の地図では点線でざっくりと表示される。